▼!6日目
イロリと出会い、今日で六日目
早くも明日で一週間を迎えようとしていた。
『あー…暇だねー』
「 モシモー… 」
この物語の主人公である名前とそのパートナーであるヒトモシの囲炉裏はベッドの上でうな垂れていた。
今日は仕事も休みで特にこれといった予定もないので、ぐだぐだと過ごしていた。 部屋の外からはノボリさんが掃除機を使っているらしい、がががーという音がしている。
『…公園行こうか、イロリ』
「 モシッ!? 」
『ノボリさんとアシギも連れて、人のいなさそうなとこでゆったりしよーよ』
イロリは賛成だと勢いよく頷き、待ちきれないとばかりに扉を念力で開いた。
「ナマエ様?どうかなさいましたか?」
『お、いいところに来ましたね!ノボリさん、お出かけしましょう!』
「はい?」
あ、そのきょとんとした顔いただきっ。
それからノボリさんに出かけるからとお弁当を作ってもらったのだった。
『来ました、××○公園!』
★「 バチュ! 」
「 バチュー! 」
「とても静かでございますね」
「 モーシー 」
この時期に限ってぱたりと人っ気がなくなるこの××○公園。 実は電車を乗り継いで来るほど遠かったりする。 まあ、人っ気がないとこの子達を出せないからそのくらいなんともないのだが。
『アシギ、ヒトモし、遊んできていいけど私達以外の人間に見つかっちゃ駄目だからね?』
アシギはその言葉を聞いてすぐに近くの木に飛び乗りがさがさとどこかに行ってしまったみたいだ。 イロリはと言えば、のろのろとどこかに歩いていった。
「ナマエ様、よろしかったのですか?私も付いて来てしまって・・・」
『いいもなにも、日頃お世話になってるんですから、たまにはゆっくりしていただきたいんですよ。ノボリさんもなにか、気になるとことかあったら行って来てくださいね?私はここで本読んでますから』
「…いえ、私もご一緒させていただきます。続きが気になる本がありますので」
『そうですか、じゃあこの木陰でゆったりしましょう』
レジャーシートを敷いて、四隅に靴と石で押さえ込み、二人して木に凭れながら読書を始めたのだった。
* * *
さわさわと流れる心地好い風が髪を撫でる。
『…』
携帯の時計を見ればあれから二時間経っていたようで、お腹が小さくクゥ、と鳴った。
『んー………』
読んでいた本を閉じ、ノボリさんに振り返った。
『ノボリさ………ん?』
ありゃりゃ、寝ちゃってる。
クスクス笑うと持ってきていたストールを掛けてやり、静かに昼御飯を取り出す。
『さてさて、あの子達はお腹空いてないのかな』
あーん、とサンドイッチを頬張りながら辺りを見渡す。
うん、妙にがさがさ五月蝿い木。 あそこにアシギはいるだろうな。 じゃあイロリは…………………、ち、ちちちょっと待て! あいつ何してんの、なんか影が浮き上がってるんだけど、人の形してるんだけど、ノボリの色ちがいがいるんだけど!!
見ていることに気付いたのか、イロリがこっちを見ながら僕すごいでしょ?ってドヤ顔してる。
「うわあああぁぁあ!!…………って、アレ?ダークライがいなくなっ…て…ヒトモシ?君、さっきからここにいた?僕、気付かなかった。あ、ねぇヒトモシ君。ダークライ見なかった?」
ダークライ?ダークライが君を連れてきたんですか、マジですか! ああもう、こんなことなら車で来るんだった…!
横で眠るノボリさんを揺する。
『ノボリさん、ノボリさん起きて…!クダリが、クダリさんがいますよ…!』
耳元で小さく騒げばガバリと勢いよき飛び起き「クダリ!!」と叫んだ。
あ、これまだ寝ぼけてる
それでもその声が聞こえたらしいクダリとイロリ。 イロリはわかってないようでふわふわ飛んできているが、横にいたクダリさんはノボリさんを目に入れた瞬間、おっそろしく涙を流しながらマッハでこちらに走ってくる。
「ノォォオボオォォリイイィィィー!!」
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