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■嫉妬とキス・中

※R12

帽子屋屋敷の宵の刻。
ディーとダムはいつものようにベッドにもぐり込み、私はウトウトしています。
――ん……?
でも私に抱きつくディーとダムの手の動きが、何だかいつもと違うような。
「お姉さん、寝てるのかな?お姉さん?……兄弟、可愛い寝顔だよね」
「そうだね、兄弟。お姉さん……すごく、すごく大好き……!!」
頬杖ついて熱っぽく言う気配。私の頬を撫でる二つの手。
でも、何となく、何となく、いつもと違うような。月のせいでしょうか。
けど夢うつつなこともあるのか、私はどうも動けませんです。
「馬鹿ウサギなんかには、絶対に渡さない」
――馬鹿ウサギ?……ん。

そして唇に、何かやわらかいものが、重ねられる感触がしました。

――え……?今のって……。

「ああ!ずるいよ兄弟、僕も!」
呆然としていて、その声が、ディーとダムのどちらのものだったかも分からない。
そしてまた、やわらかいものを唇に感じます。
その感触もすぐ離れて。

「キスしちゃったね、兄弟」
「うん、お姉さんと最初のキスだよ、兄弟」

――……っ!!
私はもはや夢うつつでいられず、目を開ける。
「あ、お姉さん起きた?」
「ねえねえ、僕ら今、お姉さんにキスしたんだよ!」
のぞきこむ双子は全く悪びれた様子がありませんでした。
――あ、あ、あ、あなたたち……!!
私の(多分)ファーストキスだったんですよ!
――というか、最初にキスしたのはどっちなんですか!!

その他、私の脳内をありとあらゆる罵詈雑言が飛び交い……結局またグルグルして、
言葉が出ず。最後は怒りで顔を紅潮させ、肩を震わせ、うつむきました。
が、犯罪者連中はさらに嬉しそうに、
「うわ……お姉さん!可愛い!すごく真っ赤になってる!!」
「照れてるんだね。そこまで喜んでくれて僕らも嬉しい!!」
は?ンなわけあるか。これは怒りで真っ赤になってるだけで!!

「じゃ、もう一回キスしてあげるね!」
「兄弟兄弟、一回なんかじゃないよ!何回でもキスしようよ!」
――は?一回どころか、もう二度と……!

「お姉さん……」
けれど混乱しすぎて何も出来ないうちに、ダムの顔が近づく。
そしてまた、重なる唇。
――……っ!!
子ども……相手は子ども……っ!ただ外国っぽい親愛のキスをしてるだけ!
必死にそう思おうとしました。
が、強く、柔らかく、暖かく、何度も押しつけられる唇は、あきらかに親愛以上の
意味を伴っています。
「ん……」
唇の上を何度も舐められ、口を開けることを促すよう、舌先で突かれます。
――っ!
そしてディーに耳の後ろをキスされ、背筋がビクッと反りました。
いつの間にかディーが後ろに移動していたみたいです。
そしてディーに後ろから抱きしめられる。
私はそれにも凍りつき、身体を動かせません。
それで慌てていて、少し口が開いてたみたいです。
すかさず、そこから入り込む子どもの舌。
――ん……んん……っ!
こ、子どもと(多分)初ディープキスですか!?
でも舌の動きはあまりに慣れていた。
熱くて少し小さめの舌が、こちらの舌を探り当て、触れてくる。
そして味わうように表面をたどる。くすぐったい。
――んん……んんん……っ!
ダムが、ディーに劣らない力で、私の身体を強く抱きしめてくる。
前後から拘束され、三人が一つになったように密着する。
酸欠と混乱で、頭がすごく熱い……。
「ふーん。お姉さんの胸って、結構×××だよね」
……ディーの声に途端に冷静になりました。
青の悪童が、後ろから手を回し、私の服の上から胸を弄っています。
――ん……ダメ、や、止めて……!!
さすがに限界で身をよじるのですが、ダムに抱きしめられ、ディーに後ろから拘束
され、全く身体が動きません。斧を振り回し、門番をやるだけはあります。

「ん……ん……」
ダムは相変わらず、こちらの舌を飽きることなく味わってきます。
もう息継ぎはもちろん、唾液を飲み込むのも難しくて、だんだんと音が……それを
ディーに聞かれているかと思うと恥ずかしさが増します。
……というかディー、あなたも何を……!
「お姉さん……もっと触りたい……」
後ろから回される手が上着のボタンを外し……中に忍び込む。
いえ、まだ肌着がありますが、その上の、胸の先端部分を指先で……
「あ!お姉さん、ちょっと感じてるんだ!」
――っ!!
嬉しそうなディーの声に、今度は羞恥で真っ赤になる。
――止めて!離して……っ!
必死にもがきますが、こちらの意思は伝わってるでしょうに双子は力を緩めません。
「恥ずかしがらないでよ。そんなに気持ち良かったのなんて嬉しいな!」
すると聞きとがめたのか、ダムがようやく顔を離した。
――う……。
舌を絡めすぎて、あふれた唾液が光る糸を……。
そしてディーの手は、相変わらず肌着の上を動き、反応してる場所をしつこく弄る。
反応してはいけないと思っても、生理的な快感をどうしても感じてしまう。
――何で、子ども相手に……こんな……。
「兄弟。お姉さんは僕のキスが気持ち良くて『反応』したんだよ」
私の唇からこぼれた唾液を舐めながら、ダムが言う。
私はというと、やっと双子が力を緩めたというのに、今の状況に頭がパンクして、
呆然としていました。
「違うよ。じゃあ証明しようか?」
と、ディーの手が離れる。
――っ!
私が呆然としつつも、少し我に返り、あわてて服のボタンを止めようとしてると、
――っ!!
ぐいっと身体をねじられ、後ろにいたディーの方に向きを変えさせられる。
強引に引かれたため、勢いあまって横に倒れてしまう。
そしてバランスを支えるため、ディーを抱きしめる格好になってしまった。
「ほら兄弟!お姉さんは僕の方がいいって」
「そんなことないよ!兄弟の馬鹿!」
言っていることは、いつもとまるで変わりないのに……。
呆然とする目の前には、どちらか分からなくなった双子の瞳があった。

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