続き→ トップへ 短編目次 ■捕らえられた話4 ※R18 『礼』とやらがエスカレートする。 あれから帽子屋は何度ここに通っているのだろう。 「ん……はぁ……」 「時計屋……もう少し耐えろ……」 「だが……」 例によって手首を拘束され、今回は床に転がされていた。 帽子屋は傍らにしゃがみ、隠すもののない×××を弄んでくる。 最近は紅茶の本には目もくれず、こちらの身体に触れてくるようになっていた。 前をはだけられ、下を膝まで下ろされた屈辱的な姿をさせられた。 もともと自分でもろくに触れていない場所は、帽子屋に扱かれ、みっともなく汁を 零し、解放を求めて荒れ狂っていた。 「帽子屋、外せ……っ!」 何とかしたくて仕方がない。 手を何とか解放しようとするが、手首に巻かれたタイは思いのほか強度がある。 どうにも出来ず、床の上で悶えていると、帽子屋がニヤリと笑う。 ふいに立ち上がると汚れた手袋を外し、くずかごに放る。 そしてみじめな姿をさらすユリウスから離れた。 「そうだ。そろそろ私も、おまえに触れるだけでなく触れて欲しい」 そう言って帽子屋はソファに座る。 「…………?」 「口だけで私をその気にさせてみろ」 その碧の瞳は冷徹だった。 「……分かった」 よく分からない。自分がおかしくなっているのか、夢魔の悪夢に迷い込んだのか。 ズボンを全て脱がされていないため、何度か転びそうになりながら膝立ちでソファに 近づく。身体を伸ばし、まだ全く反応していない帽子屋のズボンに触れる。 「ん……ん……っ」 布地の上から犬のように必死に舐めていると、髪を優しく撫でる感触を抱く。 陰鬱であいまいな世界の中に、それが光のように心をわずかに射した。 「悪くはない。直接やってみろ」 そう言って帽子屋はベルトを緩め、前を剥き出しにした。 「……っ」 ユリウスはわずかにためらう。直に他の男の××を見、薄れかけていた冷静さが 戻ろうとしていた。 「…………」 そのとき、ふと頭上で帽子屋が何かしたような気がした。 だが緩慢に見上げても、帽子屋に変化はない。ニヤニヤと笑っているのみ。 ただ思考を奪う薔薇の香気が強まった気がした。 そういえば、どれくらい珈琲を飲んでいないのだろう。 買った珈琲豆は一杯分飲んだだけで、収納もされず、部屋の隅に放られている。 「時計屋」 上から頬を撫でられ、何だかどうでも良くなってくる。 そして促されるままに、手首を縛られたまま、帽子屋の××に舌を触れさせた。 「ん……」 ぎこちなく口を動かしていると、少しずつ反応してくる。 「……っ……」 息苦しい。初めてのことなので、どうしていいか分からない。 だが、自分はどうかと考えながら、ぎこちなく舌を動かしていく。 頭を撫でる手が心地いい。 かすかに見上げると、宝石のような碧の瞳がこちらを見下ろしていた。 やはりきれいだ。本当にきれいだ。いつまでも見ていたい……。 ――そんなことが、出来るはずがない。 そうだ。出来るはずがないのだ。なのに、なぜ自分は……今……? 「ん……」 そのとき、自分と同程度に育った××をふいに引き出される。 どういうことだろうか。 それとも、これで自分は解放してもらえるのかと、期待をこめ帽子屋を見上げる。 すると、帽子屋が優しく額に口づけてきた。 それが嬉しくて、かすかに微笑む。 ありえないことが起こっている。 だから、やはり自分は夢魔の悪夢でも迷い込んだのだろうと。 「……っ」 瞬間、帽子屋が苦しげな顔をした気がした。 そしてユリウスは、再び乱暴に床に転がされる。 「……っ!」 床に軽く頭を打ち、少しだけ我に返ると、帽子屋がのしかかってくるところだった。 乱暴に肩をつかまれ、下を完全に脱がされ、足の間に帽子屋の身体が入り込む。 「時計屋……抱くぞ。いいな?」 「あ、ああ」 それだけ応えた。 ………… 「う……ぐ……っ」 「固いな……本当に騎士とは何もなかったのか。それならもっと……」 帽子屋が何か独り言を言っている気がしたが、背部の圧迫感と痛みに汗を流すしか ない。後ろを無理やりにこじ開けられ、香油をまぶした手袋で慣らされる。 手首は解放されたが、そうしたら何をしようとしていたか忘れてしまった。 帽子屋は上着とスラックスを身につけているが、自分はというと、もう一枚も布地を 身につけていない。 痛みから少しでも気をそらすために、手近にあったコートにすがりついた。 そのとき、いつも身につけていた時計の飾りが目に入る。 ――…………。 そうだ。時計。自分は時計屋だ。時計を修理しなくては。 だが、帽子屋が通うようになってから。少しずつおろそかになっている気がする。 ぼんやりした視界の中に作業台が見える。 いつの間にか、作業台に山と積まれた時計。 そういえば部下は、客は、最後に姿を見たのはいつだっただろう。 「あ……あ……っ」 「くく。慣れてきたようだな。また反応を始めて……思っていたより××な男だな」 指を増やして後ろをさらに慣らされる。だが痛みの中に、どこか恍惚が混じる。 帽子屋に慣らされ、彼に貫かれるのだと。 そう思うだけで背筋が期待に震える。 全てがどうでも良かった。 この碧の瞳が自分を捕らえてくれているのなら。 4/5 続き→ トップへ 短編目次 |