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■襲われた話

※R18

私は、自室に続くクローバーの塔の廊下を歩いていた。
窓の外はロマンチックな月夜だ。
「はあ。いい湯でした……」
お風呂場から石けんの香りを漂わせながら歩いていると、私の名を呼ぶ声がした。
「ナノーっ!!」
向こうからバタバタとこちらに走ってくるのは、太陽のような笑顔のウサギさん。
「こんばんは、エリオット。もう大丈夫なんですか?」
何だかよく分からないうちに、仲直りということになったエリオット。
もう彼を怖がる理由はないので、私も『高速で後じさり』しながら、手を振る。
「ああ!たくさん食って、疲れるくらい寝た!もう心配いらねえぜ!だから……」
と、さらにスピードを速め、こちらに駆け寄ってくる三月ウサギ。
「それは良かったです。あなたがお元気で嬉しいです」
と、私はエリオットにニコニコ笑顔で……背を向け、全速力で走り出した。

……凶暴な動物がたくさん食べて寝て。次にすることは何でしょう。
事前に予測し、風呂に入っていた私は慣れすぎか、汚れすぎか。

…………

エリオットはそこらの客室の扉をバタンと開ける。そして内に入り鍵をかけた。
手首をつかまれ、連れてこられた私は、
「ちょっとエリオット。せめて、私の部屋で……」
「そこまで待てねえ。いいだろ?」
「いいわけ……わっ!」
そして視界にあるベッドに行く前に、床に押し倒されました。
「ナノ……ナノ……っ!」
強く抱きしめられ、味見されるように、首筋に舌が這う。
「エリオット……落ち着いて……ん……!」
彼は聞いちゃいない。
あー、客室の床がじゅうたんで良かった。
あまり人の来ない区画の客室で、さらに良かった。
かみつく勢いで唇にキスをされ、舌をねじこまれる。
頭が変になるんじゃないかと思うほど強くかき抱かれ、唇を押しつけられる。
「ん……んん……っ」
唾液の絡む音。一秒の猶予さえ与えられず、貪られ、荒い息と唾液がこぼれる。
その間に、彼の手が服のボタンを外す……かと思ったんだけど。
「ん……あ……っ!!」
キスしたまま前を、肌着ごと引き裂きさかれた。
どういう腕力ですか。濡れた紙を千切ってんじゃないんだから。
外気にさらされた胸をすぐにつかまれ、舌と手で激しく愛撫される。
うう……着衣で胸だけむき出しって、×××プレイっぽいなあ……。
「や、あ……っ!」
多少なりとも余裕でいられたのは、そのあたりまでだった。
「あ……ああ……っ」
敏感な箇所に触れられ、強く刺激されるたびに、自分とは思えない熱い声が出る。
乱暴な手がさらに服を引き裂き、前を完全にはだけられてしまう。
手は変わらず胸を弄り、舌が素肌の上を這い回る。隠そうにも身体が動かない。
そして欲望に突き動かされ、こちらを味わうウサギは肉食獣そのもの。
性的ではない方の意味で、襲われている錯覚に陥る。
「ね、落ち着いて下さい。もっとのんびりとですね……」
「ナノ……っ!」
また抱きしめられ、キス。あざがつくかと思うくらいにさらに胸を手で圧迫される。
反応して起ちあがった箇所を、何度も何度も舌でねぶられる。
頭の芯が熱い。あんまり気持ち良くて、それだけでおかしくなりそうだった。
「ん……や…っ……あ……」
そして腰の隙間から大きな手が滑り込み、制止する間も無く茂みの奥を探り出す。
そしてエリオットが意地悪く笑う声がした。
「ぐしょ濡れじゃねえか……のんびりで待てるか……?」
「ひっ……」
「ほら、聞いてみろよ。こんなに……」
「止……めて、ダメ…っ!」
恥ずかしい音がする。からかうように谷間を指でかき回され、電流が走る。
「あ……やあっ……違……そんな……っ!」
もう自分が何を言っているのか分からない。
そしてエリオットはこちらの腰に手を当て、下着ごと、下を引きずり下ろした。
「あ……っ!いやあっ!」
興奮して涙のにじんだ目でエリオットを見上げる。
「すげえな。よく熟れてる」
「あ、ああっ……!」
指を愛液のあふれる場所に沈められ、それだけでイッてしまうかと思った。
「中もすごいぜ、なめてみろよ」
「やだ……あん……」
糸を引く指を口の中にねじこまれ、×××な味のするそれを従順にしゃぶる。
「ん……」
「…………」
でもエリオットも、余裕な顔は長く続かない。
「分かったよ……そんな目でねだるんじゃねえよ……!」
すぐに指をこちらの口から出すと、慌ただしく脱ぎ出す。
マフィアのスーツ姿の下から、一人の精悍な男性……というかウサギが姿を見せる
のを、恐れと欲望の入り交じった目で私は見る。
「ナノ……っ!」
両足を抱えられ、生温い何かを押し当てられる。私は馬鹿みたいに訴えた。
「エリオット……ください、もう我慢出来ない……っ」
「はっ。どっちが欲しがってるんだか……本当に、×××な女だな……」
称賛だか罵倒だか分からない言葉でこちらを形容する。
「そんな、意地悪……あ、あああ……あああっ!」
反論の言葉は、猛った雄に貫かれ、消え失せた。


「はあ、はあ……ああ……」
理性をかなぐり捨て、自分を責め立てる獣に腕を回す。
何度も何度も、数えるのが不可能なくらいに熱く、激しく、最奥まで穿たれた。
「ナノ……はあ、いい……熱くて、締めつけてくる……」
「や……エリオット……気持ち良いの……もっと欲しい……です……」
もしかすると、こちらの方が乱れているかもしれない。
私は汗に光る胸をゆらし、揺さぶられるたびに声を上げ、涙に潤む目で、より激しい
責めをせがむ。当然、応えてくれるご主人さまを抱きしめ、二人で舌を絡める。
「エリオット……ああ、あん……や、ああ、あ……ああっ!」
汗が飛ぶ。名を何度も呼び、打ちつけられるたびに快感で泣き叫ぶ。
揺さぶりは激しくなる一方で、動きを合わせるどころか、自分を保つので精一杯。
やがてエリオットが切羽つまった声で、
「ナノ……そろそろ……」
「く、ください……××××……いっぱい……」
素面なら決して言えない卑猥な単語まで口から出る。
そして限界まで激しく突き上げられた瞬間、内に激しく何かが放たれる。
「あ……ああ……っ」
声を上げ、そして私も達する。
「……ナノ……好きだ……」
脱力してベッドに沈むとエリオットが言い、汗ばんだ身体で私を抱きしめてくれた。
そして、どちらともなく、深いキスをした。
そのまま、ずっと二人で抱きしめ合っていた。

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