続き→ トップへ 短編目次 ■檻の中の風景8 闇の中に声が響く。あれは誰の声だったか。 薄目を開けると、見える風景もまた闇。 時間の経過も、昼夜も、何もない。永遠の牢獄だ。 「はあ……はあ……うっ……!」 突き上げられ、かすれた息に苦鳴が混じる。 「ユリウス、集中しろよ」 下から笑う声。嘲笑にも思えるその声の主は、今は看守の制服を着ている。 「ほら、もっと動いてくれよ。こう、さ……」 不明瞭な頭のまま指示通りにすると、内部にうずめられた×××が、より硬さを増す。 同時にさらに激しく揺さぶられ、自制する前に声が出た。 「本当に、処刑人には従順だよな。妬けてくるよね、ジョーカー」 「う、うるせえな。おい、早くしろよ、処刑人!」 視界の隅には、監獄の二人の権力者が座って、鋭い瞳を自分たちに向けている。 「順番待ちって、ちょっと情けないよね。ジョーカー、乱入してきたら?」 「てめえ、何言って……っ!…………それもそうだな」 聞こえてくる声を理解する力さえも薄れ、ただ責めに耐えていると、看守が、 「ちょっとジョーカー、邪魔しないでくれよ。 俺、ユリウスと感動の再会の最中なんだぜ?」 「感動の再会って……あれからどれだけ経ったと思ってるんだ。あの後、 俺とジョーカーが仕事に出かけて、戻ってきてまだ続けてただろうが」 「あはは。ユリウスもつき合ってくれたぜ。それだけ愛されてるんだ、俺」 うっすらと覚えている。強要され、抵抗した記憶もある。 だが心身ともに疲れ果てた身で、体力のあり余る看守にかなうはずもなく。 後は彼の良いように犯され続けている。 「ちっ。見せつけてるつもりか。面白くねえ……」 ユリウスは、制服をゆるめるジョーカーをぼんやりと見る。 「本当に殺したくなるぜ、お前は……」 獣のような目で睨まれたかと思うと、頬に手を当てられ、唇が重なる。 強引に舌がねじ込まれ、不快な感触が口内をうごめいた。 「ん……ぅ……」 「ジョーカーさん、いい加減にしてくれよー」 「おい、体位変えろ、処刑人。この体勢じゃ何も出来ねえだろ」 「勝手に入ってきて強引だなあ。まあ、いいけどさ。あはは」 いつも通りに真意のつかめない看守がこちらの腰をつかむ。 そして両腕の力だけでユリウスの身体を引き上げた。 「う……」 圧迫感が去った安堵と、不安定な体勢、中途半端に放り出された不燃焼感、そして 重苦しい疲労がないまぜになり、黒い看守の上に倒れる。看守はそんな自分を抱き、 「ははっ。俺も好きだぜ、ユリウス」 赤い瞳が間近に見える。監獄の中でより際立つ空洞をたたえた虚無の紅が。 この淀んだ黒は、何がもたらしたものだっただろうか。 ――…………? そのとき、ユリウスはその瞳に何かを思い出しかけた。 だがそれを追及する前に、長い髪を後ろから引っ張られる。 「うっ……」 「おい、早くしろよ、時計屋」 そのまま強引に引き起こされ、床に倒された。横から看守が、 「ジョーカーさん、嫉妬も大概にしないと本当にユリウスに嫌われるぜ」 「うるせえ!」 しかし看守も起き上がる。硬い床にうずくまる自分を気づかうでもなく、 「それじゃあ、続き、行くぜ。ユリウス……」 「……っ……!」 足を開かされたかと思うと容赦なく貫かれる。息つく間もなく、再び揺さぶられた。 再度の苦痛と疲弊、よどんだ快感に心を乱され、ただ声を上げた。 見えるのは牢獄の天井。自分を見下ろす、いや見くだす三対の目。 「おい、こっちだこっち。囚人がサボってんじゃねえよ」 ふいに横に立っていたジョーカーに髪をつかまれる。痛さに顔を上げると、 そのまま顔を右側に向けさせられ、口に生温かい×××を押し込まれた。 「…………っ!」 それが何かに気づき正気に戻るが、右側に立った監獄の所長はどう猛に、 「てめえも動けよ。ちゃんと舌使え」 看守から激しい突き上げを受け、意識を奪われそうな中、何とか力をふりしぼり、 命令通りに相手の×××に手をそえ、舌を這わせる。ほどなくして生ぬるい×××が 先からあふれ、口の端からこぼれていく。その間も下から無慈悲に続く責め。 「ほら、ユリウス、下の方も動かして」 「……ぅ……」 苦しさと疲労で今にも全てを放り出し、意識を飛ばしそうになっていると、 「ほらほら、ユリウス頑張って。看守や所長のご機嫌取りはちゃんとしなきゃね」 「おい、ジョーカー!」 「ジョーカーさんも?はは。みんなでやるのって楽しいよな」 所長に奉仕を続けているユリウスにはよく分からないが、気配から、自分を挟むように 反対側にもう一人のジョーカーが立ったのは分かった。 「それじゃ、こっちの手が空いてるから、俺のを頼むよ」 「…………?」 顔を向けられないから、何を言われているのか分からない。 だが、唯一自由だった左手をつかまれ、何かを握らされる。 ……それが何かは、考える間もなく理解した。 ――娼婦とて、もう少し優しい扱いを受けるのではないか……? それもこれも、自分が男だから悪いのだろうか。 「ユリウス、俺がメインなんだからさ、ちゃんと集中してくれよ」 「遅ぇよ。手ぇ抜いてんじゃねえぞ!鞭でも振ってほしいか!?」 「はは、結構上手いじゃないか。二人以上でやるのにも慣れてきた?」 三者三様に勝手なことを言われるが、もう何も考えられない。 何度も薄れかける意識の中、可能な限りに従い、ただ自由を願う。 何も考えたくはない。 最初に、ユリウスの髪をつかんでいた監獄の所長が口内に放った。 「くそ……全部飲めよ。こぼすんじゃねえぞ」 むせそうになりながら飲み込んでいると、 「あ、ごめん。ちょっと、出すよ」 「っ!!」 顔と髪にドロリとした感触。道化の団長が顔に吐き出したらしい。 「はあ……はあ……ユリウス、俺も行く、ぜっ」 最奥にほとばしる慣れた熱。最後に看守が中に放った。 8/10 続き→ トップへ 短編目次 |