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■猫と手錠と鎖5

※R18

暗い部屋に声がする。妙に浮ついた声だと思ったら自分の声だった。
「ん……やあ……」
こんな声が出るんだと思うくらい、いやらしい声。
猫舌が。猫舌が悪いんだと思うんだけども!
「ナノ。あんたの顔、すごく可愛い……」
私を押し倒し、舌で胸を愛撫しながら、ボリスは言う。
その息は荒くて、空いた方の手が、もう片方の胸を絶え間なく可愛がる。
手錠の方の手は、私の手と絡み合ったまま。
ギュッと握ってくるボリスの手は強い。そして手の平にかすかな汗を感じる。
でも恥ずかしくて、ちょっと怖くて、
「ボリス…ん……ダメ……」
少しだけ押し戻そうとするけど無視された。
「ダメ?こっちは気持ち良いって言ってるけど?」
わざとらしく舌先で先端を舐り、闇の中で光る猫の瞳でこちらを見すえる。
暗くてよく見えなくとも、胸に触れられるたびに気持ちいい。
何とも言えない感覚で背中がゾクッとする。
「ナノ、足、開いて……もっと可愛いあんたを見たい……」
ボリスは何度も唇にキスをする。耳を軽く噛み、その合間にも、探るように触れて
ほしい箇所を探っていく。私もボリスにいっぱい触りたいけど、翻弄されて、ろくに
動くことも出来ない。
「やだ……あ、ああ…っ!」
猫の手が、未だに取ってくれない鎖を引っ張った。全然痛くないけど、所有を主張
されているような気がして、むずがゆい気分が強くなる。
「何?手錠より鎖の方が好き?」
「そんなこと……あ……んぅ……っ」
二人の体温で生温い熱を持った鎖。
ボリスはその鎖で胸に触れ、お腹をたどり、その下のしげみの奥に鎖を……
「ボ、ボリス!だ、ダメ!」
慌てて起き上がろうとすると、ボリスは素知らぬ顔で、
「鎖なら清潔だよ?ちゃんと滅菌処理してあるし、抗菌性も抜群なんだぜ?」
い、いや、どこぞの宰相様の愛用品じゃないんだから。あと抗菌性の鎖って。
「ん――っ!!」
反論しようとしたとき、足を開かされ、微妙な重みを持った鎖がもぐり込む。
「ボリス!」
恥ずかしくて抵抗しようとしたけど、押し倒されている上に手錠が邪魔でろくに
動けない。ボリスは言葉に出さず『大丈夫』というように、拘束された手を優しく
握ってきた。
「あ、ああ……ぅ……」
敏感な箇所は乱暴にしないよう、鎖でちょっと意地悪してるだけ。
そう思おうとしても、硬い感触が上下を行き来するたびに奥の方から何かがあふれて
きてしまう。暗闇が救いだけど、それだけに感覚が鋭敏になる。
やがて鎖でこちらを遊んでいるだけじゃ耐えきれなくなったのか……指が、直接、
×××をまさぐり出した。
「あ……ああっ……や……あん……っ!」
声が出てしまう。自分の声じゃないみたいな変な声。
「悦んでくれてるんだ?良かった……」
嬉しそうなボリスの声。でもちょっと息が荒い。
猫は私の反応を見ながらすごく優しく、でも触れてほしい箇所は執拗に弄る。
手錠でつながれた方の手が動き、強引に下に導かれる。
「ほら、ナノも触ってよ。いつも自分でやってるみたいにさ」
「や、やってなんか……ん、んん……」
でも無理やり触れさせられて、濡れて大きくなった×××××を無意識に弄る。
ボリスの手も器用に動く。手錠の輪っかで×××を弄んだり、私の手をつかんで、
彼の××を握らせたり、そして私の奥深くに指を沈め、強くかき回す。
「…あ、やあ……ダメ……」
快感で涙が出る。顔が真っ赤になって息も出来ない。
ボリスは苦笑して、びしょびしょになった手で私の胸に触れ、先端を弄りながら、
「ナノってすごく敏感だよね。俺に興奮してるの?それとも鎖?手錠?」
「ち、違う、興奮してなんか……」
「そ?雫、いっぱいこぼしてるぜ?」
暗闇に浮かび上がる猫が濡れた鎖を持ち上げ、なめている。もう本物の肉食獣だ。
尻尾がゆらりと揺れ、彼の肌の熱が、さらに高くなる。
そして手錠をしている方の手がやっと私の下から離れ、強制?××から解放された
かと思うと、猫がこちらに覆いかぶさり、耳を舐める。
「我慢出来ない……ナノ、いい?」
羞恥心と快感。その二つがコンマ何秒で戦闘を繰り広げ……最後に私はうなずいた。
「ボリスが大好きだから……いい」
「俺も!大好きだよ、ナノ」
微笑んで、優しくキスをしてくれた。

…………

「ん……」
こちらの足を抱え、彼自身を深くに埋め込まれる。
まだボリスは動かず、心配そうに、冷や汗をかく私を見ていた。
「大丈夫?ナノ……どうする?ダメそうなら……」
「あ……ん……っ!だ、大丈夫……痛く、なくなってきた……」
多少の痛みはあったけど、それもちょっとずつ慣れてきた。
私はボリスの手を握り、自由な方の手を彼に伸ばす。
「あなたが、すごく欲しい。だから平気……」
「ん、俺も。俺もだよ、ナノが欲しい……」
ボリスが耐えきれない、という風に少しずつ動き出す。
「ボリス……っ!!」
私は、自分の中に彼自身を感じ、消えない痛みと新しい快感との間で、声を上げて
恋人の名を叫んだ。


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