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■嫉妬とキス・下

※R15

呆然とする目の前には、どちらか分からなくなった双子の瞳があった。
ぼんやりしていると、『ディー』が言う。
「僕ら、話し合って決めたんだ。お姉さんを争ってケンカしていたら、その隙に誰かに
盗られちゃう。だから、ケンカは止めようって」
へー。そうなんですか。それは何より……は?盗られちゃうって?……何の話?
元々薄かった現実感は完全に溶解し、私は目の前の青い瞳を凝視する。
「大好き、お姉さん!ずっと好きだったよ!!」
「ずっと大事にするよ!大人には渡さないから」
前から後ろから嬉しそうに言われ、抱きしめられます。
は?大人?いきなり何の話?すると今度はダムが後ろから私の……その、太腿から
お尻のあたりに手を這わせながら言う……ん……や……。
「カイお姉さんのこと、たくさんの大人が狙ってるんだ。
お姉さんはずっと僕らのことを見て、好きでいてくれてるっていうのに」
は?好きでいてくれるって、そりゃ好きですが、意味合いが違うような。

「お姉さんは、僕らのこと好きなんでしょう?
しゃべってくれたし、入れ替わりに気づいてくれたし、ストーカーまでしてたし」
「お姉さんになら、ストーカーされても嬉しいしね」
いえ、それはあなたたちが私を慕ってくれるから……あとストーカー違う!
子どもをストーカーって、どれだけ人として終わってますか、私!!
ともかく、私の『お姉さん』としての善意の所作を、子どもたちは単純に『異性への
愛情』と受け取っていたらしい。うわあ……それ、イタ勘違いですねえ……。
まあ、恋に興味津々なお年頃ですものね。こういう年頃では、異性から、少し親切に
されただけで『脈アリ?』と短絡に結びつけがち。それで自ら黒歴史を背負ったり。
い、いえ!私も人様をどうこう言えるほど、人生経験は積んでませんが。
……ともかく、これだけは確実!私のは、あなたたちの思い違いですから!

……と、頭の中でぐるぐるして、言葉には何一つ出せませんで。
い、いえ本当にどうしよう。この状況で声が出ないのはマジでヤバくないですか?

「もちろん、僕らもお姉さんが好きだよ!」
「元々、初恋で好きだったから、お姉さんも好きになってくれて嬉しかった……」
「だから、もっともっと!!大好きになったんだ!!」
「両思いだよね!初恋で両思い!嬉しいな!!」
双子はちょっと興奮しているのか、高揚して、はしゃぎ気味だ。
私はいっぱいいっぱいで、誤解を訂正しようがない。
いえいえいえ、だから両思いじゃないです!!痛い勘違いですから!!
好意は嬉しいけど、さすがに子どもには興味がないですよ!!
そもそも、あなたたちは『二人』だし!!

「でも、お姉さんが無口なのにつけ込んで、ひよこウサギが取ろうとしてる……」
少し声のトーンを落としてディーが言う。
「僕らがいない隙にお姉さんの部屋に入り込んで……!」
は?もしかして昼間の発声練習のこと?あれは純粋な親切心ですよ!
――というか、無口なのにつけ込んでるのは、あなたたちも同じじゃ!?
私は息をあえがせ、どうにかしゃべろうとしました。
でも状況があまりに非現実的なせいか、変な呼吸音しか出ませんで。
「だから、お姉さんの気持ちに応えたいんだ。ちょっと早いかもしれないけど……」
――あれ?別にしゃべらなくとも、首を振るとかジェスチャーすれば……
と、気づいたときにはディーにキスされていました。



窓の外は宵闇が続きます。
暗闇の中、舌を絡め合う音がいやらしく響きました。
後ろのダムは、私に抱きつくように身体を密着させ、胸を、お尻を……『前』を、服の
上から何度もさすってきます。まるで上下で挟まれる体勢になり、動けない……。
それでも逃れようと、私はもがきました。
「お姉さん、恥ずかしいのは分かるけど、落ちついて」
後ろから手を回し、胸を弄りながらダムがなだめてきます。
前のディーも手を伸ばし、露出した胸を指の腹で擦ってきます。
――ん……ゃ……!
前のボタンを外され、肌着は上げさせられてます。
胸を完全に露出させられ、『反応』しているのが、嫌でも二人に丸わかり。
そして二人の手つきは子どもと思えないくらいに慣れ、快感を誘う。
それに、密着させられている二人の身体。
二人分の身体からは『男性』としての『熱』が痛いくらいに伝わって来ます。
――ダメ……それだけは、絶対にダメ……!
私は拒絶の姿勢だけは示そうと、胸を叩いたり、もがいたりしました。
「お姉さん……オイタはダメだよ」
なだめるように言われます。大人と張り合う門番の力は伊達ではないです。
――う、動けない……!
二人ともほとんど力を入れていないというのに、少し抑えられただけで動けません。
ディーは少し顔を離し、なだめるように私の頬を撫でました。
「大丈夫だよ、お姉さん。お姉さんはお姉さんだけど、女の人だもんね」
「うん。僕らは男だし二人だ。僕らがちゃんとリードするから、怖がらないで」
違う!×××が怖くて暴れてるんじゃないんですよ!
いえ、怖くないわけじゃないけど、そもそもの前提が勘違いで……っ!
し、しかし元々体力のない身、そろそろ息が切れてきました。
力を緩めると、双子が互いに、決意の表情で視線を交わしているのが見えました。
「兄弟、頑張ろう。最初だから、ちょっと痛い思いはさせちゃうと思うけど……」
「でも最後には、お姉さんが最高に気持ち良くなるようにさせてあげなきゃね」
頑張らなくていい!頑張らなくていい!!
だいたい日本では、どっちの性別でも、子どもと×××するのは犯罪なんですよ!
……て、ここは異世界でしたか。
私は最後の力でもがきましたが、それもすぐ尽きました。
ディーの身体の上に倒れると、青い双子が嬉しそうに抱きとめます。
「お姉さん……お姉さんの初めてって、僕らだよね?すごく嬉しい……」
『僕ら』って、いえ初めてが『複数』って……絶対にイヤ!!
でもディーは最高の笑顔でキスをしてきて、舌で私の胸を軽く愛撫。ん……っ。
認めたくないけど、気持ち良い……でも、ダメ!絶対にダメ!!
私は双子を異性として見てないし、子どもと愛し合うことは出来ません!!
「僕も僕も!お姉さん大好き!!」
こちらの意思をカケラも読み取ることはなく。
ダムがはしゃいで言い、下の服の中に、ゆっくりと手を忍ばせる。
――ダメ……そこは……好きな人だけが触っていい場所……っ!
でも茂みの奥に、残酷に深く指を沈められる。
ぐちゅっと、確かに水音が聞こえた。
――ん……ぁ……!
全身を貫く快楽の震え。
でも容赦されず、ディーに手首をつかまれ、彼の×××に導かれる。
握らされたソレは、確かに男性としての反応を示していた。
もう茫然自失で、促されるまま手を上下に動かすと明らかにビクッと震える。
「ん……お姉さん、すごく気持ち良い……もっと触って……」
目の前のディーは、子どもなんだろうか、『男の人』なんだろうか。
そしてダムも……わざと音を立てて、谷間を指でかき回しながら耳元でささやく。
「お姉さん、すごく濡れてる……そんなに僕らとするの、楽しみなんだ」
――……っ!!

限界でした。何もかも。

「うわっ!!」
「お姉さん!」
私は火事場の馬鹿力レベルで暴れました。
双子もやや力んでいたようで、今度こそ双子を振りほどけました。
――ダメっ!絶対にダメ!!
私はベッドから下り、一秒で靴を履き、羽織の上着をつかむと走りだしました。
「お姉さん!!」
「どこ行くの!?」
焦った双子の声を尻目に、バタンと扉を開けて外へ。
走りながら、上と下の衣服を何とか直しました。
でも絶対に追いかけてこられる。捕まえられる前に逃げないと……!

そして走りました。夜の屋敷の中、どこを走ってるのか分からないまま、無我夢中に
走って走って走って……。
――はあ、はあ……。
ようやく息をついて顔を上げると。

――え……ここ、どこですか……?

そこは帽子屋屋敷でもどこでもない森の中でした。

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