続き→ トップへ 小説目次へ

■出発前4

※R18



息づかいが荒く響く。
作業台の上の灯りに、ユリウスの身体が浮かび上がる。
その顔にいつもの平静さはなく、コートを慌ただしく床に放り、ベストも
その上に脱ぎ捨てた。合間に私にキス。何度も。
「ナノ……」
「……ん……」
大きな手が、私の肌着の中に潜り、淡く色づいた胸の先に触れる。
「…………んっ……」
今さら身体に触れられ恥ずかしがるものでも……と自分でも思うけど、
相手が相手だし、どうにも気まずい。手を押さえようとしたけど、
何か勘違いされたのか、その手を逆につかまれ、下に導かれる。
少し反応しかけたそこを握らされ、一生懸命に手を上下させた。
「……っ」
厚い布越しにも、私の手に反応しているのが分かる。
――な、何だか……。
ついさっきまで追いかけているだけの相手だった。
関係が一気に変わってしまい、どこかで戸惑いがある。
「ナノ……」
「……ぁ……っ」
腰の隙間から入り込んだ手が、私の下着に触れる。思わず、
「だ、だめ……っ!」
「何がだめ、だ。こんなに濡らしておいて、慎みのない」
びしょ濡れになった下着に触れ、ユリウスが笑う。
――ちょ、ちょっと待て!それ、押し倒してるあなたが言――
「……ぅ……っ!」
でも指が奥を探り、期待と羞恥で言葉につまる。
「いや……だ、だめ……」
上着ははだけられ、胸をむき出しにされ、舌で執拗に愛撫されている。
もう催しのことも時間帯のことも何も考えられず、私は潤んだ目で
快感を懇願する。
「……?」
……が、奴は何もしなかった。いや、もちろんしているけど、周囲を
下着越しに撫でるだけで、それ以上のことはしてこない。
「あ、あの……」
下半身の疼きに耐えきれず、声を出すと、ユリウスは私の額にキスし、
「ん?どうした?『だめ』なんだろう?」
と、最高に意地の悪い笑みで言った。
――……こ、この葬儀屋がっ!
ありとあらゆる悪態が脳内を駆け巡り、
「……ん……ゃ……!」
熟れた一点を、指で少し強く刺激されただけで陥落する。
「ほら、だめなんだろう?しかしまあ、ずいぶんと零しているようだが」
下着どころか服を全部取り替えなくてはな、と笑う。
「あ、後で覚えて……んっ」
少し身体を起こされ、深いキスをされる。
私も欲望と愛情を半々に、ユリウスをかき抱き、舌をからめた。
でも下半身がちょっとだけ解放され、
「…………ん」
押さえきれず、自分で手を伸ばすが、
「はしたない女だ。それとも私に見て欲しいのか?」
秘部に伸ばした手をつかまれ、ソファにつなぎ止められる。
「放……して……!もう、我慢できない……」
頬を紅潮させ、半泣きで訴える。すると、ユリウスがまじまじと私を
見下ろし――喉をほんの少し上下させた。
「おまえという奴は……ベッドの内と外では人が変わると言われたりしないか?」
「し、失礼な!」
そんなに何人もの男性と寝たりしてないですよ!……多分。

下の服を下着ごと、膝のあたりまで引き下ろされる。
糸を引いた秘部に、今度こそユリウスの指が直に触れた。
もう遠慮はなく、谷間の中を蹂躙し、ぐちゅぐちゅとかき回される。
「やっ!やあ!あ、ああ……!」
「暴れるな。今……っ……」
荒れた指が刺激をさらに強くし、深く潜り込まれる度、声が出た。
いやらしい音がやけに大きく響く。汗がこぼれる。
その間も全身を愛撫され、何度も口づけられ、抱きしめられた。
体液で濡れた下の服も脱がされ、足を大きく開かされる。
「や……み、見ないで……ぁ……ん……」
慣れない手つきで荒くまさぐられるたび、強烈な快感が全身を駆け巡る。
ユリウスは乱れる私をどうにか押さえつけ、冷静を装おうとする。
「待て、もう少し慣らして……」
膝をお腹につくくらい上げさせ、むき出しになった秘部にさらに深く
指を増やし、解していく。でも欲望に堕とされた自分は、雄が欲しくて
もうダメだった。
「いい、いいです……ユリウス、来て、下さい……」
気持ち良すぎて、泣きながら言うと、
「……分かった……」
ユリウスも限界だったらしい。
やや性急な手つきで自分の服を緩め、限界まで昂ぶったそれを出す。
そして私の足を開かせ、愛液を流す場所に押しつけた。
「ナノ……いいな?」
「はい……ん……あ、ああ、――っ!!」
一気に最奥まで貫かれ、高い声が出る。
「……っ……」
すぐに足をつかまれ、激しい抽送が始まった。

「ん……んくっ……ぁ……ああ……!」
達しそうな自分自身を必死に押さえ、ユリウスにしがみつく。
「……ナノっ」
耳元で呼ばれ、キスをうながされる。舌を絡める間も容赦なく
打ち付けられる。あえぎ声と月明かりと、ソファのきしむ音。
「ユリウス……すき……っ……や……!」
熱い塊が最奥を深く穿ち、達しそうになり、何とか押さえた。
するとユリウスは苦しむ私に困ったように笑い、
「ナノ……我慢をするな……私も……」
汗ばんだ私の髪をかきあげ、口づける。
深い瞳。欲望と愛しさの混じる優しい目。少し乱れた長い髪。

――あれ?これと同じ事、前にも、どこかで……。

「――――っ……!」

「あ……や……あ、ああ……っ!!」

深く貫かれた瞬間に絶頂に達し、同時に内側に熱い迸りを感じる。
そして心地よい重み。
息も出来ないくらい私を抱きしめ、わずかに震える身体。
『――――』
互いの名を呼び、もう一度見つめ合い、キスをした。
「おまえが……好きだ……」
そして抱きしめられたまま、至福の思いで私は目を閉じた。

さっき一瞬だけ抱いた違和感を、少し不思議に思いながら。

4/6

続き→

トップへ 小説目次へ

- ナノ -