続き→ トップへ 短編目次 長編2目次 ■迷いの鳥かご5 いつかは言われる気がしていた。 マフィアのボスは、熱くなってもなおもボスだ。わずかに息を荒くしながらも、 余裕で私を見、私が見ないようにしていた、彼の男性自身を示す。 一方的に与えられる愛撫に陶酔していた私は、少し冷静になり、息を呑んだ。 ブラッドは開いた手でズボンの前を開けていた。 そして外に出されたそれが嫌でも見える。 彼は手首をつかみ、私を導こうとする。私は怯えて首をふった。 「いや……ごめんなさい、ブラッド。でも、それは……」 「怖いものではないよ。そのうちにいろいろしてもらうが、今は触れるだけでいい」 ブラッドとの行為が、これ一度きりではないと明言されたことにも私はすくんだ。 「ぶ、ブラッド……っ!」 私の手が、ブラッドの××に無理やり触れさせられる。 小学校などで、男の子同士のふざけあいの際、そういった部分を見たことはある。 でも大人の男性の、それも十分に反応したもの見るのは初めてのことだ。 もちろん触れるなんて経験があるわけない。 「ブラッド、いや……離して……!」 「ナノ……私を求めろ。そうすれば、全てを忘れさせてやる」 「……っ!」 ブラッドの手が、私に彼の××を無理やり握らせる。 「……ぁ……」 「ナノ…………」 触れられたことに反応するかのように、彼のものがドクンと脈打ち、強くなる。 私が触れていることを、彼が喜んでいる。強要されているのに、なぜか嬉しかった。 ブラッドは私の手首を離し、私の意思で彼を愛撫させる。 私はやり方も分からず、必死で手を上下させた。 「ん……ん……」 でもそれも長くはない。十分すぎるほど大きくなったところでブラッドは私の手を取り、 「ナノ。少しの我慢だ」 ブラッドの手が私の両脇に当てられ、ゆっくりと私の身体を持ち上げる。 私は何か言いかけ、止めた。どのみち彼も……私も止まることは不可能だった。 そして、ブラッドは私の身体を彼の真上にずらし、ゆっくりと私の身体を下ろした。 「――っ!!い……っ!やあ……っ」 激痛に声を上げた。 十分に濡れていたとはいえ、誰も入れたことのない場所に侵入される痛み。 それは一度も経験したことのない凄まじいものだった。 「痛い……やめて……出して……っ!!」 涙ながらに懇願した。けれどブラッドは私の悲鳴を聞いても止めることなく、私の 体重を利用して、深くまでおさまった。 「痛……やあ……っ……!」 私は涙を流し、何とか自力で痛みから逃れようとしたが、ブラッドは動き出した。 「ナノ……ナノ……」 「ブラッド……!」 下から息つく間もなく突き上げられ、揺さぶられ、折れそうに強く抱きしめられる。 「……ブラッド……」 私は声を上げながら、それでも望んだ刺激を何とか受け入れようとした。 つながった部分からは二人分の体液と、女になった証が流れていく。 その潤滑剤がわずかに苦痛をやわらげてくれ、私はブラッドの顔を見た。 「ナノ……っ」 私との行為に集中する顔。 飄々としたマフィアのボスでも、紅茶狂いの家主でも、読書好きの友人でもない。 ただ私だけを求める、一人の男としてのブラッド。 律動を繰り返していた彼は、私の視線に気づくと、顔を上げて微笑んだ。 ――あ……っ。 熱い。心の奥深くが熱くなる。 ブラッドは少し腰を止めると、私の頬に手を当て、キスをした。 私も逃げず、積極的に舌を絡める。 ――何で気がつかなかったんだろう。私は……この人を…… でも何かが形を取りかけたのは、その一瞬だけのことだった。 「あ……あ……っ……あ……」 糸を引き、唇が離れると、ブラッドは再び動き出した。ブラッドがこぼす体液と 私が溢れさせる体液が混じり合い、痛みを引かせていく。 そして痛かっただけの部分には新たな熱がともり、突かれるたびに熱が強くなる。 「や……あ……は……あん……っ」 ぐちゅぐちゅと、かきまわされ、征服される。 そして私の口から終わりなくもれる喘ぎ声。 「やあ……やだ……もっと……っ」 もう恥らいも何もかも忘れ、私はブラッドをただ奥へ奥へ受け入れたくて足を開き、 彼の肩にすがり、シャツを強くつかんだ。 「ブラッド……ブラッドぉ……」 「ナノ……っ」 律動が強くなり、揺さぶられ、奥へ奥へと灼熱が何度も押し込まれる。 「あ……ああ……――!」 再び高まる快感に理性は消し飛ぶ。私は淫らに彼を求めるだけの女になった。 永久につながっていたい。でも私の本能は、慣れない経験ながら自分の何かの 限界が近いことを告げている。 ふいにブラッドが私の腰をつかみ、抜けそうなほどに浮かし、一気に下ろした。 「ああ、ああ、あ……――っ!!」 そして頭を真っ白にするような激しい快感。 その瞬間に、私はもっとも大きな声を上げ――静かに果てた。 ブラッドは脱力した私を見ると、ゆっくりと私の中から出ていく。 「…………んっ」 ブラッドが何か白濁したものを、私の身体の上に注ぐのが見える。 熱い。とても熱い。 そして大きく息を吐き……彼は愛おしげに私を見ると優しくキスをしてくれた。 舌がそっと絡まり、私たちは目を閉じ、抱きしめ合った。 「ブラッド……」 そして私は、ブラッドの暖かい腕の中、心から安堵して眠りに落ちていった。 5/6 続き→ トップへ 短編目次 長編2目次 |