続き→ トップへ 短編目次 長編2目次

■森の騎士様・中

※R18

川のせせらぎは清らかで、鳥たちの声はとてもきれい。
ここは不思議の国。童話のような世界にいるというのに……。
「ん……ん……」
「はは。上手いな、ナノ。本当に、すごくイイ……」
童話のような森の中で、赤いコートの騎士の前にひざまずく全裸の自分。
そしてご奉仕させられています。
……何なんだ、この光景は。
倒錯しすぎてツッコミどころが分からない。
「ほら、歯が少しあたった。もっと集中してくれよ」
優しくコツンと私の頭を叩く騎士様。
いえ……その、何て言うか……テントを張ってくれないかなあ……。
チラッと物言いたげな視線をこめ、騎士を見上げると、
「あ、寒い?そっかそっか、ごめんな。気遣いが足りなくて」
騎士は優しく言ってコートを脱ぎ、私の裸の肩にかける。
裸体がいちおう隠れ、私は少しだけホッとした。
――……て、違う!!気遣いの方向が違う!!いえ、ちょっと温かいけど!
ていうか、何でそこまで外が好きですか、あなた。
別に切羽詰まってるわけでもないのに、何だってナチュラルに外で愛し合う必要が
あるのか。けど騎士様はテント設営を始める気配もない。
ていうか、川に浸かったコートは半分濡れてて気持ち悪いです。
そして黒い騎士様は、奉仕を続ける私の頭を撫で、
「場所が外で、コートの下は裸で、ご奉仕って、何かナノ、変質者みたいだな」
あんたが言うかっ!!

…………

「んっや、あ、あん……」
森の中に甘い声が響く。
のどかな木漏れ日の中、私は大きな木の下で、騎士に貫かれている。
「ナノ、外なら昼間の方が好き?……前の晩よりずっと……ん……」
ゆるやかに腰を動かしながら、騎士様が笑う。
――いえ……ないです!そんな、変態趣味、本当に、ない、ですからっ!!
反論したいけど、喉から出るのはいやらしい声ばかりで、言葉にならない。
足を抱えられ大きく開かされ、わずかに呼吸を乱す騎士様にいいようにされている。
コートは脇に放られ、私は大自然の中で大変に大胆な格好をしていた。
別に、そんな状況に決して興奮しているわけでは……!
「あ、あん、や……あ、ああ……」
深々と打ち込まれるたびに快感で頭が焼けつきそう。
責められながらイタズラのように×××××を弄られ、はしたなく声を上げる。
「エース……気持ち良いです、すごく……熱い……もっと……っ」
「ん……本当に……××な子だな……」
少しだけ余裕の後退したエースの声。唇を重ねられ、舌が絡み合う。
同時に打ち込まれる熱が速度と硬さを増す。
「や、あん、やあ……あ、あん……ああっ」
肌のぶつかる音と、愛液がかき乱される卑猥な音がやけに大きく響いた。
快感に潤む瞳でエースを熱っぽく見上げると、
「可愛いぜ……エリオットにも、そんな目でおねだりしてたのかい?」
「や……言わないで……やだ、あ、あ、」
「君、とてもそうは見えないのに、すっごくいやらしい子だよな。
いつもこんな可愛い声と顔でねだられたら……エリオットが君を手放せないわけだぜ」
「そんな、こと……あ、あん……や……っ」
強く抱かれ、より深く責め立てられる。
そのたびに私はみっともなく嬌声を上げた。
「ああ、あ、あ、やあ、エース……ああ……っ」
「ナノ……っ」
エースの顔から笑顔が消える。私の足を抱え直し、狂ったように揺さぶった。
「あ、ああん、あ、あっ……あん」
「……ナノっ……ん……」
もう役持ちも余所者も関係ない。
欲望に浮かされ、野生の獣のように、私たちは森の風景に溶け込んでいく。
「あ、ああ……あああっ!やあ……ああああっ」
快感が頭の中で弾け、何も分からず、私は達した。
「――っ」
「ん……!」
一呼吸遅れ、エースが私を強く抱きしめ、中で達する。
内に放たれる欲望の証を感じながら、私は小さく息を吐いた。
どちらともなく視線が合い、自然に唇を重ね、舌を絡ませた。
「エースぅ……」
甘えたいのか、媚びているのか、抗議しているのか自分でも分からない。
エースは優しい目でもう一度キスをしてくれた。
「すごく良かったぜ。また川で君の身体を洗わなきゃな」
さっきまでの余裕を失した顔はどこへやら。
エースは飄々とした雰囲気を取り戻し、私を愛おしそうに抱きしめて笑った。

2/8
続き→
トップへ 短編目次 長編2目次


- ナノ -