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■帽子屋・7

※R18

薔薇の芳香でむせてしまいそうだ。
遠くにはハロウィン・パーティーの灯り。空には月。
薔薇の中心には、下着姿の私を押し倒す吸血鬼がいる。

「ん……や……」
腿を這い上がって来た手が、下から、布地の中に入ろうとする。
「だ、ダメです!」
羞恥に思わず身を引くと、
「ほう。上からがお好みかな」
「え?ち、違……んっ……」
布地の上から容赦なく一点を責められ、声が漏れる。
「やだ、だめ、そこ……ん……やめないで……」
「ふふ。どっちだ?お嬢さん。おや、もう濡らして。はしたないことだ」
「やあ……」
それでも直接触れてはくれず、染みを広げつつある下着の上から指が中に潜り込む。
「さあ、自分から誘ってみなさい。小さな猫のお嬢さん」
そんなこと言われても、マフィアのボスの誘い方なんて分かるわけがない。
でも奥が熱くて熱くて、快感が欲しくて仕方ない。
「ブラッド……」
ボスを抱きしめ、唇を求める。
怖い。怖くてたまらないから一番怖い人を求める。
「ん……」
舌を甘噛みされ、少し顔を離すと、ブラッドはそのまま私の首筋に唇を触れさせ、
「痛っ……!」
我に返ると、ブラッドは平然と、首筋から流れる生温い液体を舐めている。
「ブラッド、痛いです。こういうのは本当に止めてください……!」
「この程度の痛みにも耐えられないか?なら本当に私に媚びておいた方がいい。
私が本気で怒り、君を得ようと動いたら……君は壊れてしまうのだろうな」
「…………」
どういう意味なのか考えたくもない。
「私、どうすれば自由になれるんでしょう……」
ブラッドに愛撫されながら、ポツリと呟く。
どこの領土の世話にもならず、誰のものにもならず、一人で食べるだけの分を稼ぎ
休日にはのんびりと街を歩き、知り合いを訪問し、一緒に食事をして夜までに帰る。
ブラッドが重いマントを取り、脇に放る。
手袋を取り、私の肌着をたくしあげ、胸に直接触れた。
「ん……」
下半身に押しつけられるものを感じ、身体が勝手に、期待にうずく。
「あきらめろ。この世界そのものが君を愛し、閉じ込めている。
自由になることはないが、見捨てられることもない」
「でも私は、皆が好きなんです……」
しかも『好き』はただの『好き』。恋愛感情を抱く相手は未だにいない。
「君は悪魔のような女だな」
「……ん……やぁ……っ」
とんでもないことを言われ、抗議する前に、びしょびしょになった下着を引き下ろされた。
かすかな灯りの中、光るものが下着から糸を引き、恥ずかしくて目を背ける。
「そんなひどい女に、誰が自由を与えるものか……閉じ込め、愛玩され、乱れている
姿が似合っている……私に従え、ナノ。そうすれば全ての自由を奪ってやる」
「ひどい……」
隠すものの無くなった茂みに容赦なく指が潜り込み、刺激されるたびに声が上がる。
「ひどくはないさ。閉じ込められることを望んでいるんだろう?
自由を奪われることを……意志無く陵辱され続けることを……監獄のように」
「ち、違う……っ!」
目を見開き、否定すると、強く胸をつかまれ、顔を近づけられる。
「なら二度とあの場所を望むな。私を選べ、私だけを見ていろ」
「……んっ」
噛みつくように口づけられる。舌が入り込み、激しく口内を舐る。
「……でなければ、いつかはエリオットの脅しが現実のものになるぞ。
極限に追いつめられ、陵辱され、自我を破壊され、抱かれるのを求めるだけの人形に
なりたいか?そして私は、人形のような女にはいつまでも執着しない。いつかは、
何らかの功績と引き替えにエリオットに払い下げられるだろう。そして君は、奴の
慰み物になり、昼も夜も抱かれるだけの玩具になる。本当にそうなりたいか?」
「ブラッド……」
怖い。格好などどうでもいいから、今すぐ逃げ出してしまいたい。
けれど冷酷なマフィアのボスはそれを許さない。
「だから私を選べ、ナノ……私に、最後のカードを切らせるなよ……」
首の傷にまた噛みつかれ、喉の奥で悲鳴を上げる。
でも恐怖で声が出ない。

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