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■限界2

※R18

真っ昼間に、小屋の裏手で押し倒されている。
こちらは全て脱いでいるので話が早い。
でもエリオットの手に乱暴に秘所を探られ、前回の傷も癒えてない私は、
「痛っ……」
と、小さくうめいた。
――ま、まずい。機嫌を取らないといけないのに……。
ハッとしたときにはエリオットが冷たく見下ろしていた。
「……悪かったな。俺が抗争でくたばらなくてよ」
「そんな……こと……」
うわ、考えがすごく陰険だ。
エリオットはカラッとした人だった。こんなことを言うウサギじゃなかったのに。
「さっきだってそうだった。ずっと嫌そうな顔をしていたぜ」
……茂みでヤラれたアレですか。
ごく特殊な趣味の女の子以外は嫌がると思うけどなあ。愛の言葉もろくな愛撫もなく
しかも茂みでヤラれて。というか、元の世界では犯罪ですよ、アレ。

「……嫌がる顔、怯えた顔、痛がる顔、懇願する顔、泣き叫ぶ顔、嗚咽する顔、全て
あきらめた冷めた顔……ここ最近で見たおまえの表情なんてそれくらいだ」
そして怒りの全てをぶつけるように怒鳴る。
「今も上目遣いにビクビク俺の機嫌をうかがって、その割に媚びた笑み一つ売るわけ
でもねえ!苛々するんだよ。おまえを見ていると!」
なら会いにこなければいいのに。すると考えを読んだようにエリオットは、
「でもここに来る。おまえに会ってないと……おまえが俺のものだと確認しないと
……俺はダメなんだ。なのにおまえは……俺を見ると、いつも……いつも……!」
最後は言葉にならないのか、顔を伏せ、悔しそうに声を震わせる。
私は困った。ここでエリオットにどうにかして慰め、軟化を引き出したい。
が、言葉が浮かばない。
そして、いいシーンのフラグは、タイムオーバーでさっさとへし折れる。
エリオットは再び顔を上げ、私に冷たく言う。
「足、開けよ。自分で両膝を抱えて、大きくな」
……形だけの愛撫、暴力に近い慣らし。そしてエリオットはそう命令する。
嫌だ。そんな屈辱的な姿勢。思い通りになりたくない。痛いことをしてほしくない。
でも私はノロノロと両手で足を抱えて開き、エリオットによく見えるようにする。
「はっ……少しは反応してるじゃねえか」
じっくりとそこを眺め、エリオットは嘲笑する。
私は羞恥でカッと顔が熱くなった。
そして三月ウサギは生温いものを私に押しつけながら、残酷に笑った。
「今回の抗争じゃ、俺が一番手柄を立てたからな。ブラッドが報奨に、臨時休暇を
くれたんだ。だから××時間帯はここにとどまれる。嬉しいだろう?ナノ」
「…………」
媚びた答えを返しても、否定的な答えを返しても、結末は同じだ。
なら何もしゃべらない方が、体力が減らなくてすむ。
そして私はどんな表情を浮かべたのだろう。エリオットは酷薄な笑みで、
「そんな顔をして喜んでくれて嬉しいぜ。可愛い悲鳴を期待してるぜ、ナノ」
そう言って、エリオットは力ずくで押し入ってきた。

…………
目を開けると、燃えるような夕暮れに変わっていた。
気分は……最悪中の最悪だ。
私は貯水樽の下に放置され、髪も身体も泥で汚れている。下半身は、何度も何度も
放たれた白いもので汚されて、傷やアザがさらに増えている。
――というか、これだけ限界まで汚れた私に、よく頑張れますよね……。
私が男なら、こんな汚い子なんて、絶対その気にならないと思うんだけどなあ。
まあウサギさんは可愛い外見と裏腹に、精力強壮で有名な動物らしいけど。
で、当のエリオットは姿が見えない。小屋の中にも気配がない。
着替えるため、屋敷に一度戻ったのだろうか。
うう、傷口が汚れてる。破傷風とか、ンな現実的なもの無いですよね?……多分。
私はフラフラと起き上がり、服を……ひどいことをされている間にぬかるみに巻き
込まれたのか、泥でぐしゃぐしゃになったそれを拾う。
他に着る物がないので、仕方なくそれを着る。
乾いた泥が身体や髪にこびりつく。
その全身の気持ち悪さたるや、不思議の国に来て一位、二位を争うほど。
そして痛む身体を叱咤し、桶を持ってよろめきながら、私は川への道を歩いた。
夕暮れの風が冷たい。一歩ごとに体力と熱が奪われるようだった。

――あとお腹、空きましたね……。
結局、パンもスープも口にしていない。

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