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■捨てた話6

※R18

ドキドキと心臓の音がする。不安と期待でシーツをぎゅっとつかむ。
上着を脱ぎ、私に覆いかぶさるブラッドはとても不思議そうだった。
「いったいどうしたんだ、ナノ。正直、君が頭を打ったのではと疑ったよ。
私は君の機嫌を取ることに熱心ではなかったのに、今の君は……その……」
私だって自分に聞きたい。
爆発に巻き込まれ、怪我しているところを拉致され、屋敷に半ば監禁され、回復して
いないのに無理やりヤラれ、ろくな扱いを受けていない。
でも、なぜか分からないけれど……今、この人が好きという気持ちが抑えられない。
けど声が戻っていたら私の方こそ言いたい。
先ほどからのブラッドの態度が、以前と比べてやけに優しい気がするのだ。
「!」
上着のボタンを外されそうになり慌てて両手で押さえる。
深い緑の目が驚いたように開かれ、フッと細められた。
「ナノ。もうそんな初々しい仲でもないだろう。いい子だから手を離しなさい」
でも私はぶるぶると首を振り、ぎゅっと前を守る。
「困ったな。そういう可愛い反応をされると……いじめてしまいそうだ」
「っ!」
また抱きしめられ、キスをされる。
大きな手が身体を撫でる。いかがわしい意図ではなく、本当に慈しむように。
強ばっていた身体がゆるんできた。
ブラッドの舌が首筋から鎖骨のあたりをなぞっていく。
その下に触れて欲しい、でも恥ずかしいという思いで困っていると、
「ナノ。君の触れてほしいところだけに触れてあげよう。どこを愛して欲しい?」
「……っ!」
耳まで真っ赤になり、そわそわとブラッドとベッドに視線を往復させる。
でもブラッドが私の反応を楽しそうに眺め、本当に何もしないものだから、
「…………」
おずおずと前のガードを解き、服のボタンをプチ、プチッと外していく。
「それから?」
もう限界までに顔を紅潮させ……ゆっくりと胸を覆う肌着を上にずらす。
期待に早くも反応し始めた胸がのぞいた。
「っ!」
「愛らしいことをしてくれる」
敏感な箇所に舌先が触れ、跳ね上がると思うくらい身体が震えた。
そのまま反応を促すように舌先で刺激され、私は自分で胸を出した状態のまま、
恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
本当に、初めてでもあるまいし、何でこんな気持ちになるのか分からない。
唾液を絡め、両の胸が反応しきる頃、下半身にじわりとにじむものを感じた。
「次はどこだ?お嬢さん」
湿った先端を指の腹で苛めながら、ブラッドは心底から楽しそうに私を見る。
私は察してほしい、とあきらめも悪くブラッドを見上げるけれど鼻で笑われただけ。
「……っ」
このままだと永遠に放置されそうな気がして、快楽の前に白旗を揚げる。
ブラッドに少しどいてもらい、ウエストに手をかけ、一秒が一時間になるくらいの
気持ちでのろのろと下ろしていく。下着ごと。
「いい子だ。さあ、足を広げて場所を示してみなさい」
「っ!!」
そう言われて逆に羞恥が戻り、あわてて両手で茂みを隠す。
「ナノ。私にも限界はあるんだ。あまり誘う真似はしないでほしい」
困ったような声は、いつものフェイクではなく何割かの本音が混じっているようだ。
確かにブラッドの下半身を見ると、その、彼も少し……。
指先が茂みの下の膨らんだ箇所に触れ、小さな快楽が走る。渇いていた場所に水が
湧き始め、直接触れられたらどんなに気持ち良いだろうという期待に胸が震えた。
恥ずかしさでぎこちなく手をずらし、ほんの少し見えるくらいに小さく足を開く。
「っ!」
少し開いただけで、腕をかけ大きく割り開かれる。
「――っ!」
はしたない箇所を相手の眼下に晒し、最大の羞恥心に大きく首を振る。
けれどブラッドは構わず、かすかに震え濡れて光る箇所を見、
「こちらだけは恥じらいなく、いつも通りで嬉しいよ」
何だか微妙なことを言い、そこに顔をうずめた。
「っ!!」
指で弄るだけで良かったのに、と私は暴れた。でも通じるわけがなく、
「――っ!……っ……っ!」
触れてほしかった箇所を舌と指で激しく蹂躙された。
理性を一瞬で覆った快楽に全てが吹き飛ぶ。
耳に容赦なくかき回す卑猥な音が響き、愛液をとめどなく流し続ける箇所を指が潜り込む。
瞬間に目の前が真っ白になった。
「…………っ!」
脱力してシーツに身体を落とすとブラッドが下から顔を離し、
「やれやれ。これからだと言うのに達してしまったのか?」
苦笑され、悪さをするように指が×××××をくすぐる。
すると下でまたじわりと染み出すものがあった。
そう、一番欲しいものをまだもらっていない。
私は手をついて少し身体を起こし、ブラッドを見上げた。
身体を動かして邪魔な上着を脱ぐと、彼に腕を伸ばす。
「本当に君は……」
困ったように言われた言葉の後ろ部分は聞こえない。
ブラッドがシャツのボタンを外していく。
慣れた余裕の仕草に見えるけれど、ボタンを急いで外そうとして何度か指が滑る。
それが何だか面白くてクスッと笑った。
するとブラッドが動きを止め、私を見た。
「……ここに連れてきてから初めて笑ったな」
え?ンな馬鹿な。のんびりニコニコが売りなナノさんなのに?
表情に出たのか、ブラッドは上着をようやく脱ぎ捨て、私に言った。

「ああ。そして君の笑顔は見慣れているはずなのに、とても新鮮に思うよ。
君がこの世界に来て、初めて私に微笑んでくれた……。
そんな奇妙な気分がして仕方がない」
そう言って、私の身体に腕を回し、強く抱きしめた。

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