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■再会と欲望と・下

※R18

「はあ……はあ……っ」
「はは。これでお互い様だな」
余裕の顔で唇を舐める騎士は、ユリウスが放心状態で座っているのをいいことに
手早く上半身を脱がせる。そして再度、床に転がし、ついでに下半身も抜き取った。
「……っ」
湿った床の冷たさにユリウスはわずかに正気に返った。
「こんなこともあろうかと店で買っておいて良かったぜ」
騎士は全裸の自分の上にまたがり、懐から取り出した小瓶のフタを開けている。
――こんなことも……?
だが、それを見て、一度は満たされたものが、再び飢えを訴えて震える。
「あ……っ」
騎士は瓶の中身を指にからめ、こちらの足を抱え、後ろに潜り込む。
慣れた手つきで容易に中に侵入し、巧みに入り口を広げていく。
「あ……ああ……」
「このへんでいいか……ユリウスも待ってるみたいだしな」
「おい、私は別に……!」
「あははは。素直じゃないな、ユリウスは」
それきりユリウスの返答を待たず、騎士はユリウスを引き起こす。
湿る床にうつぶせにさせると、腰を抱え、先をあてがう。
「この、×××××が……」
「ユリウス、入れるぜ。俺は久しぶりだけど、ユリウスは大丈夫だよな」
――……?
ユリウスはふと、騎士の言葉に違和感を覚えた。だが、それを追及する前に、
「……くっ!」
熱く硬いものが中に押し入った。

すぐに騎士は激しく腰を動かし、容赦なく突いていく。
「はあ……ああ……っ!}
鈍い痛みと覚え込まされた快感、激しい動きに翻弄される。
「あ、ああ、……っ……!」
床に顔を押しつけ、ユリウスは恍惚の声を上げた。
ユリウスの反応に煽られてか、騎士はさらに動きを速める。
与えられる快楽の渦中にいながら、だがユリウスの脳裏で何かが違和感を訴える。
気のせいかもしれないが、騎士の言動の端々にどこか当てつけがましいものを感じる。
そう思うと、性急な動きや興奮も、苛立ちの裏返しのように思えてきた。
「ユリウス……ユリウス……」
「ああっ……」
容赦なく最奥を突かれ、考えが霧散する。
出来れば騎士の顔を見たいが、なぜか振り向けない。
体勢的に難しいというより――騎士は怒っている。
そんな気がした。
だがまともに思考を保てたのも、そこまでだった。

「はあ、ああ……ああ……!」
獣のように四つん這いにさせられ、後ろから攻め立てられ、自分の××は限界まで
張り詰めている。結合した部分からは淫猥な音が響き、ユリウスの理性を押し流す。
「ああ……もっと……ぅっ……!!」
声を上げる。もう扉のことも汚れた部屋のこともたまった仕事もどうでもいい。
騎士のことしか考えられない。もっと強く、ひどくしてほしい。
願いはそれだけだった。
「――……っ!」
腰を引き、ひときわ強く突かれ、耐えきれずに相手の名を叫ぶ。
それで絶頂を迎え、床に白いモノがほとばしった。
「ユリウス……」
一呼吸置き、騎士も達し、最奥に熱い体液が吐き出された。
「はあ……はあ……っ」
騎士は最後まで出すと、わずかに身体を震わせ、ユリウスに覆いかぶさる。
重い。身体は熱を持ち汗ばんでいる。密着するほどに時計の音がよく聞こえた。
「ん……」
ユリウスは騎士の重さと抱擁を快く感じながら自分も床に崩れ落ち、目を閉じた。

…………

ユリウスは身体のだるさを押さえ、塔の廊下を歩いていた。
騎士が出て行ってからかなりの時間帯が経過した。

あの後。××騎士の相手をどうにか終え、奴が『追加料金分』を求めるのを殴りつけ
断固拒否し、仕事を山ほど命じて追い出した。
そして、かなりの時間をかけて乱雑した部屋をどうにか元の状態に戻した。
それからはほとんど不眠不休で時計修理をしていた。
窓から見る限り抗争は完全に落ちついたようだ。
時間が経ち、街並みも元の状態に巻き戻っている。
しかし騎士に頼んだ分を含め、隠された時計の数は相当な量にのぼる。
……加えて、最重要である『破壊された時計の再生』は全く手つかずだ。

あんな惨事などなかったかのように、書類を抱えて行き来する塔の人間。
時計屋への妙な疑いも忘れたかのように、普通に笑いながら、すれ違う。
……とはいえ、妙な疑いをかけられ、身体を害され、大事な仕事場を荒らされた。
ユリウスは夢魔の執務室に向かっていた。
今後のことについて、夢魔と膝をつき合わせて話し合う必要があると判断したのだ。
そして、ほどなくして、夢魔の私室にたどり着く。

「芋虫、いるか?入るぞ」
そして、返答も確かめずに入る。
「時計屋か」
「トカゲ……」

夢魔は不在だった。
代わりに目の下に隈を作ったグレイが、一人で事務作業をしていた。

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