続き→ トップへ 短編目次

■夜が来る・下

※R15

ユリウスは、さまざまな事情から、ある少年の面倒を見ていた。
その少年が、あるときから保護者である自分に、愛をささやき出した。
最初はいつもの悪ふざけだろうと相手にしなかった。
駅で彼女でも探してこい、と素っ気なく答えた。
だが少年は止まらない。いつしかキスをせがむようになった。
そのうち業を煮やしたのか、ベッドに忍んで、こちらの身体に触れるようになった。
ユリウスは激怒し、諫めたが少年は聞いたそぶりもない。
それどころか、こちらの弱気につけこむ様子を見せるようになった。
部屋を別々にしたのも、そうした現状に脅威を覚えてのことだった。

「……頭がおかしいのか?私は男で、おまえはまだ子供で……」
少年の身体を押し返そうとするが、すでに少年は体力の優位を知っている。
膝を押さえつけられ、どうしても動けない。
「だから、子供じゃないって。ユリウスの方が言ったんだろ?見苦しいぜ」
「それは……ん……っ……」
ズボンを完全に下ろされた。
まだ完全に反応の覚めない場所を手で刺激され、ユリウスは言葉につまる。
対する少年は、掛け布を完全に剥がして床に落とし、月明かりにユリウスの下半身を
じっくりと確認する。そして嬉しそうに、
「ユリウス……良かったんだ。×××はデカいけど、反応は可愛いよな」
子供っぽく品のないことまで言い、またユリウスの××に顔を近づける。
「よ、よせ……っ!!」
ユリウスは真っ青になってエースを止めようとした。
だが、少年はチラッとユリウスを見上げ、笑う。
「大きな声を出さない方がいいぜ?ユリウス。誰か来たらどうするんだよ」
「何?おまえ、何を言って……」
するとエースは裸の上半身を起こす。
大人になりきらない身体には、外でつけた痛々しい傷があちこちに見えた。

「女に声をかけられない時計屋が、性欲を満たすために、抵抗出来ない養い子に手を
出した……。この状況さ、そう見られるんじゃない?」

「な……っ!」
想像もしなかったことを言われ、ユリウスは絶句する。
するとエースは笑った。
「はは。そう見られるかもって言っただけだぜ。
もちろん、俺がそう証言したら、もっと真実味が出るだろうけど」
そう言って、もう一度ユリウスの××に口をつける。
「く……」
子供とは思えない舌の動きに、反応を止めようとしていた××が再び熱を持つ。
「お、おまえはおかしい。正気に戻れ……!」
エースは答えない。快感は勝手に増していく。
望まぬ奉仕されながら、どうすることも出来ず、ユリウスはうめいた。
ユリウスの××を舌で愛撫し、手を激しく上下させながら、エースはユリウスを見る。
その緋の瞳を見た瞬間に、ゾクリと、言い様のない何かが背を駆け上がる。
「ん……」
そして硬さを増した××をさらに反応させようと、少年が舌を懸命に動かしている。
「ん……はあ……あ……」
声が上ずる。解放を求める雄の本能と、理性が激しく戦っていた。
「……あ……ああ……」
少年の立てる音に水音が混じる。
ユリウスは少年の頭に手を当て、何とか引きはがそうとしたが、かなわない。
先走りの液が手をつたい、月明かりに光るのが見える。
罪悪感と背徳感に挟まれ、ユリウスの理性も限界だった。
「あ……ああ……う……ああ……――――っ!!」
瞬間、長いことためていた欲望を、放ってしまう。

「はあ、はあ……」
「げほっ、げほ……は、はは……」
欲望から解放され、ハッと我に返ると、むせこみながらも少年が笑っている。
嬉しそうに、××から零れる残滓に舌を這わせ、ユリウスを悪戯っぽく見る。
「よ、よせ、飲むな……!」
慌てて制止するが、少年は喉を上下させた。そしてやはり笑う。
「初めてで本当は自信がなかったけど、ユリウスがイッてくれて良かったぜ」
「エース……」
正気に戻ったユリウスは苦悶する。一体、どこで対応を間違ったのか。
なぜ、よりによって保護者で同性の自分に、こんなおぞましい感情を……。
「おまえを墓守領に預ける。奴らはマフィアだが……」
「ダメだぜ、ユリウス」
エースは即座に拒否し、恋人にするようにユリウスに抱きつきながら言う。
「そうしたら、俺は傷ついて、ユリウスの悪評を広めるかもな。
ユリウスが夜ごと、嫌がる俺をベッドに引きずり込んだ、とか……」
「正気の沙汰ではない!誰が信じるものか……!」
けれど少年は爽やかに笑い、ユリウスに裸の上半身を絡める。

「俺が泣いて訴えたら?子供の証言と、大人の苦しい言い訳。
『あの人』、どっちの言い分を信じると思う?」

「こ、この、恩知らずが……っ!」
激昂して震える時計屋。けれど少年はユリウスに口づける。
「俺はユリウスが好きなだけだ。受けた恩だってちゃんと返すつもりだぜ」
そうして、ユリウスの服のボタンを外していく。
一体、この少年は何者なのだろう。

「俺は時計塔の騎士になる。そうしたら、ずっとずっと一緒だ……」

心底から愉しそうに言い、ユリウスを抱きしめ、口づけをする。
「もっと練習しようぜ、ユリウス。夜が来るたびに、ずっと……」
「止めろ……エース……!」
だが、触れるだけの口づけが、深いものに変わるまで時間はかからなかった。

「ユリウス、好きだ……」
「…………」
ユリウスは月明かりの中、呆然とし、どこか機械的に少年を抱きしめ、舌を絡める。

再び『反応』を始める自分自身の愚かさを、どこかで自覚しながら……。

2/2

続き→

トップへ 短編目次

- ナノ -