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■子猫チェシャ猫4

※R15

ボリスの部屋に来てから、それなりの時間帯が経った。

そして包帯を変えているときのこと。
まだ無残な傷口を見て、ソファに座っている私は悲しくなる。
「まだ治らないですか……」
「でも前よりちょっと良くなってるじゃない。もう少しだよ」
ボリスは丁寧に薬を塗り、足の包帯を巻き直してくれた。
「ありがとう、ボリス」
微笑むと、ボリスも笑ってくれた。
「別にいいよ。ナノが俺の部屋にいてくれるだけで嬉しいからね」
……と言ってなぜか鎖を引っ張る。まあおふざけ半分みたいですが。
「でも、猫って鎖をつけないのでは?」
「んー?鎖じゃ無くて手錠の方が良かった?そっちの方が楽しいかな?」
「い、いえ、まあどちらでも……」
鎖骨を撫でて来る指に、何か意図的なものを感じる。
しかも指がじりじりとその下、服の中に入ろうとしている気がしてならない。
いえ、今は朝の時間帯だし、そういうのはちょっと……。
「えーと、ボリス。私は本でも読んでますから、行ってきていいですよ」
ここは意志を強く持ち、パシッと手をはらう。
「え?行くってどこへ?俺はあんたのそばにずっといたいの」
ボリスはへこたれず、今度は膝に手をついてきた。しかも指の動きが……
「っ!膝をくすぐらないでください。ちょっと、やだっ」
「いいね。その声。すごくそそる……」
何か刺激してしまったらしい。ボリスの声が熱っぽくなり、手がじりじりと太腿の
方へ這い上がる。首輪をつつかれ、妖しい声が耳元で、
「ナノ。今は、逃げようと思っても逃げられないよね?」
「まあボリスの空間ですから……」
ああ、つけこまれた。どうしろと。どうしろと。
「ナノ、どうしたの?」
「いえ、ちょっと自己嫌悪を……反省したいので出て行っていいですか?」
「ダメ!」
そう言われてソファに押し倒された。早くもあきらめモードになってしまう。
「ボリス。怪我してるところには触らないでくださいよ」
「大丈夫、大丈夫。チェシャ猫の指は器用なんだぜ?」
そう言ってキス。ざらざらとした舌が口の中を舐め回し、唾液を絡めてくる。
「ん……む……」
互いに互いの舌をたっぷり絡ませ、糸を引いて離れる。
口元をぬぐい、ボリスはファーを取り、上着を脱いだ。
そして私の胸や背中に軽く触れながら、
「ほら、もっと他の所も舐めてよ」
「ん……ふ……」
鎖を引っ張られ、言われた通り、上半身裸のボリスの胸に舌を這わせる。
「ふふ。あんたの舌ってザラザラしてないから、くすぐったいよ」
いえ、普通の人の舌はザラザラしてませんから。
と思いつつも、行為中なのでツッコミは避ける。
形をなぞるように強弱をつけて舌先で刺激し、やわやわと口に含んで軽く甘噛み。
ビクッとボリスが震えるのを感じる。
「う……ナノ。誰に教えてもらったのさ、そんなの」
「……ボリス。こういうときに、そういう話はご遠慮いただけませんか?」」
「うわ、ごめんってばナノ。謝るから、もっと他の場所も舐めて?」
――猫め……。
謝るフリをして要求とは図々しい。
それでも、汗ばんだ身体を確かめるように腹筋を辿りながら下へ舌をやる。
意地悪をして、おへそのアクセのあたりを重点的に舐めてやる。
「ち、違うよナノ。あの、ええと、俺が舐めてほしいのはもっと下……」
「はあああ?口で言っていただかなければ分かりませんねえ」
居丈高に言ってやる。
「ナノ〜子猫がチェシャ猫をいじめるもんじゃないよ」
「子猫だから分からないんですにゃー」
「その語尾は可愛さ中途半端かも……」
失礼にゃ。ていうかチェシャ猫が子猫を襲うって、よく考えると犯罪では。

反応し始めたボリスの×××を取り出すと、口に含んで動かし出す。
「ん……んむ……」
ほどなくして、
「ああ……ナノ、すごくいい……ん……」
ボリスは本当に気持ち良さそうだ。敏感で、こちらの舌に反応してくれる。
悪い気分ではないので、ボリスの顔色を見ながら強弱をつけて舌をやった。
「ナノ……」
と、ボリスが少し不機嫌そうな声を出す。
「あれ?気持ち良くなかったですか?」
私は一度口を離し、ボリスに聞いた。
「気持ち良いよ。でも俺だけ気持ち良くて、あんたが冷静なんて嫌だ」
ええー。いかがわしい本じゃあるまいし×××だけで濡れろなんて無茶な。
「ボリス。わがまま言うならしてあげないですよ?」
「ほら、その言い方!あんたに飼われるのはいいけどベッドじゃ俺が飼い主なの!」
……ここソファですが。
「うーん、ここじゃ狭いな」
そしてボリスが起き上がり、両手で私を抱え、ベッドに連れて行った。

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