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■ブラッドの紅茶禁止令4

※R18

 そして帽子屋屋敷のブラッドの部屋である。
 私たちはベッドにいた。
 だが。

「あのー、ブラッド〜」
「何だ? 愚かなお嬢さん」

 ブラッドは私の傍で、小難しげな書物を読んでいらっしゃる。
 上着とイカれた帽子を外したラフな格好で、くつろいでいる。
 だが私は到底くつろげない。

「ブラッド。私の両手首の縄をほどいていただけませんか?」
「断る」

 即答であった。

 そう。例の縄である。お楽しみは一度では終わらないようだ。
 今は私の両手首を縛った挙句、ベッドの支柱につないでいる。
 ちなみに本日のネグリジェは、黒い上に透けまくっている。
 露出狂御用達かという代物だ。
 その下は下着一枚のみ。本っ当に最低限の場所しか隠していない。
 後ろはどうかって? お察し下さい。着ているはずなのに、すーすーする。

 変態。変態。この変態が。
 だが口にしようものなら、過酷な制裁を受けること請け合いである。
 利口なナノさんは決して口にいたしません。

「謝って差し上げますから、私をとっとと自由にしてください、この変態野郎」

 私の誠心誠意のお願いに、ブラッドはチラッと私を見、
「……な、何すんです!」

 私に覆いかぶさったかと思うと、こちらの両手が動かないのをいいことに、
思いっきり足を広かせやがった。
 み、見えるっ!! 最低限のとこしか隠せてない場所が見えてしまう!!
 身体をよじって前を隠そうとするが、
「相変わらず、稚拙な抵抗しかしない子だ」
 逆にうつぶせにされ、背中を押さえつけられる。
 さながら後ろをブラッドに突き出しているような恰好になり、悔しさで身体が少し熱くなる。
「ブラッド、怒りますよ!」
「君は、何も分かっていないようだな。
 そもそもの発端は、私が君の身体を案じたことだ。
 それなのに君は、こちらの努力など意にも介さず、隙あらば嗜好品に耽溺し……」
「っ!!」
 ブラッドの指が下着という名の紐を持ち上げる。
 自然、前側が少し窮屈になり、つい腰を浮かしてしまう。
「わっ!」
 で、またも大きく足を開かされた。布地はまだずれていないが……。

「……ひっ……」
 かすかに湿った布地の上を、指でなぞられる。
「本当に君は×××××だな」
 侮辱を受けた! 抗議したいが、つい指に感覚を集中してしまう。
 ん……そこ……。
 ブラッドは邪悪そのものの声で、
「物欲しげだな、お嬢さん。私が欲しいか?」
「だ、誰が……! あ……っ……」
 今度は仰向けにされた。足は開かされたまま、ネグリジェをまくりあげられる。 
 胸があらわになり、思わず顔をそらす。
「ん……んぅ……!……」
「ここは正直のようだが?」
 ブラッドが使い古された言葉を口にし、色づく場所を舐めた。
 気が付けば再びのしかかられている。
「ん……」

 息がかかる。口づけをされる。角度を変え、何度も何度も口内を蹂躙される。
 身体が熱い。じんじんする。
 胸を執拗に愛撫され、下が勝手に蜜をにじませる。
「あ……や……ぁっ……あ、あ……」
 軽く引っ張られたかと思うと、下着の紐がするりとほどける。
 濡れた下着が床に放り捨てられる音がした。
 一点を執拗に嬲られ、たまらずに腰が浮き上がる。
 でもそれ以上のことはしてこない。一番触れてほしい場所に触れてもらえない。
 歯をくいしばり、こらえる私に、
「お嬢さん。言ってみなさい。何が欲しい?」
 言うもんかと口を結んだのは一瞬。
「ブラッド……何をする……んです……」
 腰が逃げようとしたが、ブラッドはそれを押さえつけ、私の……×××に顔を埋める。 
 羞恥と強い拒否感。でもそれ以上に、身体の芯がカッと燃え上がる。
「いや……っ! やめ……っ! だめ……っ!!」
 泣きながら身体をよじるが、ぬめる舌が熟れきった場所を突き、軽く歯を立て、
また舐め上げる。そのたびに私の泣き声が上がった。
 けれど私は何も出来ない。手首を縛られている。
 拒絶したくても手が動かない。
 痛いくらい暴れても、拘束が解ける気配はない。
 ブラッドは顔を上げ、私にキスをする。
 半泣きで注がれたものを従順に飲み込む。いい子だ、と言いたげに涙を舌ですくわれた。
「ブラッド。お願いだから、放して……」
 手首の拘束を必死に動かし、懇願する。
「駄目だ。これはおしおきだからな」
 すげなく断られる。私は本気泣き寸前だ。そんな私を見下ろし、
「さて、もう一度聞こう。何が欲しい?」
「ブラッドが……ブラッドが欲しいです」
「私の何を、どこに?」

 この変態変態変態変態っ!!

 頭の中で百は罵倒を叫び、屈辱のうちに言葉にする。

「……×、×××を……私の……×××に……ほしい、です……」

「今後、私の命令に従い、逆らわないと誓うか?」
「誓う……誓います……!」 
「まあ、一時間帯と持つまいが」
 じゃあ聞かないで下さいよ……と私の冷静な部分が考えるが、それもブラッドが
服をゆるめるまでのことだ。
 期待に震える自分を自覚したくはない。でも硬くなった××を××に押し当てられ、
「慣らすまでも無さそうだな」
 と言って足を抱えられ、

「……あ……ああ……っ……やあっ……!!」

 一気に最奥まで貫かれ、全身に悦びが走る。
 そのまま激しい揺さぶりが始まった。
「あん……っ! や、や、だ……あ……!」
 熱い××が何度も身体を貫く感覚に、声が止まらない。
「ナノ……っ」
 合間に深い口づけ。
「ブラッド……愛してます……もっと、お願い、もっと、ください……っ」
 応えるように、さらに強く穿たれる。
 もう欲望を貪ることしか出来ない。
 何もわからない。他に何も感じていたくない。
「ブラッド……ブラッドぉ……っ……」
 やはり手は動かせず、ただ彼のなすがままに快楽をぶつけられる。
 気持ち良すぎて、もう何も考えられない。
「……ナノ」
 何かをこらえるように眉根を寄せている。私は涙目で、
「ください、全部、ほしい、です……」
 そしてもう一度口づけ。そしてもう一度貫かれ、
「ブラッドっ……」
 白い。快感でイってしまった。
 同時に一番奥で熱い物がほとばしる。 
 熱い精を受け、私の雌が悦びの声を上げた。

「…………」
 そして私を抱きしめていたブラッドが、名残惜し気に私の中から出ていく。
 ドロッとしたものが私の腿にこぼれた。
 そのまま私は脱力し、ベッドに身体を沈めた。
 が、いい加減に腕がダルい。
 これじゃあ、自分で処理も出来ない。
「あの、ブラッド。もう解いて下さいよ」
 気まずいし、下の感覚が気持ち悪くなってきた……。
 だがブラッドは上機嫌に私を見下ろし、
「悪くない眺めだと思うがね」
 手首を縛られ、全身を汚されたこの姿が。
 でもこれって……。

「なんか、犯された気分ですね」

 葉巻を出しかけたブラッドが止まる。
 そして私をチラッと見、
「……出会った頃のことを思い出すな」
 すごい思い出し方だ。
「だが、たまにはそういった趣向も悪くないな。 
マフィアに囚われた余所者……の紅茶の妖怪」
 せめて紅茶の妖精と言え。
 早くほどいてほしいと思いつつ、身体の違和感にもじもじしていると、
「ちょっとブラッド!」
なぜかまた、押し倒された。ブラッドは愉しそうに、
「では囚われの妖怪をいたぶらせてもらうか」
 いえあの、そこは妖精の方がエロスな響きになると思うんですが。
 だから本当に縄をほどいてください、いい加減に痛くなってきたから!
「あ……やあ……っ」

 だがブラッドは一切かまうことなく、私はさらに×時間帯、いじめられたのであった。


 しばらく手首を隠して生活する羽目になり、皆から色んな想像をされたのは、
また別の話である……。

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