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■白と黒の時間7

思い出せない。
だが、焦る気持ちは強くなる。
帰らなければ……会わなくては。

「…………」
床に座り、ぼんやりと道化の部屋を眺めている。
けれどどこを見るという気もなく、心は虚ろなままだ。
「ユリウスは小さくなっても髪がきれいだよね。やわらかくてサラサラしてて」
ソファに座す道化の方のジョーカーが、子犬を撫でるようにユリウスの髪を撫でる。
「おい、ちょっかいかけてんじゃねえよ……来い」
道化の隣に座っていたジョーカーに、こちらが返事をするより早く抱き上げられる。
「……っ!」
先ごろの非道な行為で裂かれた箇所が激痛を訴え、声なき悲鳴が出る。
「てめえ……なんだよ、その顔は」
「あはは。ジョーカー。もっと労ってあげなよ」
「けっ。最初に入れたのは、てめえの方だろ。何、善人面してやがる」
吐き捨てながら、ユリウスを睨む。
痛みで涙がにじみ、視界がぼやける。
自分を抱き上げる男が怖くて怖くて、身体をぶるぶると震わせていると、
「……叩きつけるぞ、このガキ」
案の定、ジョーカーは険悪な声でユリウスを睨む。
「そう?怯えた子猫って可愛いじゃない?ほら、本当に暴力をふるう前に貸してよ」
「嗜虐心をそそる、の間違いだろ。ほらよ」
「っ!」
ボールのように宙に放られ、ドサッと道化の腕の中に落ちる。
「はは。可愛いな、ユリウス」
「……っ」
こちらのジョーカーが親切そうなのは上辺だけだと、とうに知っている。
かといって逃げる隙があるわけでもなく、身体を凍りつかせていると、
「ユリウス。そんな可愛い顔で見ないでよ。もっと見ていたくなる……あ、そうだ」
何となく思い出した、という様子でジョーカーはユリウスをソファから床に下ろす。
彼の関心が自分からそれたようで、ユリウスは安堵する。
しかしそれもほんの数秒のことだった。
「おい、ジョーカー。おまえ、昼間っから何を……それにもうすぐ仕事だろう」
「昼間の時間帯が嫌なら夜に変える?君だって俺が仕事に行ったらユリウスと
二人でまた楽しむ気なんだろう?」
「そ、それは……」
ジョーカーはニヤリと笑い、外気に出した×××を立ち尽くしたユリウスに見せる。
「前はまだやってもらってないんだよね。ジョーカーはすごく良さそうだったし、
仕事に行く前にちょっと試させてよ」
「…………」
ユリウスは救いを求める目で乱暴な方のジョーカーを見た。
けれど監獄の所長のような格好をした男は目をそらす。
「ほら、ユリウス。おしおき、されたい?」
道化の声は優しく、顔も笑顔だ。
けれど、ここで拒んだら後々の報復があると脅してくる。
ユリウスは諦め、ゆっくりと、ジョーカーのモノに手を添えた。
すでに反応し始めているモノを無理やりに口におさめる。
「ん……ん……」
「ふふ。本当に可愛いね。舌が小さいし、やり方も一生懸命だ。
大きいときも、この半分くらい熱心にやってくれないかな」
褒められても嬉しくない。
必死に舌で上から下までを舐め上げ、口いっぱいに含み、必死に動かした。
努力の甲斐あってか、×××は少しずつ大きく硬く、存在を増していく。
するとジョーカーが何かに気づいたように、
「あ、ごめん、本当にそろそろ仕事に行かなきゃ。ユリウス、悪いね」
「ん……ん……!」
突然髪をつかまれ、快感を与えるだけの道具のように、前後に揺さぶられる。
止めてほしいと思っても、相手の力が強くて、自分の意思では全く動けない。
卑猥な音を立て、口の中を先走りにぬめるモノが何度も出入りし、嫌悪感と
不快感で、涙がボロボロこぼれた。
「ん……んん……っ」
「そんなに泣かないでよ……ユリウス、ご苦労様」
道化が笑う声をともに、やっと手が離れ、口も解放された。
激しくむせながら、周りを確認する余裕もなく床の上にへたりこむと、
「……っ!」
髪と顔に何かが飛び散った。
道化の××をかけられたのだと一瞬遅れて気づいた。
「良かったよ。仕事が終わったらまた可愛がってあげるからね」
道化は手早く自分のモノを清めて服の内に収める。
そして立ち上がり、まばたきをする間にその空間から消えた。
「…………」
かけられたものを拭かなければと思うが、気持ち悪くて何も出来ない。
身体を動かしたくない。そして、頭のどこかで思うことがある。
――以前、誰かにこれと同じことをされたことが……。
「……けっ。面白くねえ……」
「っ!」
もう一人のジョーカーはまだ室内にいたのだと気づいた。
立ち上がり、とにかくどこかへ行こうと思う前に、腕をつかまれた。
「痛っ!」
腕が外れるかと思った。腕だけでジョーカーの膝の上に戻され、布で乱暴に顔や
髪をぬぐわれる。されるがままになり、ぼんやりとジョーカーを見ていると、
「そんな目をしてんじゃねえよ……」
「……!」
監獄の所長に、ソファに押し倒される。
小さな身体でろくな抵抗が出来るわけもなく。
何をされているか分からない間に、上を脱がされ、シャツを羽織っただけの姿になっていた。
「やだ……止めて……っ」
「てめえから誘っておいて、何言ってやがる!」
何のことだか分からない。
「ん……っ」
はだけられた胸をジョーカーの舌がなぞる。
明かりの下で、怖そうなジョーカーの顔がユリウスの下にあった。
帽子を取り、一心不乱に小さいユリウスの身体を貪る。
そして別の手がズボンを引き下ろし、中心部に触れ、無遠慮にまさぐった。
「や……あ……っ!」
快感が背を走り、ビクッとのけぞった。
「時計屋……畜生……っ」
我慢が出来ないといった様子でジョーカーが起き上がった。
もしかして、終わりなんだろうか。ユリウスは一瞬期待した。
ジョーカーが懐から、瓶を取り出すまでは。

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