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■私と陛下・下

「え、ええと、私もアリス姉さんのお手伝いを……」
今度は私が汗をダラダラ流します。
メイドさんがいるとはいえ、陛下のお部屋には陛下と私。完全なるアウェーです。
「一人で遊ぶなどつまらぬ。ナノ、わらわの相手をおし」
命令でした。慌ててアリス姉さんを探すと、聞こえていたのかいないのか、すでに
姿を消されていました。
メイドさんたちはというと、目で私に『抵抗しないで』と懇願してきますです。
な、なぜ……可愛いアリス姉さんならともかく、なぜ女王様は私をかまうのですか!
「よし、おまえ『で』、お人形ごっこじゃ、ナノ」
「…………」
それはいかような遊びでございましょうか、陛下。
なぜ”おまえ『で』”であり”おまえ『と』”ではないのでしょう。
「よし、まずは着せ替えじゃ」
すると抜かりのないメイドさんが、女王陛下に何かを渡しました。
等身大ドール服のごとく、少女趣味全開の可愛らしい服です。
それを持ち、私にじりじり近づいてくる女王陛下。
「あ、あの……私、やっぱりアリス姉さんのお手伝いに……」
と、逃げようとしましたところ、
「まあまあ、そう仰らず!」
「楽しく遊びましょう、ナノ様!!」
やけに鬼気迫る声をもって、メイドさんたちにガシッと押さえ込まれます。
「え?ちょっと、あの……!」
「よし、おまえたち、その子の服を全て脱がしておしまい!」
と陛下。全て?……て、よく見ると女王陛下は服だけでなく下着もお持ちでした。
「全てって、ちょ……っ!」
抵抗する間もなくメイドさんたちが、私の服を脱がしにかかります。
陛下は楽しそうなお顔で、
「ほら、抵抗しても無駄じゃ、大人しくおし」
「ナノ様、暴れないで下さい。後が辛いですよ」
……そして、なぜ顔を赤らめておいでですか、メイドさん!
「うふふ。なんか抵抗されると興奮しますね」
「私も。何だか変な気分になってきました」
……何でしょう、何か起こるわけでもないのにこの異様な雰囲気。
例えるならアレですか。女性だけの空間の、禁断の……。
「あらまあ、ナノ様。可愛らしい××××……」
優しい優しいメイドさんたちが伏せ字な言葉を口走ったところで、
「た、助けてください!誰かーっ!!アリス姉さんーっ!!」
耐えきれず、ついに絶叫が私の口から出ました。
しかし陛下やメイドさんたちは、楽しそうに憐れな少女を押さえつけるのでした。

…………

裁判を終えて私を迎えに来たアリスさんによると、私はお人形さんのような格好で、
陛下やメイドさんたちに愛でられていました。
しかし虚ろな瞳で膝を抱えて、ブツブツ独り言を言っていたそうです。

おしまひ。

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