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■忘れた話4

※R18注意

薄明かりの灯るブラッドの部屋に、私の声が響く。
「やめて……ブラッド……」
私の手を拘束したブラッドは、はだけた胸に舌を這わせながらニヤリと笑う。
「見合った力も能力も無い者が逆らい続けるのは、時として苛立ちを誘われる。
君が君でなければ、時計を止めた方がマシだと思う目に合わせただろうに……」
「いや……やあ……」
胸の先端に痛みが走る。甘噛みではなく、強く噛まれ、涙がにじんだ。
「そう泣かないでくれ、お嬢さん。ますますいじめたくなってしまう」
そうしてまた先端をねぶられる。けれど、そうされるごとに、奥深くでうずくものが
ある。息が荒く、もどかしくなって身をよじっていると、
「私に可愛がってほしいか?お嬢さん。なら可愛くおねだりでもしてほしいものだ」
「…………」
そう言われて動きを止め、唇をかむ。するとブラッドはますます楽しげに、
「なら徹底的にしつけなおしてやろう。今晩は、眠る暇などないと思いなさい。ナノ」
「…………」
私にだって言い分はある。
力ずくで押さえつけるか、威圧的に脅すか、物や快楽で釣ろうとするか。
それでなびく女がどこにいる。
いや、いるにはいるだろうけど、そういう女性にだけ関心を持って欲しかった。
「ん……や……っ」
ウエストの隙間から手を入れられ、濡れ始めた場所にすぐに到達する。
すぐにいじめられるのだろうと私が待っていると、
「ナノ。どうしてほしい?口で言いなさい」
「……っ!そんなこと……」
「なら私も何も出来ないな。女性に無理強いは出来ない」
――どの口が……!
頭がカッとなるけれどブラッドはニヤニヤと私を眺めている。
そして、わざと周辺部分に触れる。
「ブ、ブラッド……」
「何だ?お嬢さん」
涙目で訴えても、腰をもじもじと動かしてもブラッドに変化は見られない。
「っ!」
からかうように上を軽く指がかすめ、たったそれだけの刺激でビクッとする。
「お願い……お願いですから……」
「私に読心の術はない。直接言ってほしいものだ」
そう言って私の下の衣服を剥がす。下着一枚だけの姿になり、手首の拘束も外された。
「口で言えないのなら教えてくれないか?どうしてほしい?」
「…………っ」
一体どちらの方が羞恥なのだろう。ぶるぶる震える手で下着を下ろした。
濡れて重くなった下着をベッド脇に放り、足をゆっくりと開く。
私はあいまいに指差し、
「こ、ここを……」
ブラッドの視線を感じ、目を閉じる。それ以上は言葉にならない。
でもブラッドは容赦ない。
「分からないな。自分で広げてくれるか?」
「…………っ!」
殺意。同時にある種の興奮。
誘惑をはねのけなければと思う。でも理性が言うことを聞かない。
私はゆっくりと……そこに手を伸ばし、二本の指でおずおずと広げた。
「こ、こ、ここ……」
ブラッドの視線が注がれるのが恥ずかしくてたまらない。目を閉じ、羞恥に耐える。
「ふむ。よく熟れている。熱くて……瑞々しい」
「ひっ……!」
すうっと撫でられ、指を離し、刺激と快感に仰け反る。
「おや、ご不満か?お嬢さん。どこがいいのか言ってほしい。ここだったかな?」
「やあ!……だめ、いや……!」
音を立てて刺激され、弄られる。目の前が真っ白になり、軽く上下に擦られただけで
おかしくなりそうだった。
「ダメ……イっちゃう……やめ……」
「聞こえないな。もう少し大きな鳴き声で飼い主に聞かせてほしい」
笑いを含んだ声と共に、手に力が加えられ、一点を強く刺激される。
「あ……や……ああ……あああ……っ!」
声を上げて達してしまい、私の身体から力が抜けた。
「はあ……はあ……」
快感の余韻に浸っていると、ブラッドが立ち上がり、前を緩めるのが見えた。
「さて、今度は私が楽しませてもらう番だな」
「ブラッド……」
哀願しているのか懇願しているのか自分でも分からない。
「ナノ……」
ブラッドが覆いかぶさり、私にキスをする。
そして期待に震える場所に、熱くなったモノを押しつけた。


「はあ……はあ……あ……やあ……」
ブラッドにしがみつき、自分から腰を動かし、彼をひたすらに欲する。
「くく……熱心だな。お嬢さん。あれだけ嫌がっていて、そんなに恋しかったか?」
「いじわる……いわないで、くださ……」
互いに何度達したか分からない。それでもブラッドは全く衰えず、私も彼を求める。
「ナノ……ナノ……ナノっ!」
「ああ、ブラッド……っ」
唇を重ね、舌を絡め合う。もう時間帯も店も何もかもどうでも良い。
激しく深く突き入れられ、胸を強い力で愛撫され、快感の狭間に彼は言う。
「ナノ。私に従え……帽子屋屋敷に移り住むと……二度と私から離れないと……」
「ブラッド……」
こんなときに言うなんてズルい。
私は潤んだ目でただ首を横に振る。
「ならなぜ、こんなに悦んでいる。好きでもない男に抱かれて悦ぶ女なのか、君は!」
「違うんです。私は……私は……」
自分でもよく分からない。ただ口づけを求め、激しい揺さぶりに身体を動かす。
そしてブラッドが何度目かに私のうちに吐き出し、私も快感のうちに達し、やっと
意識を手放した。

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