続き→ トップへ 短編目次 長編2目次

■忘れた話6

※R15注意

「ん……」
トレイを持ち、ブラッドの脇に立つ自分。
ソファに座して悠然と紅茶を飲むマフィアのボス。
穏やかな時が静かに流れる……はずだった。

「ブラッド…………」
「私が何をしようとしても、嫌がるな。君は」
「だって……ん……や……」
止めようとしても、全く無視して、こちらの『前』を撫でてくる。
紅茶を飲みながら本当に何気ない仕草で触れてくる。
しかも黒エプロンの上から……。
このエプロンはいろいろ思い出のあるもので、ブラッドもそのあたりは知っているはずだ。
でも知っていて、あえて悪さをしかけてくる。
本当にタチが悪い人だなあ。
けれど集中すれば解放すると言われている手前、下手に動けない。
それをいいことに、ブラッドの触れ方が徐々に露骨になっていく。
――うう、目覚めろ、私のプロ根性……。
ブラッドの行為は続く。
さすり、撫で、一点を指で荒くこする。
そのたびに小さく声を上げ、どうしていいか分からずもじもじしていると、
「集中どころではないな。ナノ。隣に座れ」
「は、はい……」
あっさりと敗北した。敗北したからにはブラッドの言葉に従う義務もないのだけど、
無言の圧力に、座るしかなかった。
そして座ると、すぐにまた抱き寄せられた。
彼の手が……その、再び『前』に伸び、相変わらず黒エプロンの上から触れてくる。
「ん……や……」
「足を開け」
「…………」
渋々開くと、手が割り込み、付け根に強く食い込む。
「ん……」
ただし服、それもエプロンの上なのでブラッドでも大した技術は使えない。
けれど同じ場所を単純に何度も何度もまさぐられ、次第に息が荒くなっていく。
そしてブラッドが言った。
「ナノ。脱ぎなさい。ああ、下だけだ」
エプロンを外そうとして、制される。
「はあ……」
仕方なく、一度立ち上がり下の着衣を下着ごと下ろして脇に置く。
そして再びブラッドの隣に座ろうとすると、制された。
「立ったままだ。そのまま、エプロンの裾を上げなさい」
「…………」
この××が……と、もう少しで言いそうになるけれど、かろうじて抑える。
言われた通り、のろのろと裾を持ち上げ、部屋の灯りの中に、ゆっくりと秘部を晒す。
「ゃ……っ!」
「もうこんなに濡れているのか。本当に感じやすいな。君は」
手袋をしたまま、ブラッドが分け入り、濡れて光る茂みに指を潜らせる。
「あん……や……だめ……」
「手を離すな、ナノ。裾は持ち上げたままだ」
「ん……はい……」
愛液がとろとろと零れ、手袋を汚していく。
どうにかしたくとも、動きを制限されては何も出来ない。
「ブラッド……もっと……やだ……」
ガサガサした感触が上から下までをくまなく探り、愛撫する。
気持ち良すぎておかしくなりそうだ。
もっと奥を、深くを触ってほしくて無意識に足を開き、わずかに腰を動かした。

…………
ソファに押し倒され、上着をはだけられる。
手袋ごしに胸を愛撫され、膝でエプロン越しに刺激され。
だから、あえぎながらブラッドに頼む。
「ブラッド……エプロンを外しますから、一回離して下さい……」
何度も抵抗し、後ろの結び目に手を伸ばす。けれど、
「着たままだ。外すな」
「…………」
そう言われては逆らえない。仕方なく力を抜くと、
「いい子だ、ナノ」
ご褒美のように口づけられる。
――はあ……。
どういう趣向に目覚めたのかは謎だけど、何だって、ここまでこだわられるのか。
今までも、お茶会の最中に押し倒されたことはある。
けれど、いつもは××までには、エプロンを外すのを許してくれたのに。
――これをしたままだと、何だか集中出来ないんですよね。
十分に濡らされ、アソコも熱い。
ただ、これをしたまま最後まで行くのは抵抗がある。
「ブラッド……ん……っ!」
厚手のエプロンの上から何も履いていない場所を刺激され、声が出る。
「君も、興奮しているんじゃないか?……ほら、自分でも触ってみなさい」
「やだ……やめ……っ」
強引に手を取られ、嫌がるのを無視して導かれる。
「ん……っ」
ぬるっとした感覚が指先に伝わり、頭に電流が走る。
「そこまで私に触れられるのが嫌なら、自分で自分を慰めてみるか?
ほら、もっと足を開いて……ああ、ここだとやりにくいか?」
「え……っ」
ふわっと頭が浮いたかと思うと硬い感触。
「痛っ」
少し背中をぶつけた。
真横に紅茶や茶菓子が見え、ようやくテーブルの上に投げ出されたのだと分かる。
上はシャツを着たまま、胸をむき出しにされ、下は下着もなくエプロンのみ。
そして場所はテーブルの上……。
しかもこの後に及んでブラッドは手袋一つ外していない。
さすがに多少冷めてくる。
「ブラッド……あの、ベッドに移るか、ダメならソファの上の方がまだ……」
「続きをしなさい、ナノ」
静かな命令だった。
――もしかして、私が嫌がりそうなことをワザとしているのでは……。
とはいえ、私を見下ろす目には許しの色がない。
「ナノ」
「…………」
私はゆっくりと起き上がり、嫌々、手を伸ばす。
エプロンをつけていればブラッドには見えないかと思い、片手で持ち上げて。
――何だか、そういう仕事の人になった気分ですね……。
私は嫌々に、自分の大事な場所に手を伸ばした。
けれど濡れて膨らんだ、最も敏感な箇所に触れると生理的に快感が走る。
私は侮蔑の視線を感じながら、唇を噛みしめ、ブラッドに見えるよう、指を動かしだした。

やっとのことで達したときには、思ったより時間がかかっていた。
けれど身体を折って余韻にあえぐ私に声をかけず。
ブラッドは立ち上がると私を乱暴にテーブルに押し倒した。

6/17
続き→
トップへ 短編目次 長編2目次


- ナノ -