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■怒らせた話11

※R15

「ん……ぅ……」
冷静に、冷静になろうとつとめる。
でも、欲しい場所に刺激を受け、身体がビクッとはねる。
「腰が動いているぞ、ナノ。愉しんでくれているようで何よりだ」
下半身の布地をなでたブラッドは酷薄に笑う。
「ん……」
とはいっても、裾をくわえさせられているので、返答なんぞ出来はしない。
「上もいい反応だ……」
そしてブラッドは胸に舌を這わせ、私の顔を見ながら強弱をつけて苛む。
「――ん……っ」
また、下の布地の上を指が滑り、期待に×××が震えた。
けど、指は布の下には侵入してこない。表面を本当に触れる程度に撫でるだけ。
「んん……んん……っ」
刺激を欲する身体は、それだけでは嫌だとダダをこねる。
身体が少し浮き、腰が揺れる。
けど私の欲求を分かっているだろうに、ブラッドは紐の下に手をくぐらせてみたり
足をそっと撫で上げたりと、その程度しかしてくれない。
「欲しいか?ナノ」
私は抗いきれず、小さくうなずいた。けど、
「ダメだ」
ブラッドは冷酷に言って、胸を強くつかむ。
「ん……っ」痛さに顔がゆがむけど、ブラッドは頓着しない。
「しつけると言ったはずだ。私が欲しいなら、私をその気にさせてみなさい」
冷酷なまなざしが私を見すえる。うんうん、すごく怒らせましたもんねー。
「ブラッド……おねがい……鎖を外して……」
裾をくわえながら、もごもごとしゃべってみる。
「ダメだ。君の色仕掛けは稚拙すぎて、逆に萎える」
――えええ!?やる前から全否定!?その気にさせろと言っておいて!?
ショックに思わず口から裾を離し、
「ブラッドぉ……」
と、とりあえず媚びる感じで言ってみる。
「君は女優には向かないようだな。お嬢さん」
冷たく言って、ブラッドはネグリジェの上部分に両手をあて、軽く引き裂く。
軽くだけど……片方の胸が、見えるようになりましたね。ハイ。

「んっ……んん……!」
そして胸の先端を指先でくすぐられ、また下が熱くなる。
別の手で、布地の様子を確かめたブラッドは、
「いつもながら、つつしみのない子だ。薄布では押さえきれず、あふれている。
このままでは零れてしまうぞ。高価な椅子に染みをつけるつもりか?」
「違う……や……っ……」
布の上からまた触れられ、その箇所がじんじんする。
貪欲に求める場所を、指が何度も行き来し、そのたび私はみっともなく声を上げた。
「ブラッド……お願い…………×××って……」
「何を?」
いっそ優しい声でブラッドは聞いてくる。
「×××××を……××××て……××××に、苛めて……ほしい、です……」
「ああ、苛めたい気分だ。だから、あえて触れないことにしよう」
逆効果でした……指が無情に離れ、湿った指が口にねじこまれる。
それを音を立てて舐め、欲望に支配されかけてる頭で逃走方法を考える。
……五秒で挫折。ダメだ。考えつかない。
だいたい、今までの似たようなパターンだとブラッドが満足するまで待つしかない。
ブラッドと来たら、退屈を持てあましたときに、私を店から連れてこさせる。
そしていろんな道具やプレイで満足するまで私の身体で遊ぶ。それからわざと警備を
手薄にして、逃げる隙を作るのだ。私はブラッドの気が変わる前に逃げるしかない。
帰った後、店に大金が送られてくるのがまた屈辱っつうか……。
「ナノ……」
「ん……」
頬にこぼれた悔し涙を舐め、ブラッドは何度もキスをしてくる。
私も口を開き舌を出し、彼が満足するように舌を絡める。
――熱い……。
唇が重なり、唾液が混じるごとに、欲望とは別の意味で身体が熱くなる。
「ブラッド……お願い……あなたが、欲しい……」
「……っ……!」
涙ながらに訴えると、初めてブラッドの顔にためらいの色が浮かぶ。
だけどすぐに冷淡な目に戻ると、私から身体を離す。
かと思うと、私を強く抱きしめた。
「ナノ……っ!」
唇が押し当てられ、私もすぐに悦んで応える。
ネグリジェをさらに引き裂かれ、より顕わになった両の胸を激しく愛撫される。
「ブラッド……ブラッド……っ!」
私は欲しくて欲しくて腰を浮かせ、密着したブラッドの服に腰をすりつけ、わずかな
慰めを得た。
「ん……ん……」
さらに腰を動かし、薄い下の布を何とかずらそうとする。
どんなにみっともなく、貞淑のカケラもないことをしているか、なんて考えない。
「お嬢さん。馬鹿か、君は」
案の定、呆れたように言われました。
「マフィアのボスの服を、穢した罪は重いぞ」
かすかに湿った箇所を触り、ブラッドは肩をすくめて笑った。
「恥ずかしい子だ」
そう言って、ぐしょぐしょになった下の布地をつかむと、そっとずらす。
「……ん……や……っ」
求めていたことをされ、声に媚びが混じる。
「こんなに濡らして糸を引いて。そこまで私が欲しかったか?」
切れる寸前まで布地を引っ張り、ブラッドが嘲笑した。
でも私は涙ぐみ、何度もうなずく。触ってほしい。いじめてほしい。
「なら誓いなさい。私の忠実なペットとして、二度とそばを離れないと」
「――っ!」
私はつまる。ブラッドの方はカケラも目的を忘れていませんでした……。
「ブラッドぉ……」
懇願する私を楽しそうに見、ブラッドは笑う。
「いい顔だ、ナノ。さあどうする?私に近い、快楽と最高の待遇を得るか、
その中途半端な状態で放置され、晒し者になりたいか?」
……カーテンをする気はないらしいっすね。
「この部屋に来る色んな男たちが、君の肢体を見て、眠れぬ夜を過ごすのだろうな。
寂しい楽しみの材料を、君自身が提供するわけだな」
――冗談じゃ……ないですよ!
想像の中とはいえ、自分があれこれされると思うとゾッとする。

「さあ、どうするナノ。忠誠を誓うか?恥辱を受けたいか?」
マフィアのボスは、ただ冷酷に笑っていた。

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