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■甘やかされた話12

※R15

ベッドに座るグレイはひたすら上機嫌だった。
「それで、君の新店舗だが、どこがいい?やはり一番のオススメは談話室だな。
あそこなら俺もナイトメア様も、休憩時間にすぐ会いに行ける」
「は、はあ、えと、そうですね……」
グレイの膝の上に乗せられて、私はひたすら身を縮こませている。
彼はそんな私のお膝に、建築関係の冊子を広げてくれた。
何やらオシャレなカフェの写真がたくさん載っている。
「景観にこだわりたいのなら、眺めのいいテラスを空けてある。スペースも広いから
ガーデニングカフェも可能だ。となると造園技師を手配しなくてはな。君の好みは?
これがイングリッシュガーデン、ローズガーデン、コテージガーデン……」
「ちょっと、ちょっと、グレイ……」
「ああ、いっそのこと塔の最上階でスカイカフェも悪くないな。見事な眺望と、君の
ココアを楽しめる店か……これは新しい観光スポットになるぞ、ナノ」
「戻って来て下さい、グレイ〜」
バラ色の未来に思いをはせるグレイに、私はドン引きである。

とりあえず、おずおずと遠慮してみる。
「その、何というか、まだ早いと思うのですが。私の店はクローバーの塔の領土に
あるようなものですし、出来ればあそこで今まで通り商売を……」
するとグレイの声が一気に険しくなる。
「ダメだ。あそこは売却する。君は俺の部屋にずっといなさい」
キッパリと断られた。
「でも、その、あの……」
そしてグレイは私の言葉を別の意味に受け取ったらしい。
「ナノ。あの場所は危険だし、君もろくな目にあっていなかったじゃないか。
君だって塔でしっかりした店を持てば、必ず考えが変わる。
何より君の腕を世に知らしめることが出来る」
「い、いえ、そこまでスゴイ才能があるわけじゃあ……」
思わずグレイの方を振り向くと、待っていたかのように、そっと唇が重ねられる。
「ん……」
舌がゆるやかに入り込み、こちらの舌を探り当て、優しく触れる。
それは次第に熱く激しくなっていった。
「ん……ん……」
膝から冊子が落ちるけれどグレイは気にしない。
そのうちにグレイは私の背中をしっかりと抱きしめ、キスをしたままベッドに倒れこんだ。
「……んっ」
グレイを押し倒した形になり、慌てるけれどグレイは私の頭をしっかりと押さえ、
さらに何度も何度もキスをする。
唾液の絡み合う音が響き、私の身体をなぞるグレイの手も熱くなっていく。
しかし窓の外は快晴。これはいただけない。やっと糸を引いて唇が離れたとき、
「グレイ……まだ昼間ですよ?」
「すまないな。俺の方が押さえられそうにない」
「……っ!」
身体の下方に覚えのある硬さを感じ、私は真っ赤になる。
「別にいいだろう?晴れて君と思いが通じたんだ。少しは幸せに浸らせてくれ」
そう言って、グレイは笑いながら私の服のボタンを外し出す。

――思いが通じた……。

またチクッと胸が痛む。
そこに至る経緯は忘却の彼方に置くとして。
あれは単なる事故だ。そう言わなくては。誤解なのだ。本当は違う。
でも今に至るまで、なぜか言い出せない。
グレイに申し訳なさすぎて。ガッカリさせるのが怖くて。
それに……。

――それに……?あと、何だろう。

「ナノ、もう少し集中してくれ」
「は、はい!」
グレイの声に、我に返る。
いつの間にか私が押し倒されていた。背中にやわらかい掛け布が当たる。
物思いに耽っている間に前ははだけられ、グレイも上を脱ぎ終わっていた。
陽光照らす時間帯から……という思いと、見慣れているはずのグレイの身体が何だか
恥ずかしくて、恐る恐る両手で自分の前を隠すと、
「可愛いな、君は」
やんわりと両手をはがされ、胸を舌が這う。
「ん……っ、や……」
胸を執拗に愛撫され、別の手が私の手から離れ、腰のあたりを探り出す。
「ん……んん……」
「ナノ……本当に嬉しい。俺を好きだと言ってくれて……」
――ちゃんと言わなきゃ……あれは、意識が危うかったときの、うわごとですって。
「グレイ、その……ん……やっ!」
いつの間にかウエストから潜り込んだ指が下半身に触れ、すでに愛液を零し始めて
いた場所に深く潜り込む。
「や……、グレイ、ダメです……あれは……」
でも上手く言葉に出来ない。音が聞こえるほどかき回され、もっと欲しくてグレイの
動きに合わせるように自分から腰を振る。グレイは笑いながら、
「はしたない子だな。君は」
「い、意地悪……!あん……ダメ……」
指が愛液のあふれる場所に潜り込み、ビクッと身体がはねる。
さっきまで思い悩んでいたことがどうでも良くなり、グレイを両手でかき抱いた。
うっすらと涙のあふれる目で見上げ、
「グレイ、キスしてください……」
「ナノ……」
すぐさま応じてくれるグレイ。舌を熱く絡めながら、卑猥な音を立てて下を慣らされ
もう彼が欲しくて頭の芯がどうにかなりそうだった。
「グレイ……グレイ……」
馬鹿みたいに訴えると、グレイも苦笑して前を緩める。
張り詰めたそれを私の熱い場所にあてがい、
「愛してるよ。終わったら、君にお茶を淹れさせてくれ」
「え……は?そ、それはちょっと……んっ!」

我に返ったのはほんの一瞬で、硬い楔に奥まで貫かれ、私は快感の声を上げた。

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