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■薔薇園の昼下がり・中

――熱い。
ある一点が――すごく熱い。
ここにブラッドがいなかったら、私は場所も時間帯も構わず、淑女らしからぬ、
最低の行為にふけっていただろう。
「あ……あ……」
両手で身体を抱きしめ、必死で欲望を抑えていると、
「ふむ。いつもの清純なお嬢さんもいいが、こうした君も悪くないものだな」
最低の男は余裕の表情で、地面に尻もちをつく私を見下ろしている。
彼は私の中で何が起こっているか、完全に知っている。
「お嬢さん、どうしてほしい?なぜ君が立ち上がり、いつものように、毅然と歩いて
立ち去らないか、愚鈍な私に教えてはくれないか?」
「この……この……最低男……!」
「そんなに肌を上気させて言わないでくれないか……いじめたくなる」
「!!」
ブラッドは立ったまま、ステッキで私のスカートの裾を持ち上げる。
止める暇もなかった。
その下に見えたのは――
「おや、おかしいな。雨が降ったわけでもないのに地面に水の染みとは」
わざとらしく空を仰ぎ、ステッキを持たない方の手で雨の有無まで確認する。
「こ、この痴漢、変態!!さっさとそのステッキを離しなさいよ!!」
つい地が出てしまい、スカートを押さえ、あらん限りの勢いで罵倒する。
けれど、ブラッドはステッキの先で、
「……あっ!」
うわずった声が出てしまった。硬い杖の突起が、スカートの中に強引に潜り込み、
正確にある部分をつつく。私は必死に声を抑え、興奮を静めようとするが、
「誘うのが上手いな、お嬢さん。昼下がりに、そんなはしたない姿をして……」
はしたない?私は必死に否定する。
だけど顔を上気させ、少し悪ふざけをされただけで喘ぎ声を上げている。
スカートを、指が白くなるくらい必死で押さえ、そのスカートの下では――
「あ……」
ブラッドが人形のように私を抱え、白いベンチの上に座る。私は彼の膝の上。
「ん……や……」
耳たぶを噛まれ、必死に身をよじるが、しっかりと抱きしめられ、逃げ場はどこにもない。
「ナノ」
低くささやかれ、服の上から胸に触れられる。心臓が大きく高鳴った。
「いい音だ……君だけが持つこの音は……」
「や……ああ……!」
ブラッドの大きな手がシャツの隙間に入り、肌着の上から私の胸に触れた。
「やだ、やめて……あ……あ……」
形が変わるほど強くもみしだかれ、敏感な尖りを指で弄られる。
「ふふ。相変わらず身体は素直で嬉しいよ。
ついでに、もっと素直になってくれると嬉しいのだがね」
「…………」
私は真っ赤になって耐えている。
一番触れてほしい箇所は、今もはしたない愛液をにじませている。
薄布では留めきれず、下着の隙間からこぼれた液体が下のズボンに染みこんでいく。
それをブラッドが感じていないはずが、ないだろうに。
でもブラッドの空いた方の手は、腰の周りをゆるゆると撫でるだけで一向にその箇所
には触れてくれない。
私の中では理性と、何もかも捨ててブラッドに求めたい情欲が戦っていた。
「あ……やだ……だめ……ブラッド……」
ふいにブラッドが私の服をはだけ、肩口と胸を露出させた。

美しい薔薇園に、素肌を晒した自分なんて、もっとも似合わない醜いものだ。
「こんなに綺麗なのに、何がダメなんだ?寒いのなら、私の手で暖めてやろう」
「だめ……や……」
何とか服を直そうとする手を押さえられ、ブラッドの手が私の胸に触れる。
「ん……あ……」
嫌がっているのか甘えているのか自分でも分からない。
私は理性を飛ばしかけ――
「やれやれ。やっと来てみれば」
「!!」

ふいに聞こえた声に一気に現実に引き戻される。
薔薇園のもう一人の主、ハートの女王ビバルディが立っていた。

「び、ビバルディ、ち、違うんです!これは……」
真っ赤になって弁解するけれど、
「姉貴、今いいところなんだ。邪魔をするな」
ブラッドが私の胸を愛撫しながら姉をじろりとにらむ。
「ふん、お前こそ邪魔じゃ。ああ、会いたかったぞ、ナノ」
ビバルディはブラッドをあっさりと無視した。
そしてベンチの前、私の正面になぜか膝をつく。
「ま、待って、ビバルディ。ダメです――」
制止の声も虚しく、ビバルディは私のスカートをたくしあげる。
その下には、ぐしょぬれになった私の下着。
布地の間からは、なおも愛液があふれ続け、ブラッドの服に染みをつくっている。
同じ女性として尊敬するビバルディに、こんな姿を見られ、私は恥ずかしさで死にそうだった。
だけどビバルディは眉根を寄せ、弟に、
「あの薬は量を抑えよと言ったであろう。ああ、可哀相に、ナノ……」
「ちっ……もう少しでナノの方からおねだりをしてもらえたのにな」
「待たされる女の辛さも分からぬようでは男失格じゃ」
ビバルディはその美しい指を私の下着にまっすぐのばし、
「あ、ああ……!や……あ……!」
甘い声が響く。
下着の内に入った指が私の一番敏感な箇所をかきまわした。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音が薔薇園に響き、私は快楽と羞恥で頭が爆発しそうだった。
「お嬢さん、こちらも忘れてほしくはないな」
ブラッドも負けじと胸を再び愛撫し、舌を耳に首筋に這わせる。
その間にもビバルディの指は茂みの奥の私の秘所を探る。勃起した小さな箇所を強く
こすられ、背をのけぞらせて悲鳴を上げる。ビバルディは容赦せず、指を下ろし、
花弁を開き、液の湧き出る奥へと容赦なく進む。
「ああ……っ!あ……や……あん……」
私はもう淑女の振る舞いも、ここがどこであるのかも忘れていた。
髪を振り乱し、足を限界まで開く。
そして美しい二人の攻めに、息も絶え絶えに悶えていた。

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