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■三月ウサギのペット3

※R15
※少しでも不快に感じられましたら、すぐにページを閉じて下さい。

エリオットは地面に倒れた人を足で蹴りながら、部下さんに指示を出す。
「こいつと、こいつと、こいつは、拷問にかけて情報を聞き出すから生かしとけ。
残りは始末しろ。目撃者も全てだ。全員消せ」
エリオットはいとも簡単に言うと、まず一人の頭に銃をつきつける。
私は我慢出来ずに顔をそむけたけど、直後の銃声は嫌でも耳に入った。
銃声は続く。悲鳴も、命ごいの声も聞こえるけど、私には何も出来ない。
構成員さんたちに守られ、うつむき、手をぎゅっと握っている。
場違いどころじゃない。マフィアの仕事場なんていたくもない。

エリオットは何発か撃ち、
「後はやっとけよ。あーあ、手間かけさせやがって。
すっかりナノを待たせちまったじゃねえか。ナノー!」
駆け寄る音がして、私を守っていた構成員さんたちが素早く私から離れ、立ち去る。
「ナノ!」
エリオットの嬉しそうな声。でも私は両手で身体を抱きしめ、震えている。
彼が怖い。関係ない人も、子どもも、普通に巻き込んで何の罪悪感もない。
「ナノ。すねるなよ。待たせて本当に悪かったって」
エリオットは何か勘違いしているのか、猫なで声で私の肩に触れる。
「い、いえ、大丈夫です。怒ってません……」
多分青い顔をしているだろう。でも振り返り、あちこち赤に染まるエリオットに
何とか微笑む。エリオットも、あまりにもいつも通りの笑顔だった。
「連れてくるのは危険だと思うけど、やっぱりおまえがいるのはいいよな」
「!!」
手を引かれ、抱きしめられたかと思うと、顔を上げさせられ、キスをされた。
やわらかい物が重なり、ぬめる舌が強引に入り、こちらの舌を弄ぶ。
「ん……っ……!」
ここをどこだと思ってるんだろう。人が倒れている。構成員の人たちが、私たちの
真横で、まだ息のある人の頭に銃をつきつけ……銃声。
涙がにじむ。こんな場所では絶対に嫌だ。
せめて意思表示しようと、エリオットの胸を手で叩いた。
一応は伝わったらしい。エリオットは少しだけ顔を離し、こちらの耳元で、

「命令だ、逆らうな」

「…………」

さっきまでの笑顔と真逆の、底冷えする声。
力が抜ける。いや、怖くなって抵抗出来なくなる。
「ん……」
私が大人しくなったのをいいことにエリオットは何度も唇を重ねる。
舌を絡める。嫌でも音が響く……近くにいる構成員さんには絶対に聞こえた。
エリオットは気が昂ぶっているのだろうか。
私を抱きしめる力がさらに強くなり、つぶされそうだ。人前だというのに、手も、
腰や……その下を這い出す。もう公開で××されてるみたいなもんだ。
怖くて恥ずかしくて情けない。でももっとひどいことをされそうで、何も言えない。
顔を撫でる手さえはらえず、私は涙を必死にこらえながら、目を閉じて耐えた。

「ああ、くそ、我慢できねえ……」
しばらく泣きそうな私を見ていたエリオットがそう言った。そして頬から手を離す。
「?」
やっと離れてくれたかと思うと、私の腰を抱き、建物の方へ歩き出した。
「エリオット?どこへ?」
けど三月ウサギは答えず。
「後は片づけておけよ!すぐ戻る」
と乱暴に指示を出すと、建物と建物の間の狭い小路に私を連れて行く。
まさか……。
「ちょっと、エリオット!」
さすがに声が険しくなる。でもエリオットは上機嫌の笑顔で、
「心配するなって。狙撃するような奴は全員始末してるし、やってる最中だって
気ぃ抜いたりしねえよ。ちゃんと守ってやるからな」
「い、いえ、そういう心配じゃなくて……」
でも一つ角を曲がったところで、エリオットに、壁に背を押しつけられる。
「ん……」
強く身体を密着させられ、背を抱きしめられた。
頭に手が触れて上を向かせられ、また唇が重なる。
「……んっ……んん……」
こちらの足の間に、エリオットの膝が割り込み、意図を持って動く。
もう、ここで何をさせられるかは火を見るより明らかだった。
「エリオット……嫌……」
場所も嫌なら、されることも嫌、エリオットについた赤や硝煙の臭いも嫌だった。
けど、エリオットの手はこちらの意思を無視して上着のボタンを性急に外す。
「そこまで心配なら、部下を数人、ここに呼んで見張らせてもいいぜ?」
「……っ」
お馬鹿な勘違いに見せかけた脅しだ。
従順になるか、より残酷に辱められたいか、選べと。
何とか逃げる方法を探す間に、シャツが左右にはだけられ、下着が見えてしまう。
エリオットの大きな手がその下にもぐり込んだ。
でもこちらは全く反応していない。鳥肌がせいぜいだ。
けどエリオットはかまわず、少し息を乱しながら、愛撫を始めた。

「ナノ……畜生、そんな顔しやがって……」
そう言われても、誘った覚えなんかない。
「違います。本当に嫌なんです……エリオット……!」
嫌悪に、今度こそ涙をこらえきれず、首を振った。でもエリオットの声は冷たい。
「俺とブラッドに絶対に逆らわない。ブラッドの前で、そう誓約したんだよな」
そう言って、こちらの下半身に手を伸ばす。そう言われたら逆らえない。
「……でも……っ」
人の通らない小路とはいえ、外で下をまさぐられる。
それでも、服の中に手が潜り込み、乱暴にされると、少しずつ愛液があふれてくる。
「はっ。口では嫌だって言いながら、いつもこうだな、おまえは……」
嘲笑。すぐに動きは露骨で激しいものになり、路上に、いやらしい水音が響く。
羞恥心を煽ろうとしているのか、胸元をたくしあげられ、下も少しずつ下ろされる。
真っ赤になって首を振るけど、三月ウサギはその反応に煽られているらしい。
息を荒くし、下を膝まで下ろし、じっくりと見られる。私は両手を目に当て泣いた。
「エリオット……やだ……」
「糸、引いてるぜ。ほら、向かいの窓から丸見えだな。広げて見せてやれよ」
「やだ……やだ……」
泣きながら、それでも悦んで愛液を流す自分にも嫌気がさす。濡れた箇所を前後から
いいように弄られ、音を立てさせられ、嘲笑され、嗚咽が路上に響く。
反応している私に非があるんだろうか。
でも、こちらが望んだことじゃない。それだけは確かだ。
私を抱きしめながら、自分はボタン一つ外さないウサギが言う。
「おまえを手に入れたい。心も身体も、全部、俺の物だ」
「…………」

抵抗したけど、その後、下を脱がされ、下半身を完全に露出させられた。
足を持ち上げられたとき、かなり潤ってはいただろうか。
でも力ずくで支配されたときには、悲鳴と泣き声が路上に響いた。

もちろん助けが来ることも、三月ウサギが慈悲をよこすこともなかった。

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