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■忘れた話7

※R18 注意

「はあ……やあ……」
テーブルは食べ物を乗せる場所、座る場所であっても、断じて寝具ではない。
これは一般常識かと思っていたけれど、そうでない人はいるようだ。

「はあ……あ……や……やだ……」
硬い。テーブルの縁は遠いし、つかむ場所もない。
のしかかられ、エプロンをまくられ、熱いモノに何度も何度も責め立てられる。
「や……だめ……ん……」
拒否の言葉を発しても、深く容赦なく、音を立てて奥を穿たれる。
ただ、こちらは一度達しているので、どうしても反応が薄い。
それと背中が痛い。エプロンの結び目も身体の下にあるのだし。
「あ……あん……」
少しでも負担を軽減しようと、無意識にブラッドに腕を回す。すると、
「そうやって……私にしがみついていればいい……」
結局、この段階に至るまでボスの服装に乱れはない。
体液で汚れそうな気もするし、実際、濡れた手袋の感触は心地良いものではない。
「ナノ……ナノ……く……」
つながった箇所から体液が零れ、高級素材のテーブルを汚す。
痛みと快感を半ばに、ブラッドを見上げると、怖い目で私を見ていた。
「冷静だな……」
「え?」
い、いえ、こちらはそこまで特殊性癖ではないし、テーブルの上とかエプロン着用で
興奮しろと言われましても……しかも強制で一度は達しているし。
「そこまで……トカゲの選んだエプロンがいいか?」
「……は?」
けれどブラッドは仇を睨むようにエプロンを睨んでいる。
あー、そういえばこれ、グレイと一緒に買ったエプロンでしたっけ。
私でも忘れかけてたことを、何でブラッドが覚えてるんだろう。
何か重大な誤解をされている気がして仕方ない。
「ええと……ブラッド。別にあのエプロンはグレイの選んだものじゃ……」
「他の男の名を出すな!」
理不尽なことを怒鳴られ、途端に律動が激しくなる。
「ん……痛……っ」
覆いかぶさられ、貪るようなキスをされる。

「ん……」
淫猥な音が響き、私も次第に熱が高まっていく。
ブラッドの服に再び起ち上がりかけた×××××がこすれ、ひっと、自分のものでは
ないような高い声が出る。
「ブラッド……ブラッドぉ……もっと……」
思わず、甘い声を出してしがみつく。
「そうだ。他の男のことなど……考えるな……私だけを……」
動きがさらに速くなり、場所も格好も、痛みさえ頭から飛ぶ。
ただ、彼だけを見て、彼を抱きしめた。
「ブラッド…ブラッド……」
「ナノ……っ」
身体がガクガクする。何も考えられず、頭の芯までしびれ、じんじんする。
「あ……や……ああ……ああ……っ!」
深く突き上げられた瞬間、大きな声を上げて達する。
そしてブラッドも小さく声を出し、珍しく中には出さず、私の内から出、
「…………」
そしてその……エプロンの上に出した。
黒地だけに目立つ嫌な染み。
「…………」
こういうことは、あまりしてほしくなかったんですが……。
達した後の、放心した頭でぼんやりと考える。
でもブラッドのすることには逆らえない。
なおも収まらないのか、ブラッドが上着を脱ぎ、乱暴に手袋とタイを外す。
そして私の腰に乱暴に手を回すと、汚れたエプロンの結び目をほどき、床に放り捨てた。
思わず手を伸ばして取ろうとすると、その前に手を押さえられる。
「あれは処分させる。欲しいのなら同じものをいくらでも買ってやる」
「え……でも私のものですし……」
ご主人さまが使わせたくないのなら、従うしかない。
でも、捨てられたくない。せめて取っておいてほしい。
「君は私の物だ。だから君に所属する物も、どう扱おうが私の自由だ」
「ブラッド……っ」
何だかブラッドがだんだん尋常じゃなくなっている気がする。
行為の最中だからだろうか。私が本当に遠慮してほしいことを普通にやっている。
「君の全ては私が支配する。これ以上、私を怒らせるな……」
「…………」
でも、という言葉を必死で飲み込む。
そして疲労を訴えだした身体を、ブラッドが再び押し開く。
「ブラッド……テーブルで連戦はちょっと……少し休ませて……くださ……」
「私はしたいようにする」
「…………」
こちらの準備を一切無視してブラッドが動き出しても、抵抗出来なかった。

もう私は、少しでも早く彼が正気に戻るよう、祈るしかなかった。

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