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■眠い話3

「ナノ、はい、口を開けて」
「あーん」
グレイにスプーンを差し出され、口を開ける。
外は夜の時間帯だ。
私はパジャマ姿で起き上がり、グレイに食事をさせてもらってた。
塔の料理人さんが作ったチキンスープだ。
「美味しいです、グレイ」
かむと、スープを染みこませた肉の味がじわりと舌に広がり、とても美味しい。
「そうか。おかわりだってある。もっと食べてくれ」
「はい」
ニコニコと微笑み合う。
「…………グレイ。その薔薇色な妄想を止めろ。見ている方が恥ずかしいぞ」
そして横から低い声。薬膳スープを不味そうに飲み込むナイトメアだ。
「自分も見舞いをしたいと、俺の部屋……に似た部屋に押しかけてきたのはあなた
でしょう。ご不満なら、どうぞ出て行っていただいて構いませんが」
チラリと上司を見るグレイは冷たい顔。
というか、もう部屋についてごまかさなくていいですよ。
「お、おおおおまえこそ!調子の悪いナノ相手にそんな淫らなプレイを!」
何ですと!?
しかしグレイはすまし顔で私にスープを飲ませる。
「考えているだけです。ナノに無理はさせられませんからね。
体調が戻るまでは実行には移しませんよ」
…………ええと、ノーコメント。ナイトメアは半眼でグレイに、
「ナノはノーコメントだと言ってるぞ。グレイー」
「そうか、受け入れてくれて良かった。期待してくれ」
「…………」
あいまいな態度は賛成票に自動カウントって、どちらの政党ですかグレイ。

それから、私たち三人はテーブルに移って楽しくカードゲームに興じた。
「ダウトっ!!い、いや、やっぱりダウトじゃなーい!」
「心が読めるのに、どうしてコール出来ないんですか。
はい、私はドロフォーですよ、グレイ」
「ナノ。何で別のゲームのカードを当たり前な顔で出してるんだ……俺もドロフォー」
そして、平然と恐怖のカードを重ねるグレイ。
四枚手札を引くカードをダブルで出され、さすがのナイトメアも顔面蒼白で、
「ガーンっ!き、貴様ら……別のゲームのカードを出してまで私を……と見せかけ
私もドロフォー返し!さあ、12枚のカードを引くがいい、ナノっ!!」
ふんぞりかえって高笑いするナイトメア。
私は思わぬ逆襲にわなわなと、山からカードを引き、大量のカードに目を走らせ、
「よっし、ロイヤルストレートフラッシュ!私の大勝利ですっ!」
さらっとスペードのロイヤルストレートフラッシュをご披露する。
「何っ!?……しかし、私はババを持ってないしカードが全部ペアだ!
私も上がりだあっ!!おまえの負けだな、グレイ」
「…………おっと、手が滑りました」
そしてグレイは、一抱えある重い重いマホガニー製のテーブルを抱え……以下略。
「ワン、ツー、スリー、フォーっ!」
そしてテーブルの直撃を受けたナイトメアのカウントをする私。
にぎやかに過ぎる宵の口でありました。

かくして、ダウトウノポーカーババ抜きちゃぶ台返し大戦(命名:ナノ)に
おけるナイトメアのビリが決定し、ナイトメアは搬送……コホン、部屋から退場の
憂き目にあった。
そして最終的に、私とグレイが勝負することになった……のだけど。

「あの……グレイ。カードゲームで勝負するんじゃなかったんですか……?」
まだまだネタは仕込んであるのになあ。
「君が、俺相手に、イカサマで……勝負する気か?本当に可愛い子だ……」
いえイカサマというか、もう隠し芸大会でしょう、あれ。
「ねえグレイ。具合の悪い女の子にイタズラをするってひどいと思いません?」
パジャマの上から胸をいじられております。これは通報物件と申せましょう。
「君が可愛すぎるから……熱に浮かされ、ゲームでもあんな笑顔を……」
あー、耐えきれなくなったのか、パジャマのボタンが外されました。
重ねられる唇、強引に入り込む舌。ほだされそうになりながらも、
「ん……可愛いと言えば許されるとか、思って、ません……?」
うつれ、私の病原菌。
前がはだけられ、肌着がたくしあげられ、グレイの舌が直に触れる。
「ん……んん……」
「熱い……どこもかしこも熱くて……君がそんなにして俺を誘うから……」
いえ、男性を誘うために熱まで出すって、どんな能力者。
けれどグレイの指が私の下半身に及び、次第に理性が奪われていく。
「勝負は、君の勝ち、だな」
「馬鹿……」
そしてグレイの手の中に落ちていく私だった。

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