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■猫耳協奏曲・下

「ん……」
ゆっくりと前をはだけられ、舌が胸を這う。くすぐったくて身じろぎするが、
やんわりと押さえつけられた。抜け出す隙をうかがうが、
「逃がさないぜ」
真上から見下ろされ落ち着かない。もしかして本当に逃げられないのだろうか。
そう思っているとエースが、
「ユリウス、俺は騎士だから動物には優しいんだ。だから怖がらなくていいぜ」
「別に怖がってなどいない」
「嘘つけ、耳が寝てるぞ」
ペタリと伏せられた耳を指でくすぐられ、背筋に妙な感覚が走る。再びエースの指が
胸に触れた。悪ふざけをするようにいじられ、身体がどこか震えてしまう。
エースはそのまま舌で胸を愛撫する作業を再開した。
「ん……んんっ」
ぬめる感覚は次第に身体を下りていく。しかし上の拘束が緩んだので、逃れる隙を
うかがい上半身を起こすと、騎士は困ったように、
「ユリウス。いつもならそろそろ諦めてくれるのに……仕方ないな」
「――っ!?」
下衣の前をゆるめられ、エースの手が強引に中に入り込む。
中心に無遠慮に触れられ、外に引きずり出され、思わず威嚇の声を上げると
「ユリウス、怒るなよ。今、良くしてやるから」
「っ!?」
エースはユリウスの股間に顔をうずめた。驚きに目を見開く。
だが身体の最も敏感な箇所をなぞられ、すぐさま執拗に刺激される。
「ん!ん――!!」
暴れるが、下半身は完全に押さえられ全く動かない。何とか頭をどかせようと髪を
つかむがより強く吸われ、むしろすがるように抱きかかえてしまう。口内で先走りが
あふれるのが分かり、そこをさらに丹念になめられ、快感にただ震えるしかない。
そこでようやくエースが顔を離し、ニヤニヤ笑い、
「はは。やっとその気になってきた?」
手の甲で少し口をぬぐい、身体を上げる。
だが中途半端に放り出された形のユリウスはすっきりせず、自分で何とかしようと
自分の×××に手を伸ばし、
「ユリウスー。それはそれで見てみたいけど、今はそういうプレイじゃないだろ」
苦笑したエースだが、少し残念そうに、自分の下半身を見下ろし、
「はあ、ユリウスの猫の舌になめてもらいたいけど、今のユリウスじゃ絶対に
噛みつかれるよな。せっかく頭の中までゆる……猫になってるのに、ついてないぜ」
「は?何を言っている?私は猫だぞ。馬鹿か?馬鹿だな。ああ、馬鹿だ」
「時計屋の猫くん、一人で完結するなって」
エースはユリウスの後ろに手を回し、するりと上着を全て剥がして下に放り投げる。
騎士に肩を押され、上半身を起こしていたユリウスは再びベッドに沈み込んだ。
「ん?何をする?痛……!」
ズボンを引きずり下ろされ、後ろに指を挿入される。なれた手は、ときおり尻尾の
付け根をくすぐりながら慎重に後ろを解していく。
ユリウスは痛みにもがくが、エースは頑として動かない。尻尾をつかみ、
「はは。尻尾が逆立ってるぜ。可愛いなあ」
そしてエースはユリウスを手早くうつぶせにさせ、腰を抱える。
後ろに生ぬるいものが押し当てられ、緊張が走った。
「ユリウス、行くぜ」
「ま、待て――っ!」
制止するが、もちろん聞く相手ではない。

「い、痛い!離せ!出せ!」
異物を強引に挿入され、痛みと圧迫感でユリウスは暴れた。
だがうつぶせにされては何も出来ない。
やがてゆっくりとエースが動き、ユリウスは獣の体勢のまま揺さぶられた。
「ん……あ……」
汗がシーツに落ち、耐えきれずに首を振る。エースは次第に動きを早めながらも
ときおり手をのばし、ユリウスの獣耳や長い髪をなでる。
「もっと力を抜けって」
「ん……ぅ……」

「はあ……はあ……」
汗がシーツに染みこみ、ユリウスはそれを握りしめ、快感にあえぐ。
慣れで痛みが薄れ、前も起ちはじめ、今は与えられる快感を追いかけている。
ユリウスは抵抗なく自分も腰を動かし、エースのモノを奥に誘うようにする。
「はあ、禁欲生活が長すぎたぜ。悪い。そろそろイクから……」
「……はあ……はあ……ああ……」
「ユリウス、もう……」
熱い声でエースが言う。ユリウスもそろそろ限界だった。
「…………っ」
内に生温かいものがはぜる感覚がし、刺激でユリウスも白いものをシーツの上に
幾度もこぼした。直後に上からエースに覆い被さられ、支えきれずにベッドに倒れる。
「猫耳に尻尾つきのユリウスとやるんだろ?本当言うと、今にも爆笑しそうだった」
肩に口づけながらエースが言う。だが手は優しく尻尾をいじる。
ユリウスは疲労で答える気になれず、したいようにさせた。
それをいいことにエースは嬉しそうに、再びユリウスの身体に触れながら、
「最高のご褒美だな。ユリウスがずっと猫でいてくれたらいいのにな」
騎士に触れられ、自身が再度熱くなっていくことを感じ、ユリウスは振り向いて、
エースと口づけをかわした。
舌がザラザラする、とやはりエースは笑って、強く抱きしめてきた。

…………

その後、数時間帯を経過して、ようやくユリウスは身体も頭も元に戻った。
しかし羞恥心に正気を失い、唯一の目撃者を消すべく、エースと壮絶な死闘を
繰り広げることになるのだが、それはまた別の話。そして……。

「おーい、ユリウス、時計たまってるぜ。そろそろ仕事しろよ!」
「うるさい。昼寝より大事な物がこの世にあるか」
「だから床で丸くなるなって。寝るならせめてソファかベッドで寝ろよー」

後遺症はしばらく残ったのだった……。

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