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■雨と騎士4

豪雨に負けず寒すぎることを言って、エースは片手でズボンを下ろす。
そして半ば××した×××を出し、私に強引に握らせた。
「…………」
渋々扱き出すと、エースは、私の裸の上半身を見ながら、
「そうだ。一度さ、君の胸に挟んで……いや、出来ないな。やっぱいいや」
真顔で言われ、ピキッと古典的表現でこめかみに青筋が立った……気がした。
しかし反論して『じゃあ……』とエロゲだかビデオだかのような行為を強要されては
たまらない。仕方なく、ほとんど自棄のようにこちらから愛撫する。
「ん……いいぜ……上手いじゃないか……ナノ」
「わっ!」
そこそこ反応したかと思うと、エースに再度押し倒され、足の間に割り込まれる。
今度は私も抵抗しない。生温かいものを下に感じ、小さく息を吐いた。
「行くぜ」
「ん……や……やああっ……あ……」
一気に奥まで挿入され、大きな声が上がる。
呼吸を整える間もなくエースが動き出した。
「あ……ああ……や……あん……」
「はは。ココも暖めてほしかった?そんなに締めつけないでくれよ」
雨の寒さを感じないように立った胸の先をつかまれ、さらに声が上がる。
「あん……すごく、気持ち、いい……やあ……もっと……」
近くで雷が落ちるけれど、もう関係ない。
雷への恐怖ではなく快感からエースにしがみつき、さらに求める。
胸をエースの身体に押しつけると、内部を責めるモノが熱を上げた気がした。

「あん……や……あ、あ、あ……っ」
求めるほどに激しく与えられ、おかしくなるくらい揺さぶられ、声が止められない。
卑猥な音がつながった箇所からとめどなく漏れ、身体を流れる雨水に汗が混じる。
律動はさらに早くなり、深く突き入れられるたびに、達しそうになるのを押さえる
ので精一杯だった。
「ナノも、すごく……はあ……そろそろ、俺も……」
腰をつかまれ、気持ち悪くなりそうなほど速度を増してガクガクと胸が揺れる。
「エース……エース……もう……」
「……ナノっ!……ナノ!」
私の名前を呼ばれ、強く突き入れられ、瞬間、雷が鳴る。
「あ……ああ……やあ……っあああ……!」
豪雨を切り裂く声が私の喉から出る。
ほとんど同時に中で大量の何かが放たれ、エースも達したのが分かった。
「エース……エースっ……!」
必死に名前を呼ぶと、草むらにどさっと仰向けになった。
下がひくひくとけいれんし、快感の余韻を味わう。
エースは全て内側に放つとゆっくりと出、私の上にまた覆いかぶさり、キスをした。
「すごく良かったぜ。やっぱり君は最高だよ」
「馬鹿……嘘ばっかり……」
でも温かい身体に抱きしめられ、微笑みが自然にこぼれる。
「好きだぜ」
「ン……」
私たちはどしゃぶりの中、唇を重ねて抱きしめあった。

…………
テントの中に横たわりながら私はグチグチこぼす。
「ええ、ええ、こういうオチだと想ってました……はっくしょん!……というか他に
どういうオチを考えろと?……雨の中であんなことをすれば……くしょんっ!」
「一定数いるよな。律儀に『はっくしょん』って言ってくしゃみをする人」
エースは呑気に言い、水を絞ったタオルを私の額に乗せた。素裸で。
そして、寝込む私も実は何も着ていない。
二人の服は外の木の枝に引っかけられ、ポタポタ雫を落としているはずだ。

……どしゃぶりの中、脱いで×××したらどうなるか。
馬鹿でも分かる結末である。
しかし本物の馬鹿たる騎士様はあまり脱がなかったせいか、何ごともなく健康体。
熱と咳と鼻水に苦しめられることになったのは私の方だった。
おまけに服を着られないから、雨が上がっても逃げられない。
というか流れたんじゃ無かったのかテント。まさか最初から……。
「ぐす……ううう゛……苦しいでず……」
不毛な考えを止め、ぐずぐずと鼻をすすっていると、
「ナノー。飲んじゃダメだよ。ほら、ちーんして」
変態騎士が鼻紙をあててくれたので、大きくちーんしてやる。
環境保全意識のカケラもない騎士は、それをさっさとテントの外に捨てると私の
横に、自分も横たわった。たくましい胸板が間近に見え、思わず目をそらす。
そして『熱で』顔を赤くする私をエースは嬉しそうに見、
「君って本当に身体が弱いなあ。そして、弱ってるときが一番可愛い」
とゴロ寝しながら一人うなずく。
待て。あなたがどしゃ降りの中、変な行為に及ばなければ、ここまで熱が上がる
ことはなかったと思う。あと雨が上がってすぐ店に送ってくれれば病院にかかるなり
して店で療養出来たのに。
「お、また降ってきたな」
テントをポツポツと叩く雨にエースは顔を上げる。そして私に笑い、
「でも、今度はちゃんとテントを張ったから大丈夫だな!」
そう言って、私の身体に手を伸ばす。
「え?ちょっと待ってください。先に外の服を取り込まないと……」
「雨が上がってからやればいいよ」
本末転倒なことを言うと、私にかけられた布を剥がした。
「二人とももう脱いでるから、話が早いよな」
――ていうか、エース、全裸で二人分の服を干したんですよね……。
いくら森の中とはいえ。何となく戦慄した。

「ん……や……」
「うん。今度は俺も脱いでるから公平だな。俺って男らしい騎士だぜ」
体温の高くなった胸を愛撫しながら騎士様はおっしゃる。
「公平で男らしい騎士様は、風邪を引いた女の子に手を出さないと思いますが……」
「じゃあ君の風邪を俺に移してよ。そうすればおあいこだ」
「いえ、それ話が全然……ん……」
力なく反論する前に唇を塞がれる。
エースの大きな手が身体を這い、身体に押し当てられる彼の下半身に、病床の身でも
身体がじわっと熱くなる。
――これ以上の高熱、ヤバイのでは……。
しかし抵抗出来るわけがなく、私は快感と気分の悪さの板挟みになりながらエースの
熱を受け続けた。

「はあ……はあ……」
「ん……好きだぜ……」
堕落した時間には終わりがない。
私はテントの外の雨音を聞きながら責め立てられ、シーツをつかみ、あえぐ。
――せめてこの頑丈な変態が、私以上の風邪に苦しみますように。
はかない望みを抱き、雨が止むのを待つしかなかった……。

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