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■檻の中の風景6

するとジョーカーは石の床からナイフを取り上げ、消す。
冷笑を浮かべユリウスに、
「色気のねえ誘い方だが、まあいいさ。てめえから誘ったんだ。忘れるなよ」
「努力は、する……」
声が自分のものとは思えないほどかすれている。
ジョーカーは再びユリウスに覆いかぶさり、再び愛撫を始める。
ユリウスは自分から服を左右にはだけ、ジョーカーの身体を抱き寄せるように背に
手を回すが、誘い方など分かるわけがない。
だが監獄の所長の方は、胸の先端部に口づけたかと思うと、乱暴に噛み付いてきた。
「……つぅっ!」
痛みに思わずのけぞると、さらに噛みついてくる。
甘噛みなどではなく、血が出るかと思うような強さだ。
やっと離れたかと思うとすぐに別の場所に犬歯を立てる。
たちまち、肌にいくつも鬱血する箇所が出来た。
ユリウスには痛いだけだが、ジョーカーの方は少しずつ熱くなってきているようだ。
大腿部に擦りつけられる股間の×××は少しずつ膨らみ、手は執拗に身体を這い回る。
「おい、何呆けてんだ。お前も……やれよ……」
苛々したようにジョーカーに言われる。うなずいたものの、どうしていいのかよく
分からない。とりあえず噛み付かれていては痛いのでジョーカーの首に腕を回し、
顔を引き寄せる。するとジョーカーはあまりにもアッサリ口づけに答えた。
「ン…………」
「…………」
唇が深く重なり、唾液が絡み合う音が牢獄に響く。気が付くとユリウスも、角度を
変え何度も口づけていた。
腕を引き寄せられ、起き上がると、座ったまま向き合うようにして、抱きしめあう。
互いの息が熱い。いつの間にかユリウスの身体も少しずつ熱くなっている。
ジョーカーのネクタイを抜き取り、ボタンを外し、前を開き、胸を舌で舐める。
「ん……くそ……」
思いの他良かったのか、ジョーカーは上気した声を出し、ユリウスの頭を己の胸に
押し付けるようにする。ユリウスも合わせ、軽く歯を立てたり執拗に舐ったりする。
「おい、こっちもやれよ……」
急速に声が乱れるジョーカーは前を開くとユリウスの手を力任せに握り、外に出された
自分の×××へ導く。さすがにユリウスもそれは躊躇(ちゅうちょ)する。
「ちょっと待て……」
だがこちらのジョーカーの力は強い。無理やり握らされ、強引に扱かされた。
「ん……」
握らされた×××が震え、ユリウスの手の中で強さと硬さを増していく。すると、
「おい、何で俺だけ熱くなってるんだよ」
理不尽なことを言われたかと思うとジョーカーが服を乱したまま立ち上がる。
そしてユリウスの腕をつかんで立ち上がらせると、身体を逆にさせ、ユリウスが
鉄格子の方を向く態勢にさせる。
――おい、立ったままやる気か?
問いただす前にジョーカーの手がユリウスのズボンを下着ごと下ろし、まだ起ち
上がりきらない前に荒々しく触れてくる。
「ん……く……っ」
押さえようとしたが、押さえきれない声が切なく漏れる。
愛撫は容赦なく、少しでも反応があった箇所は執拗に責め立てる。
後ろにあたるジョーカーの感触もあって次第に中心が熱くなり、透明な汁をこぼす
まで、そう時間はかからなかった。
鉄格子に捕まり、ユリウスは震える膝を何とか押さえた。
「は、はは……、てめえも乗ってきたじゃねえか。時計屋」
「う、うるさい……」
鉄格子に顔を押し当て、鉄の冷たさを吸収しようとするが、大して効果はない。
「く……あ……」
ジョーカーの指が後ろに侵入し、ゆっくりと慣らしていく。これからされることを
想像してユリウスは震え、欲望とわずかな後ろめたさにきつく鉄格子をつかんだ。
そのとき、
「ん……?」
ユリウスは顔を上げた。

靴音がする。
誰も来ないはずの監獄を、誰かが歩いている。

「おい、ジョーカー。誰かが来ているぞ!」
監獄の所長に伝えるが、ジョーカーは手を止めず、逆に指を増やす」
「く……ぁ……お、おい、そんなことをしてる場合では……」
「うるせえよ、俺はこっちの方がいいんだ」
「何を馬鹿な……誰か、役持ちだったら……」
「かまわねえだろ。向こうも用事がなけりゃすぐ行くさ」
「わ、私は気に……ああ……っ!」
指が抜かれ、一瞬の後、後ろにゆっくりと侵入された。
「ま、待て、ジョーカー……あ……」
立ったまま後ろから貫かれ、前は完全に晒したまま、だらしなく汁を零している。
例え、いつか牢獄から出られたところで、こんな姿を知り合いに見られては、一生
時計塔の外へ出られない。
「ジョーカー、本当に後生だ、やめてくれ……」
「いいねえ。お前のその声。本当に興奮するぜ……。ほら、もっと脚開けよ。
観客にそのおっ起てた×××がよく見えるようにな」
「あ……やめ……」
ジョーカーは動きながら、ユリウスの×××を握り、鉄格子に押し付けるようにする。
例えどんなに前かがみになって見せまいとしても、これでは中が丸分かりだ。
逃れようともがくうちに靴音はどんどん近づいてくる。
「ジョーカー……んっ!」
最後の懇願は耳朶を噛まれ、喉の奥に消える。そして靴音が牢獄の前に――
「あれ?ユリウス?」
「っ!!」
多少なりとも紅潮していたユリウスの顔が一気に青ざめる。
聞こえたのは、あまりにも爽やかな声。

「……エースっ!」

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