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■夢幻の牢獄

 ※R18

 夢魔ナイトメアは怯えている。
 血を吐きそうだ。この先の空間など行きたくない。
 だが行くしかない。そういう約束なのだ。

 夢魔は今宵も夢を見る。自分の夢ではない。
 見るのは他人の夢だ。
 まともな夢でないことは分かっている。
 きっと悪夢という形容すら可愛く思える、世にもおぞましい何かなのだろう。
 だが見なければならない。
 そしてそれらの夢の中で『最もマシ』なものを一つ選ぶしかない。

 でなければ消される。
 脅されているのである。

 確定した惨劇であろうとも、男ならば、役持ちならばいかねばならない時があるのだ。

 ……血を吐きたい。

 夢魔は夢を見る。

 …………

 騎士の夢は一見、平和そのものだった。
 いつものように騎士は放浪中だ。
 だが現実なら、到底あり得ない存在が横にいる。
 自分――夢魔だ。スーツ姿でいる。
 騎士の夢が作り出した夢魔だ。
 それは、正気なら決して向けない、朗らかな笑顔を騎士に向けていた。
 騎士も笑顔で、
『夢魔さん、思い切って外に出て良かっただろう?』
『ああ、そうだな。おまえのおかげだ!』
 夢の中にある己は、血色が良く楽しそうだ。
『本当に素晴らしい光景だな、エース。連れてきてありがとう!!』
 ――わわわ私がそんな台詞を吐くか!!
 だが、この夢は騎士の理想の夢だ。
 騎士を選ぶのなら、自分はああならねばならないらしい。
 夢は続く。夢の中の自分は、直接見る大自然の風景に驚嘆していた。
 騎士としっかり手をつないでいる。だがあまりにも、こそばゆい。
 ――夢を変えてやりたい。
 よほど実行に移そうかと思った。
 一方騎士は、夢の中の夢魔からの世辞に上機嫌。 
 焚き火で作ったシチューを器に盛り、
『はい、夢魔さん。あーん』
 馬鹿っぽい笑みを浮かべた自分が、素直に口を開ける。
 ――おいおい私! あんな男の差し出すものを素直に食うんじゃない!
 だが夢の中の自分は緩い笑みでシチューをそしゃくする。
 おいおいおい。材料はちゃんと火を通したんだろうな。
 あのキノコ、ちょっと毒々しい色をしていないか?
 水はちゃんと浄水したのか? 変な菌は入ってないだろうな。

 しかしハラハラする夢魔を置き、森のデートは、和やかに進んでいく。
 二人は笑顔で取りとめのない話をし、たまにキスを交わす。
 ――うーん……。
 まあ、扱いとしてはまともな範疇だった。
 自分が馬鹿っぽすぎるのはさておき、こんな風に扱われるのならそう悪くも……。

 と夢魔が思いかけたとき、騎士はポツリと言う。
『こんな風に、夢魔さんと過ごせたらいいんだけどなあ……』 
 顔に暗い影が差す。
『どうしたんだ? エース。ほら、早く行こう!
 野生の鹿を見せてくれるんだろう?』
 夢の中の自分は脳天気に騎士の手を引っ張り、出発を急かす。
 ――お、おい! 早く逃げろ!!
 だが必死の呼びかけ虚しく、己の分身は緩く笑うのみ。
 そして騎士は剣を抜いた。

 斬!

 夢魔の胸を剣が貫く。
 一瞬で時計を真っ二つにされ、夢魔は自分が何をされたか認識すら出来ないまま、絶命した。
 だが騎士は血のしたたる剣を下ろしたまま。
 消えゆく夢魔の身体を冷ややかに見下ろす。
『何度やったって同じことだ。虚しいぜ。
 夢じゃあ、満足出来ない。なあ、夢魔さん?』
 気づかれている。
 ゾクリとしてナイトメアは夢から脱出した。
 次の夢こそはまともに自分を愛してくれる夢であってほしい。
 そう思いながら。

 …………

 入った瞬間に後悔した。
 ブラッド=デュプレの夢はより過激だった。
 夢魔がいた。何人も。
 塔の主としての自分もいれば、駅長の自分もいる。
 その他色々……駅長なりたての美少年な自分までいた。
『ん……あ……』
『ブラッド様……』
 自分の大半は衣服をほとんど脱がされていた……というか自分から脱いでるようだった。
 誰もが、ソファの上でワインを煽るブラッドに熱い視線を向ける。
 羞恥も何もなく身体を絡ませ、彼に口づけをしていた。
 下半身もしっかり反応させて……。
 ドン引きすぎて、逆に圧倒される空間がそこにあった。
 しかし、どいつもこいつも現実の自分より色気があるのは嫌味だろうか。
 夢の王ブラッドは、支配者の笑みで夢魔たちを抱き寄せている。
 もう見ていられず、ナイトメアは目をそらした。
『……ん……ん……』
 だが聞こえずとも、触れあいが過激なものになっていくのは分かった。
 音を立てて舌が絡まされている。
 一度だけチラッと見ると、ブラッドの手が、少年の自分の下半身を
弄んでいるところだった。
 眼帯を外され、永遠に閉ざされたまぶたに口づけられ、年端もいかぬ美少年は
陶然とした笑みを浮かべている。
 で、その下半身は……その、やはり……。
『まだ欲しいのか? 仕方のない奴だ』
 ブラッドは笑い、少年の彼を抱き上げ――。
 もう見ていられず、ナイトメアは夢に背を向ける。
『おや、最後まで見て行かなくていいのか?』
 からかうような声が聞こえた気がした。


 ナイトメアは最後の夢に向かう。
「最後は、最後こそはまともであってくれ……」
 まともなはずだ。誰よりも長く自分のそばにいた補佐官の夢だから。
 神に祈りながら、ナイトメアは最後の空間に入る。

 ……最悪の光景が広がっていた。 
 どこかで見た気がしないでもない牢獄。
 夢の中の自分は、ほぼ全裸の格好で鎖につながれていた。
『グレイ。頼む、この鎖を……外してくれ……私は、おまえ無しでは……』
『ダメですよ。外したらあなたは逃げてしまうでしょう?』
 鉄格子の前に立つ補佐官は無表情に言う。
『なぜ信じてくれない。私は、最初から、おまえだけを……』
 トカゲは無表情だった。
 忠誠と恋心の板挟みの果てに、心を病んだトカゲは。
 奴は、どこからかスープを取り出す。
 通常の製法ではあり得ない色をしていた。
 そして牢の中のナイトメアに向け、
『ナイトメア様。このスープを飲んで下さい。
 そうすれば、あなたは考える力を失う。永久に……俺だけの物だ』 
『い、いやだ、絶対に……!!』
 牢の扉が開く。トカゲはやはり無表情で。
『あなたがいくら嫌がっても、身体に吸収させる方法は、いくらでもあるんですよ。
 今、それを教えてさしあげましょう』
『い、いやだ! ここから出してくれ……っ!!』

 超高速でその夢から逃げ出したのは、言うまでもない。

 …………

 …………

「えー、まあそういうわけで」
 ナイトメアは震えながら、言葉を紡ぐ。

 ここがどこかは知らない。
 廃工場っぽい場所だ。窓がない上、血なまぐさい臭いもする。
 今、自分は古びた椅子に座らされ、荒縄でグルグル巻きにされている。
 縛られた手首が痛い。
 なのに夢の空間に逃げられない。
 そういう場所らしい。
 逃げなければと思うのだが、どうにも手段が見つからない。
 いったいここはどこの領土なのだろう。
 いや『国』ですらないのかもしれない。
 明瞭なのは、ここが夢魔にはどうにもならない空間だという事だけだ。
 自分は悪夢の中にいるのだろうか。夢魔が夢の中に閉じこめられたのだろうか。

「で、誰にするか決めたの? もちろん俺だよな。俺が一番大切にしてあげられる」
 ニコニコと笑う騎士。どの口がとつっこみたいが、敵はなぜか剣を抜いているので何も言えない。

「もちろん私に決まっているだろう。
 ひ弱な夢魔の身には望むべくもない、快楽と寵愛を与えてやろう」
 同格の領主だというのが信じられないくらい、偉そうな物言いの帽子屋。
 しかも手にはマシンガンが握られている。

「ナイトメア様。俺は長年あなたにお仕えしてきました。
 この二人が妙な気さえ起こさなければ、俺は……俺は……」
 あの夢の中のように、いつか壊れて監禁調教に突っ走ったと。
 口に出したいが、グレイの手にもまたナイフが握られているので、言うに言えない。

『で、誰を選ぶ?』

 …………

 これまでの経緯を夢魔は回想する。
 ナイトメアは、あるとき三人の男に同時に告白された。
 もちろん戸惑った。
 自分は確かに絶世の美青年で男に惚れられるのも仕方がない。
 とはいえ、その三人。そろいもそろって人格破綻者だ。
 自分が女でも絶対に選びたくない奴らだった。
 しかし断るという選択肢は最初から排除される。
 三人の夢を比較し、一人を選べと迫られた。
 でなければ領土をあげて総攻撃をしかけると。
 どれだけ迷ってもたどりつき、いつかは斬ると。
 忠臣の誉を捨て、己のたった一つの願いのためだけに生きると。
 そう宣言された。


 ぶっちゃけ誰も選びたくない。

 誰を選んでもBAD END直結だろう、これ。
 ナイトメアは勇気を出し、生まれたての子馬のごとく震えながら、
「ま、まあそういうわけで……全員の告白を断りたい……んだが……ひっ!!」
 言葉の最中に、耳元を銃弾がかすめた。
「もう一度言って欲しい。よく聞こえなかった」
 銃を手にし、平然と笑うのはマフィアのボス。
「い、い、いや、だから! 私が美青年だから惹かれるのは仕方ない。
 ででででも、さすがに男は……わっ!!」
 反射的に、身をかがめた真上を大剣がかすめる。
「まさか嫌とか言わないだろう? 夢魔さんって女がダメだって噂があるのに」
「大きなお世話だ!!……ゲホッ……」
 ストレスで吐きそうになり、縛られながらせき込んだ。
「おい、おまえたち。ナイトメア様のお身体のことを考えろ!」
 そばに寄って背をさすってくれたのは、長年の忠臣だった。
「グレイ……」
 やっぱり選ぶなら(消去法で)長年の腹心しかいないのか。
 と、涙目のナイトメアが思ったとき。

「これから俺たちの相手をしてもらうというのに、体力が持たないだろう」

 ――吐血したい!!

 ナイトメアは何とか仕切り直そうとした。
「あー、まあ諸君等の気持ちは嬉しいが、私としてはこれからも良い友人として……」
 一時間帯でも、一人として友人であったことはないが、ごまかすしかない。
「嬉しいならつきあってよ」
 エースはニコニコと揚げ足を取る。
 やはり剣を抜いたままで。
「わわわ私は、このことを決して口外はしないので、君たちも今まで通りに日常を――」
「拷問と薬漬け、どちらがいい?」
 マフィアは己の基準での日常を、気軽に口にする。
「わ、私はとと、と塔の主としての責務がある。悪いが今までも、これからも――」
「つまり俺を選んで下さると解釈していいのですね」
 補佐官はキッパリと曲解してくる。
 この世界の連中が人の話を聞かないのは、今に始まったことではないが……。
 ナイトメアはついにぶちきれる。

「とーにーかーく!! 私は誰も選ばない!!
 分かったらとっとと縄をほどけ!!
 おまえら全員覚えてろよ!! 今晩、とっておきの悪夢を見せてやるからな!!」
 
 ナイトメアは足をバタバタさせ、後先考えず吠える。
 すると三人の求婚者は顔を合わせ、互いに目を見交わした。
「…………」
 不吉な予感を抱き、ナイトメアは三人の心を読もうとした。
 が、全員が全員、完璧に心を読ませなかった。
「いや、あの、ちょっと……」
 頭がちょっと冷えたナイトメアは、顔をさらに白くする。
 一時の感情で、最悪のENDを引き当ててしまったのでは、という予感がしたのだ。
 そして世の中、嫌な予感ほど当たるものである。

「誰も選ばないってことは、誰を選んでも同じってことだよな。あはは!」

「大変に不本意ではあるが、他の者に取られるよりは、共有の方がまだ我慢が出来る」

「いっそその方がいいかもしれないな。俺一人では、あの方を壊してしまう……」

 不吉な話はなおも続く。
「『他の』軸はどうなっている?」
「どこも同じ考えみたいだよ。共有し、通わせているみたいだ。あははは!」
「こういうときはナイトメア様だと楽だな。あちらから会いに来て下さる」
「なら国が変わっても安心だな。いや、むしろ……」
 待て。ちょっと待て。色々と聞き捨てならない単語が山ほど混じっている。
「…………」
 三人が椅子に縛られたナイトメアをジッと見る。
 その目には、間違いなく加虐の欲求が見て取れた。
 汗が、冷たい汗がダラダラと流れた。
 ナイトメアは一向に理解したくないが、三人の間ではすでに合意が取れているらしい。
 
 逃げたい。夢に真剣に逃げたい。

 その願いは叶わなかったが、荒縄は外された。
 しかし何の行動も出来なかった。
「わっ!!」
 椅子から投げ出されたと思えば、他ならない己の腹心に地面に押さえつけられる。
「グレイ、おまえ……!!」
「ご安心下さい。初めてだから優しくします……暴れなければね」
 のっけからベルトに手をかけられ、大人しくする者がいたら見てみたい。
「そ、そう言われて暴れない馬鹿が……や、やめろ……!!」
 慣れた手つきでベルトがスルッと外された。
 ズボンを下ろされないよう押さえようとしたが、
「ほらほら夢魔さん。暴れちゃダメだって、トカゲさんが言っただろう?」
 頭の方から声がする。
「わっ!!」
 騎士によって、両腕を乱暴に床に押さえつけられた。
 そして視界が暗くなり、
「ん……ん……」
 騎士にキスをされたと気づく。騎士は少し微妙な顔をし、
「うわ、本当に血の味がするなあ」
 ――そ、そんな……。
 ファーストキッスを奪われたショック……というほど乙女ではないが、
これから起こることへの現実味が増した。
 そんな絶望感を生み出すには十分な行為だった。
「おい! 勝手に抜け駆けをするな。ナイトメア様は――」
「ならさっさと手を出していれば共有は避けられたのではないか?」
 グレイと帽子屋の挑発の応酬。そして、
「ん……んん……!!」
 今度は帽子屋にキスをされ、首を左右に振って抵抗した。
 だが、逆に舌を無理やりにねじこまれ、初めての深いキスを体験させられる。
「慣れていないようだな。だが悪くはない」
 同時に帽子屋の手が上着のボタンを外しはじめ、ゾッとした。
 夢魔の役や地位へのプライドが、音を立てて崩れていく。
「グレイ、止め……やめろぉっ!!」
 懇願したが、ズボンを下着ごと下ろされる。
「ナイトメア様。そんな女のように足を閉じないで。
 ほら、よく見せて下さい」
「――――っ!!」
 力ずくで足を開かされ、三人の視線が集中するのが分かる。
「わあ、夢魔さん可愛いなあ」
「ふむ」
「やめ……ぐ……う……」
 何でこんな目にあわなければならないのか。
 屈辱で涙がにじんだ。だが、現実はより非情だった。
「な、何をする……! あ……ぅ……」
 グレイがこちらの××に、無遠慮に触れてきた。
「何って、×××てるんですが? 気持ちよくはありませんか?」
 手を上下に動かすグレイが無表情に答える。
「……ん……っ……」
 背筋を電撃のようなものが走る。手を動かされるたびに言いようのない感覚が全身を走った。
「まあ夢魔さんって自分でやってなさそうだもんな」
 騎士がよく分からないことを言って笑う。嘲笑が混じっている気もした。
「や、や、止めろ、た、頼むから……ん……」
 上着をはだけた帽子屋が、肌に手を這わせる。
 その手つきが……普通に撫でられているだけなのになぜか熱い。
「ほう? ここもか? なかなかどうして、感じやすいようだ」
「ちょっとちょっと。二人ともずるいぜ。あー、でもそろそろ離して大丈夫かな」
 エースが言ってそっと、拘束していた両手首から、手を離す。
「は……っ!……ああ……はあ……ぁっ……」
 確かにナイトメアは初めての刺激に、どうしようもなく抵抗力を殺がれていた。
 屈辱だった。夢魔の力の全てを使い、脱出すべきだと思うのに。
 なのに……熱い。
「ナイトメア様、ほら、分かりますか? 俺の手の中でこんなに大きくなっている」
「ここまで素直に反応されると、女でも相手にしているようだな。
 芋虫。ほら、これを握ってみろ。トカゲにされているように動かして……」
 帽子屋に命じられ、彼の××を強制的に握らされる。
「ん……夢魔さん、もっと舌を出して。うん、いい子だ」
 騎士は口を嬲ってくる
 熱い。口と上半身と下腹部をそれぞれに弄ばれ、快楽に慣れていない身体は
あっという間に音を上げる。
「ん……あ……あ……っ……!……」
 達し、グレイの手の中に白濁した液を放ってしまう。
 解放感は一瞬で、直後に猛烈な羞恥心が襲う。
「……離せ……っ……!」
 怒鳴り、帽子屋から手を離し、騎士からも顔を背ける。だが、
「離せ? あなたに命令できる権利はありませんよ?」
 手についた体液をゆっくりと舐めながらトカゲが嘲笑する。
 昔見た、暗殺者の笑いに似ていた。
「その通り。おまえには従う義務があるだけだ」
「そうそう、ここでは俺のカードよりさらに格下なんだぜ、夢魔さんは」
 帽子屋も騎士も侮蔑的な笑いを浮かべている。
「おまえら……何の権利があって……こんな……」
 これだけ屈辱的な扱いを受けているのに、何も出来ない。
 怒りと悔しさに精神を苛まれ、ナイトメアはほとんど泣いていた。
「夢魔さんが弱いのがいけないんじゃないか?」
 この世界は弱肉強食なのだと、誰よりも知る男が笑う。
「最初は俺がもらう。これだけは譲らない」
 ナイトメアの足を抱え、補佐官が宣言する。
「結構。早く終わりそうだからな」
 ナイトメアの髪をつかみ、自分の前を緩め、帽子屋が嘲笑する。
「んー、じゃあ俺は、手でしてもらおうかな」
 夢魔の手首を、折れそうな力でつかみ、騎士はやはり笑っている。
 ナイトメアは目を閉じる。
 もう絶望以外のものは見いだせなかった。

 …………

 どれだけの時間帯が経ったのか分からない。
 三人がいつ満足するのかも、自分がどれだけ責め立てられればいいのかも。
 何も分からない。

 すでに最後の一枚まではぎ取られ、冷たい床に押しつけられ、全員にマワされた。
 解しも半ばに突き立てられ、泣き叫びながら慈悲を請うた。
 手で奉仕させられ、顔に、髪にかけられた。
 無理やり口に押し込まれ、手痛いお仕置きと一緒に奉仕の方法を教えられた。
 もうどれくらい経ったのか分からない。
 ただひたすらに犯されている。
 思考の維持さえままならなくなっていた。

「夢魔さんって慣れるの早いよなあ。
 入れられながらこんなに勃つとかさ」
 足を抱えながら責め立てる騎士は、自分の腹に当たるナイトメアの××を笑う。
 確かに自分のそれは、汁をダラダラ垂らし、より強い苦痛を望んでいた。
「あ……あ……ぁ……」
 内を圧迫され、何度も放たれた場所が期待に震える。
「ナイトメア様。こちらにも集中して下さい。ん……は……っ……ああ、いい子だ」
 何度目かの奉仕をさせながら、グレイは主の髪を撫でる。 
 といっても自慢の銀髪はあちこち、精を放たれ、汚されているが。
「いいざまだな、芋虫。実に見苦しく、美しい」
 帽子屋はというと、何度もナイトメアの中に放った後は優雅に紅茶を飲み、
獣たちの交わりを鑑賞している。
 とはいえ、そう長く休憩は取らないだろう。
 邪悪な笑みは、よりろくでもないことを考えているように思えた。
「ナイトメア様……ナイト……メア……」
「――っ!!……」
 口の中に苦いものが放たれる。音を立ててそれを飲み干し、××を舌で清めた。
「はは。本当に、見込んだ……とおり……×××××、だよなあ……」
 そうあざ笑い、騎士が中に放つ。
「ん……――っ……」
 上下に刺激を受け、夢魔もまた精を吐き出した。
 しかし息をつく間もなく。
「そこをどけ。次は俺だ」
 グレイが騎士を押しのけ、ナイトメアをうつ伏せにさせ、腰を持ち上げる。
 ナイトメアはほんの少し冷静になった頭で、次なる苦痛を予期する。
 頬につく床はあちこち、白濁した液で汚れ、もう誰が誰のものかも分からない。
 しかしもう抵抗する気力もなかった。
 何より……自分の××がまた反応を始めている。
「!!」
 騎士がナイトメアの前髪をつかみ、持ち上げさせる。
「堕ちるの早いなあ、夢魔さん。よっぽど我慢してきたんだ。
 帽子屋さん。これじゃあ撮影している意味、なくない?」
 撮影機器などは全く見えないが、何かしらの方法で自分の醜態を
克明に記録されているとは分かった。
 清々しいほどに外道な奴らだ。
 本当にどこまでも……あまりにも……。
「そのようだな。だが記録で脅すという手法は古典的すぎる。小悪党のすることだ」
「何。使い道はいくらでもある。
 自分から堕ちてきて下さったんだ……俺たちも応えよう」
 グレイが勝手なことを言い、自分の××を押し当てる。
 未だ白濁した液をこぼす緩みきった場所に。
 ゆっくりと挿入を行う。
「……ぐ……っ……」
「次は私のものを頼もうか、芋虫」
 気がつくと帽子屋がそばにいた。
 だが、××を口に入れられても従順に応じる自分がいる。
 もう何も考えられない。
 ああ、認めよう。
 堕ちた。服従してしまった。
 現実世界に戻されても、二度と抵抗できないのだと、ぼんやり感じていた。
「愛してます、ナイトメア様。永遠に……」
 貫きながらのたまう補佐官。
 堕ちた夢魔には、それはもう呪いの言葉としか思えなかった。
「もっと楽しもうぜ、夢魔さん」
「ああ。時間だけは腐るほどにあふれているからな、この世界は」
 
 誰とも知らない場所で、誰もが畏れる夢魔は抱かれ続けた。
 彼を愛していると称する狂った男たちに。
 永遠に。


 BAD END

…………
リク内容:グレイ&ブラッド&エース×ナイトメア

リクが遅れましたことを、深くお詫び申し上げます<(_ _)>

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