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5時15分。
電車がホームに入るアナウンスが流れる。
仕事でくたくたになった体を、車内に滑り込ませたら、私の一日は最早終わったものに等しい。
これから一時間以上かけて実家へと戻るその間、暇で暇でしょうがなかった私は、何気なく見ていた車窓の向こうにおもしろいものを見つけてしまった。

なんだあれ。流れ星なのか。

いや違う。まだ空は明るいし。
土手沿いの草むらから、ちらちらきらきらと光が覗く。流れ星にしては流石に地上に沿いすぎである。
まるで子供のように、席に正座をして、車窓にべったり張り付いてみる。
電車に負けないくらいのスピードを保ったそれは、次第に草むらから離れ、ぷっかりと空に浮いた。
あれは。
あれは、人じゃないか。
金色に輝く髪を、風になびかせて、少し小高い坂に立ち止まって、私が覗く車窓を、電車を見送っている。
星に負けないくらいの二つの目は、悔しそうにそっぽを向いた。

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