続き→ トップへ 短編目次 長編2目次

■忘れた話2
※R18注意


マフィアのボス、ブラッド=デュプレのベッドに横たわり、私はぐったりしていた。
「あちーです……」
「ふむ、可哀相に。ワインでも飲むか?」
「いらねです……」
事の元凶はというと帽子とコートを脱いだラフな格好ですぐそばに座り、ワインを
あおっている。たっぷり漬け込まれた私はと言うと、
――も、戻しそうです……。
まだ薔薇の花弁がまといつく感触がする気がする。
「ふむ。珈琲の匂いもほぼ消えたな」
私の髪をなで、マフィアのボスは満足そうだ。
そして、ワインのグラスを魔法のようにどこか虚空に消すと、
「さて、お嬢さん」
疲れている私の両脇に手をついて、顔を近づけた。
「さっそくだが再会を祝そう。会いたかった」
そう言って、返事も待たずに唇を重ねる。
「ん……」
こちらの拒絶を予想していたのか、両頬に手を当てられ、逃げられない。
ねじこまれる舌からワインの芳香がかすかにした。
やっと顔を離された私は何とかブラッドの手から逃れようとする。
「冗談ではないです!離してください……!」
けれどブラッドは暴れる私の両手をあっさり押さえ、足の間に自分の膝を割り込ませる。
「さて私のペットはどんな顔を見せてくれるのだろうな」
と楽しそうに言った。

…………
「ん……んん……」
「声を押さえる必要は無い、お嬢さん。君の声が聞きたくて、口はそのままにして
あげているのだから」
後ろから私の『前』を愛撫するブラッドは、実に楽しそうだ。
「よく濡れている。そんなに興奮したか?お嬢さん」
「ん……ん……んん……」
泉からダラダラと零れた愛液が腿を伝ってベッドに落ちていく。
私はうつぶせの姿勢で後ろを突き上げさせられ、ブラッドに好きに弄られている。
「ん……ん……」
意地でも声を出してやるかと、自由な口で汗を吸い込んだ枕をかむ。
「よく熟れて敏感に反応するな。そこまで私を待っていたのか?」
「ん……や……」
欲しい場所にぐちゅっと指を差し入れられ、思わず枕から口を離す。
けれどブラッドの指から逃れたくとも、下半身が自由にならない。
精神的な意味で無く……物理的に。
「口で言いなさい、ナノ。もどかしげに腰を振るだけでは分からないよ」
「……っ!」
無意識に腰を動かしていたことに、羞恥で顔が赤くなる。
彼の指が谷間を左右に押し広げ、顕わにされたされたぐしょ濡れの××を別の指が
乱暴にこすり、苛み出す。
けれど、どれだけ恥ずかしいことをされても身体をほとんど動かせない。
痛みと紙一重の快感に、あられもない声が喉から漏れた。
「ブラッド……あ……や……はなして……」
「少し縛っただけで、ここまで興奮するか。本当にいじめられるのが好きだな」
やや呆れたような声で言うブラッド。
平素であれば猛烈に反論するところだけど、視界を奪われ、自由を奪われ、快楽に
感覚を支配され、どうにもならなかった。
つまりアレである。目隠しをされ、後ろ手に(軽く)縛られ……えと、両膝の後ろに
一本の棒を通され、膝にくくりつけられ……ええと、つまり足を閉じられない状態。
こちらが動けないのをいいことに、ブラッドは容赦なく、私の腰を高く持ち上げ、
秘部を晒させ、いじめ続ける。
「はあ……やあ……だめ…ん………やめ……!」
背にのしかかられ、背後から胸を愛撫される。別の手がすでに露出した小さな一点を
乱暴に弄くり、足を閉じることもかなわず、後ろから愛液が零れ続ける。
「ブラッド……」
もう一秒も我慢出来ない。
快感でガクガクしながら懇願する。けれど快感を人質に取るブラッドは無情に、
「どうしてほしい?お嬢さん」
と言った。
私はプライドをふりしぼり、必死に、
「やめて、くださ……」
「ならそうしてあげよう。このまま放置して、この部屋に来る者全てに君の可愛い
後ろ姿を見せてあげるのも悪くないな」
「……っ!」
煽りだと思いたいが、下手に同意すれば本気で実行しかねないのがブラッドだ。
「それとも、このままが辛いなら、他の者に処理させるか?
エリオットか……ああ、双子も喜びそうだな。以前から、自分たちの初めては君に
捧げたいと周囲に公言していて、撃ちたい衝動を抑えるのに苦労したよ」
「だめ……ブラッドが……ブラッドじゃなきゃ……」
聞き流してはいけないことを聞いた気もするけど、これ以上我慢が続かなかった。
「ふふ。可愛いことを言うな。ナノ」
「ん……!」
見えない視界の中、何かが口の中に入ってきた。ブラッドの指だとすぐに気づく。
舐めることも出来ず甘噛みしていると、
「『ブラッド』……か。だがこの部屋の中では君は私の飼い猫だ。他の呼び方はないのかな?」
……さすがにちょっと我に返った。
プレイの一環と思いたいが、もしや本格的にそっち方向に行くつもりでは……。
「…………ぁ……っ」
返事をしかねていると、指を口の中でかき回され、声が出る。
指を抜かれ、耳元で優しく囁かれる。
「ナノ……」
「……ブラッド、さま……ご、ご主人、さま……」
やや引きつつ答えると、やっとブラッドが身体を起こす気配がした。
「やれやれ、しつけ甲斐のないお嬢さんだ」
だがそう言いながら、ズボンの前を緩める音がした。
期待に震えながら待っていると、汁を零す生温いものが後ろに押し当てられる気配がする。
「ブラッド、さま……早く……」
「ナノ……」
「や……あ、ああ……やあ……っ!」
腰をつかみ、一気に奥まで挿入され、快感の声が漏れる。
間を置かずに抽送が開始され、揺さぶられながら、枕に顔を押しつけ、声を上げる。
「や……あん、もっと……、あ、ああ、やだ……あん……」
「ナノ……く……」
視界も身体の自由も利かず、快感だけが頭を支配する。焦らしに焦らされた場所が支配者を締めつけ、卑猥な音を立てて蜜をこぼす。
――でも……。
と心のどこかで思う。これは正しいやり方ではない。
快感に流されそうになるけれど、結局こちらの意思は無視されている。
――ブラッドは……最初から私と対等の位置に立つつもりなんて……カケラも……
「……っ!」
強く突き上げられ、そんな思いは霧散する。
「ブラッド……ブラッド……っ」
プライドも何もかも無くし、少しだけ自由になる腰を動かす。
「やあ……だめ……あ……」
「ナノ……」
「あ……ああ……ああ……っ」
瞬間、内に迸るものを感じ、自由を奪われた身体のまま、仰け反り、声を上げる。
おかしくなりそうな快感に呑まれ、ベッドに沈みながら、ブラッドが背に優しく
口づけてくれるのを感じていた。

2/17
続き→
トップへ 短編目次 長編2目次


- ナノ -