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■狂気5

※R18

暖炉の前にうずくまる。
私は何も着ない素裸で膝を抱え、炎を見つめていた。
すると、背中に布をかけられた。
エリオットがベッドの毛布を持ってきたらしい。
「その…最初が床で悪かった。ちょっと余裕が無かったんだ」
「…………」
最初、ねえ。あの後、二回戦どころか三回も四回も強要しておいて。
床のささくれで背中にすり傷を生産しましたが。
「頭もちょっとコブになってるな。痛むか?氷か何か……」
あると思いますか?こんなボロ小屋に。
情事の最中、テーブルの脚にガンガン頭をぶつけた。笑えもしない。

私があまりにも黙り込んでいたからか、エリオットは言った。
「後悔はしてねえ。他の奴に取られるくらいなら俺のものにする」
上半身裸のエリオットが私の横に座り、毛布の中に手を潜り込ませ、私の肩に回す。
私は、叫びすぎて少し枯れた声で、エリオットに言った。
「言ったはずです……マフィアは嫌だと。ましてNO.2の情婦なんて。
あなたがどれだけ私に好意を抱かれようと、私は恋愛対象として見ていません。
先ほどのような関係を憎悪します。それでも私に強要されるんですか……?」

「当たり前だ」

エリオットの返答には沈黙もためらいも無かった。

この世界では役持ちのすることには誰も逆らえない。
そして私が、行き先のない無能者なのは、エリオットは先刻ご承知だ。
「……私がクローバーの塔に助けを求めたら?」
「会合中に目を皿にして探し回るだろうな。部下も総動員して。
その後は……自分でもおまえをどうするか分からねえ」
そう言って、手をむき出しの肩からそっと背中に移し、なで下ろしていく。
その手がゆっくりと前に回り……
「足を開け」
「…………」
言われたとおりにするしかない。
すると手が遠慮無く茂みの中に潜り込み、完全に熱の冷めていない場所を探り出す。
いつの間にかエリオットが私を抱きしめるように後ろに移動しており、別の手が胸を
愛撫しだしていた。
「あなたには感謝しています。すごくすごく。でも……」
命の恩人だ。嫌うわけが無い。忠誠心に近い物を持っていたと自負できる。

「それでも、こんな関係は絶対に嫌です。望みません」

「おまえが同意しようとしまいと、俺は止める気はねえ……おまえは俺の女だ」

乱暴に横に転がされたかと思うと毛布を取り払われ、また押し倒された。
エリオットは私にキスをし、再び己の前を緩め出す。
――どうせ、すぐ飽きますよね……。
そんな現実逃避にかすかな願いを見いだし、次に来る痛みに備え、私は目を閉じた。

…………
青空の下、嗚咽が小屋の裏手に響く。
「ダメ、やです、こんな場所……」
「どうせ誰も来ねえだろう……ほら、おまえも腰を動かせよ……」
小屋の壁に手をつかせ、後ろから貫きながらエリオットは命令する。
「やだ……いやだぁ……」
さっきまで私は農作業中だった。
そこにエリオットが現れ、小屋の裏手に連れて行かれた。
「はあ、あ……やあ……っ」
麦わら帽子が地面に落ちている。前をはだけさせられ、下の服は下ろされ、その気も
ないのに昼間から強制される。地面に涙が止まることなくポタポタと落ちた。


「ナノ……ナノ……っ」
激しく私を揺さぶっていたエリオットが、私の中で何度目かの絶頂を迎え、静かになった。
私はそのまま地面にくずれる。
「おい、こっちを向け」
服を整える気もなくぼんやりとエリオットを振り返る。
するとエリオットはまだ雫をこぼす×××を持ち私の前に突き出した。
「やれよ」
「…………」
作業と行為で疲れた身体を叱咤して、エリオットの前に膝をつく。
そっとソレを口に含み、清めながら愛撫する。
さして悪くはないらしく、髪を撫でる感触があった。
でも以前と違って全く嬉しくない。
「ナノ……もう少し……」
全て清め、口を離そうとすると、頭を抑えつけられ、続きを強いられた。
「ん……」
仕方なく手でつかみ、口で何度も刺激し、舌で愛撫すると、また育っていく。
「はあ……ああ、いいぜ……もっと……」
口が疲れた。でもエリオットは私の頭をつかみ、自分がしてほしいように勝手に
動かし出す。
「ん……んん……っ」
頭を振るけど通じない。疲労と苦痛でまた涙がこぼれた。
でも三月ウサギはこちらを全く気にかけず、己の快楽に集中している。
「あ……はあ……はあ……ナノ……っ」
そしてやっと口が解放されたと思った瞬間、顔に何かかかったのを感じた。
「はあ……はあ……悪い。間に合わなかった」
どうだか。
顔と髪、はだけられた胸にかけられた白いものを私は無感動に眺める。
水のストックは確か切れている。この格好で川まで行き、身体を清めるための水を
くみに行かなければいけないのか。
「すまねえが、後始末は自分でやってくれ。また仕事が終わったら来る」
エリオットは自分の服だけ直し、額に軽くキスをして去って行った。
まあ、今回は小屋の裏だっただけマシだ。
表のテラスで押し倒されたこともあれば、小屋の真ん前でヤラれたこともある。
それでも……。

私は小屋の壁にもたれ、何をする気力も無く、ずっと空を眺めていた。

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