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■白と黒の時間3

暗闇の中、ユリウスが気配を感じて目を開けると、突然口をふさがれた。

目を開けても暗闇なので分からないが、怖い方のジョーカー――今は制服ではなく
シャツ姿のようだが――が毛布の中に入り込んでいた。
彼はソファのユリウスに覆いかぶさるように体重をかけながら、
「大人しくしてろ、向こうのジョーカーは寝てるんだ」
危害を加えられるのではないかと、何とかうなずくと、
「よし、声を出すんじゃねえぞ……」
そう言って、ジョーカーはユリウスの口から手を離すと、音を立てないように、
ユリウスのコートを脱がせた。思わずユリウスは、
「な、何を……」
「静かにしろ、殴られたいのか?」
低い声ですごまれ、ユリウスの言葉が止まる。するとジョーカーはユリウスの
小さなコートをソファの下に捨て、さらにユリウスのシャツのボタンを外しながら、
「くそ、ガキ相手に発情したなんてジョーカーに知られたら……」
と独り言を呟いた。
いったい何をされるのかとユリウスが身体を硬くしていると、ジョーカーが、手を
ユリウスの服の中に忍ばせてきた。指が胸の突起をかすめ、思わず声を出そうと
すると、再びジョーカーが唇でユリウスの口をふさぐ。
一度顔を離し、さっきよりも怖い声で、
「静かにしていろ。本当に殴るぞ」
「…………」
黙ると、ジョーカーは再び唇を合わせた。
内側をなぞり、舌を絡め、唾液の音がする。
何度か顔を離しては、角度を変え、さらに強く押しつけてくる。
暗闇の部屋に荒い息づかいが響いた。
やがて口づけを終え、ジョーカーは、乱暴にユリウスの身体に触り、さっきの続き
なのか、探るように全身に這わせていく。
声を上げそうになった箇所を覚えているのか、胸を重点的に弄られる。思わず声が出る。
「ん……ん……」
今度はなぜかジョーカーは何も言わない。むしろユリウスの反応に満足したように、
他の箇所にも触れだした。息をやや乱れさせ、身体の形を確かめるように、手の届く
場所全てに荒く触れていく。そして独り言のように
「くそ……こんなに小さくなりやがって……」
「……?」
ふと違和感を抱いて下を見ると、ジョーカーがユリウスのズボンに手をかけ、
下ろそうとしていた。反射的に引き上げようとするがジョーカーの方が早い。
下着ごと一気に膝まで引き下ろされる。今度こそ声を上げようとすると、
ジョーカーは何も言わず、穏やかにユリウスの首に手をかけた。
「…………っ」
力を込められているわけではない。だが言わんとすることぐらいは分かる。
ユリウスが急いでうなずくと、ジョーカーは手を首からどけ、むき出しになった
箇所に遠慮無く手をのばした。

「……っ」
殺されるよりは、とユリウスは両手で自分の口を押さえた。
ジョーカーはニヤリと笑い、
「そうだ、そうしとけ。賢いガキは長生きするぜ」
そして抵抗されないのを良いことに股間を好きなようにまさぐっていく。
だが無遠慮に触れられ、強引に扱かれたところで、縮み上がってしまい、反応出来る
わけもない。
「ち。ガキになっても可愛くねえな……」
ジョーカーは気が済んだのか、あきらめたのか、ユリウスの前から手を離し、
身体を起こした。幸い機嫌を損ねたわけではないようだ。
もしかしてこれで終わってくれるのかとユリウスは期待をこめて見上げた。
だがジョーカーに、突然、口をふさいでいた手をつかまれた。
何をされるのかと思う前に、肩を外される勢いで身体ごと引き上げられる。
「!!」
そのまま引きずられるように体勢を変えさせられ、ジョーカーの前にうつぶせに
させられた。下の服が膝まで下がっているので、拘束されている気分だ。
そして何とか顔を上げると、目の前に――
「…………」
言葉を失った。いきなり彼のものを見せられ、何をどうすればいいのか分からない。
ユリウスの眼前で、自分の前をゆるめ、×××を突きつけたジョーカーは、
「何、してるんだ、ほら、いつもみたいにやれよ」
いつもみたい……とはどういうことだろう。自分は小さい姿だが、記憶喪失になる
前、この男に、こんなことをしていたのだろうか。
呆然としていると、ジョーカーは欲望と……何かが入り交じった表情でささやく。
「嫌なら、早く思い出せ。あいつはああだし、俺もおまえにひどいことをする。
監獄は苦しむ場所で楽しむことは許されないからな。踏みつぶされる前に出ろ」
こんな状況で何を言い出すのだろう。まるで意味が分からない。
危機を回避する唯一の方法が記憶を取り戻すことだと分かってきたが、だからといって
どうしようも出来ない。せめて救いを求め、懇願するようにジョーカーを見上げるが、
「くそ。おまえが……おまえが悪い。思い出さない、おまえが……」
目をそらし、何かに言い訳するようにジョーカーはつぶやき、そしてユリウスの頭を
つかみ、わずかに開いた口に、強引に自分のモノを押し込んだ。

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