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■森の騎士様・上

※R18

クローバーの国の早朝はとても空がきれいだ。
私は鳥がさえずる声を聞きながら、清浄な川の水で身体を洗う。
……清浄であって下さい。でないと衛生的にアレなんで。
うう、それと水が冷たい。でも洗わないと不潔ですし。
私は冷えた身体にむち打って水をかけ、愛撫された箇所や、少しだけ手荒くされた
場所を清めていく。あうう、寒いなあ……。
そして手を下半身にのばそうとしたとき、

「おはよう、メイド君……じゃなかった、ナノ」

「っ!!」
後ろからいきなり、男に抱きつかれた。
かくして森に女の子の悲鳴が響いたのであった……。

…………
私はナノ。日本生まれのごく普通(以下)の女の子です。
元の世界から捨てられた私は不思議の国に来て『余所者』として歓迎されました。
しかし……。
『余所者は愛される』というとんでもない事情ゆえ、多大な迷惑をこうむりました。
過度の寵愛と迫害は紙一重です。ペットとして扱われるわ、抱ける玩具扱いだわ、
やりたいことも出来ず、外に出るのもままならない、自由のない生活でした。
で、行きたい場所に行けるという不思議な扉をくぐり抜けました。
そして『誰も私を余所者と知らない』、不思議の国と似て非なる『別の不思議の国』
に来てしまいました。
そして今度はヘタに権力者の注意を引かぬよう、ひっそりと生きていくことにしました。

が、私が余所者ということに気づいた男が一人出たわけです。

んで、話はまた朝の川辺に戻る。

…………
「すっごい声だなあ。ナノ。でも襲われた女の子みたいでちょっと興奮するぜ」
「実際に襲われかけてるんですよ、この変態!」
ツッコミつつ叫び、振り向くと、
「変態だなんてひどいなあ。君の主人に向かって」
赤い騎士様がおりました。破れまくった裾が川のせせらぎに揺れています。
……いや、川の中にコートのまま入ってくるか普通。

「自分のメイドに抱きつくご主人さまがありますか!」
ツッコミを入れてもエースはニヤニヤ笑い、
「じゃあ修正するよ。ひどいなあ。君の『恋人』に向かって」
恋人、ねえ……。
「あいにくと恋愛関係は、双方の合意のみで成立するものです」
ピシャリと言ってやると、
「合意は取れてるだろう?な?ナノ」
「取れてません」
「そ?」
赤い騎士は濡れた胸を愛撫し始める。そしてもう一度だけ言った。
「君は俺の恋人だ、合意……取れてるだろう?」
声が一瞬だけ、恐ろしく低くなる。
私は内心で深いため息をついた。
「はい。私たちは合意の関係です」
声を心もち低くし『決して本意ではない』と、ささやかな抵抗をする。
「そっかそっか。両思いで嬉しいぜ!じゃあ遠慮はいらないよな!」
で、抱きついてくる騎士。三月ウサギなら『何だ、その言い方は』と絡んでくるけど
この騎士様はサラリと流す。正直、どっちがいいんだろう。

――×××を一度させれば、満足してくれるかと期待してたんですが……。

逃げるから追ってただけで、手に入れたら興味を失う。
恋愛にはよくある話だ。
ハートの騎士エースもそういうタイプではないかと、実はちょっと期待していた。
が、『あの夜』、さんざん私の身体を楽しんだというのに、まだ飽きてないらしい。
「ん……っ」
騎士に耳をかまれ、ほんの少しあえいでしまう。
ていうか、何かここ最近、力やら権力やらにめっきり弱くなってるなあ。
主人公が成長して、騎士やマフィアの腹心に立ち向かう強さを得る……という展開は
ゲームなんかでありそうだけど、弱体化して尻尾を振るようになる私って……。
「暗い顔だね、ナノ」
騎士は嬉しそうだ。
そしてその手を私のお腹やらお尻やらに這わせて行く。
「俺も洗うのを手伝ってあげるよ。ほら、膝もぴったり閉じてないで少し開いて」
腿のあたりを撫で、かたくなに侵入を拒む茂みの入り口を弄る。
「ん……」
耳の裏にかかる息がほんの少しだけリズムを崩す。
別の手がもどかしげに胸の上を動き、先端を弄ったり、形を確かめたりといやらしい。
「……男の方に洗っていただく趣味はありませんので」
「ダメダメ。ちゃんと出しておかないと不衛生だぜ?」
いやいや、それを言い出したら川の水で身体を洗うこと自体が。
「ほら、足を開いて」
「…………」
かけられる声は爽やかで、本当にこの人が、対等な恋人だと錯覚しそうになる。
……でもまあ、胸を弄っていた手が、ね。
ほんの少し上に……喉のあたりをくすぐってくる。
単なる愛撫のようにも感じる。脅しとは言い切れない。
でも次の瞬間、その手に力をこめられるのではないか。そんな気がする。
エースは次の瞬間に何をするのか分からない人だ。
他人の不安をあおるのが上手い。
「…………」
私はゆっくりと足を開く。というか動くから水が冷たい。
「あはは。ちょっと濡れてる?」
「……はあ。濡れてますが。純粋にお水で」
喉元の手が再び胸に戻り、茂みの奥に忍び込んだ指が谷間を乱し始める。
「ん……ぁ……」
次第に私の声に艶が混じり始める。
中に潜り込まれ、トロリとしたものがかきだされる。
でもそれには、あきらかに別の愛液が混じっていた。
清涼な水音の中に、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が重なる。
「ん……や……だめ……」
「そう言いながら足は開くんだ。いやらしいな、ナノは」
背後にあたる騎士の×××も、反応を始めている。
そして騎士に愛撫される私の胸も、愛撫に応えだしていた。
下の方も、騎士様がいくらかき出そうと、糸を引く何かが止まらない。
「ナノ。これじゃいくら洗っても無駄だな。川から上がろうぜ」
「……ん……」

顔を真っ赤にしてうなずくしかなかった。

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