続き→ トップへ 目次 ■一瞬だけ通じ合えた話 「……ん…………」 「ん……ぅ……」 呼吸困難になるのではないかと思うほど口内を舌で蹂躙される。 唾液が絡み、口の端からこぼれるが、それでも騎士は止めない。 いつもなら手際よくコトを進める男が、今は口づけに専念している。 頭をかき抱き、角度を変え、何度も重ねられる。 抵抗しようにも弱った身体ではどうにもならず、舌を噛むことさえ出来ない。 やがて唇をはなし、騎士はユリウスを深く抱きしめる。 そのまま動かない。ユリウスは少しためらい、腕をのばすと、頭をなでる。 すると、本当に小さく、騎士が呟くのが聞こえた。 「ユリウス、好きだ……」 まるで夜道に迷い、やっと見つけた親にすがりつく子供のような。 だが身体に触れる彼の××の反応は子供ではない。 やや経って再び身体を離した騎士の瞳にはすでに欲望が見える。 服の中に入り込んだ手が勝手知ったる肌の上を這いまわる。 それだけでユリウスも反応してしまう。 荒い息をつく合間に服がはだけられ、首筋、鎖骨、胸を舌で愛撫される。 「……ん……ぁ……」 思わず声を出すと、その箇所をさらに執拗に舐められ、犬歯で噛まれ、声が漏れた。 すでに下衣も引き下ろされ、反応しだした股間を指先でいじられる。 起ち上がった先端からは十分に雫が滴り落ち、騎士の手套に染みを作る。 「……!おい、何を……」 ふいに騎士がユリウスの股間に顔をうずめた。 騎士の××を慰めるように強要されたことはあっても逆は無かった。 思わず手をついて身を起こし、座る形になる。 「やめ……っ!」 制止しかけた声は頭が白くなりそうな快感に押し流される。 はしたなく汁を零す箇所をさらに舌で刺激され、のけぞる。 「……ん……ああ……よせ……っ」 下半身を強く抑えられ、蹴ることも出来ない。 どうしようもない羞恥心と今までに無い刺激で、すでに限界だった××は呆気なく 熱を放つ。 「はあ…はあ……はあ……」 息を乱れさせていると、口の端からこぼれた××を舐め取りながら騎士が笑う。 「早いなあ。そこまで良かった?」 「…っ!………馬鹿……」 顔をそらしたが、頬は紅潮しているだろう。 肩を抱かれ、再び口づけられる。 舌から苦いものが伝わり、嫌悪を覚えるが、ふりほどきはしない。 その代わりにユリウスも騎士を抱きしめた。 「エース……」 はだけられた黒い上着の合間にためらいがちに触れる。 自分から触れたのは初めてだっただろうか。 思ったよりも熱かった。肌の下から時計の秒針の音が伝わる。 常に同じ時を刻んでいるはずのそれが、心臓のように早鐘を打っている感覚に一瞬、 捕らわれる。それが怖くて手をはなすと、騎士がその手をつかんで肌に押し当てる。 「ユリウス、もっと触ってくれよ……」 声に出さずにうなずくと、少しずつ上着をはだけ、胸の突起をなぞる。 「……ぅ……」 騎士が声を出す。もっと反応を見たいとさらに刺激しようとすると、 「悪い、ユリウス」 「っ!!」 曖昧な感覚が現実に引き戻される。 起こしていた身体を再び地面に転がされ、足を上げられる。 抗議しようと上を見ると、前を出す騎士の姿があった。 やや余裕をなくしているようで、手つきは性急だった。 途中で苛立ったのか、汁を吸い込んだ手套を外して投げ捨てる。 そして外に出されたそれは、十分に力強く起ちあがっていた。 「ち、ちょっと待………」 やや我に返り制止しようとすると、後ろにぬめるものを塗りこめられ、 声を上げてのけぞる。解す時間も惜しいと言いたげに指を増やされ、鈍痛にうめく 間もなく、引き抜かれる。 「…………ぐっ……」 硬く熱い×××が押し当てられ、一気に貫かれる。 「ん…………」 「ぁ……あ……く……」 痛みを必死にこらえ、冷静さを保とうとするが、打ち付けられる熱に 当てられ、何も考えられなくなっていく。 「は……あ……ぁ……」 徐々に痛みが薄れると奥深くから別の熱が立ち上ってくる。 もっと。 もっと欲しい。 灼熱のような快感に合わせ、気が付くと自分も腰を動かしている。 騎士もそれに気づいたように律動を強くする。 「はあ……はあ……」 騎士の身体から流れた汗が自分の上にこぼれる。 目が合う。 その目の奥にあるのは愛ではなく欲望。 多分、自分の目にも同じものがあるのだろう。 でも今はそれだけでいい。 「くっ…………」 騎士が苦しそうにうめき、中に放つ。 次いでユリウスも二度目の限界を迎える。 ゆっくりと引き抜かれ、残りを肌の上に放たれる。 そして、次の瞬間に強く抱きしめられる。 骨が砕けそうに強く。 服が汚れるだろう、と言う間もない。 ユリウスも抱きしめ返した。 そして長いこと二人は互いに口づけを交わしていた。 6/6 続き→ トップへ 目次 |