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■自己嫌悪、再び

※R18

用は済んだとばかりにブラッドが去り、どれくらいの時間帯が経ったのか。
「…………」
私はまだ、手の中の鍵をじっと見つめている。
何度か触り、宙へ弾いた。で、格好良く受け止めきれず、頭にぶつけました。
「あう……」
しかも牢の床に落ち、金属音がやけに大きく反響。さらに慌てた。
けれど私の檻の周囲には誰の気配もない。
ホッと息をはいて鍵を拾……おうとしたら手が届かない。
――え?
軽い鍵だけに、けっこう遠くに行ってしまったみたいだ。
首の鎖を最大限に引っぱり、精一杯に手を伸ばしたけれど届かない。
――困りましたね……。
と、腹ばい状態でじりじりやっていると、
「この鍵、君の?」
いつの間にか白い方のジョーカーさんが牢屋の中にいた。
手の届かない場所にある鍵をあっさり拾い、私を振り向いた。
私は監獄の所長に鍵を見られ、汗をだらだらと流す。
「え、ええと、ジョーカーさん。それはその……」
「はい、返すよ」
ジョーカーさんはあっさりと私に鍵を投げ……格好良く受け止めきれず、私の頭に
激突いたしました。
「ジ、ジョーカーさん、ひどい……」
「いや、今のは俺のせいじゃないよね」
ちょっと呆れたように言われて、何か悲しかった。
とりあえず、再び遠くに行った鍵を拾おうと、ジョーカーさんに背を向けたとき、
「……あの、離していただけませんか?」
後ろから抱きしめられ……ジョーカーさんの手が、胸を探りだしてきました。
「マフィアのボスが面会に来たらしいね。なら身体検査をしないと」
×××のようなことを言いながら、囚人服の中に手が滑り込む。
私は抗議の声を上げた。
「セクハラ!職権乱用!変な眼帯、略して変態!」
「……今、少しだけ『上手いこと言うな』と思っちゃったよ」
微妙に悔しそうなサーカスの団長さんだった。

「ん…何で……鍵を取らない……んですか?……ぁ……」
背後から押し倒され、牢の石畳に這いつくばりながら聞いてみる。
娯楽が少ない空間にいるせいか、私のモラルもかなり崩壊してきた。
好意どころか、さして何とも思っていない相手に抱かれようとしているというのに、
下着はじっとりと濡れ、ジョーカーさんに布越しに弄られ、もどかしげに溢れ出る。
「聞きたいのは俺の方だよ。鍵が出たなら、何でさっさと脱獄しないんだい?」
最も敏感な箇所を下着の上から強く摘まれ、ビクッと腰が浮き、声が出る。
「や……脱獄……あ……やっぱり脱獄になるんですか?」
快感に流されまいと必死に言葉を続ける。
脱獄扱いなら、鍵を取り上げるのが普通のはずなのに、何で返してくれるんだろう。
「君の鍵は君だけのものだ。例え俺が取り上げても、また現れる」
「ん……!」
「だから監獄の所長としてやるのは……」
言葉の最後は聞こえない。
胸を別の手の指先で愛撫され、集中が見る間に霧散する。『弱い』と自分で認める
ジョーカーさんも、女の子の一人くらいは問題なく押し倒せるらしい。
もがいても、さして相手にされず、一気に下着を引き下ろされる。
「ジョーカー……さん……あ……」
「そう急かさないでくれないかな、ナノ」
ジョーカーさんが手袋を脱ぎ、性格に合わない容赦ない手つきで谷間の内側に指を
深く沈める。濡れた音がやけに大きく響き、押さえきれない声が漏れる。
「やあ……ん……だめ、や……」
身体が自然と熱くなる。冷たさを求めて牢の床に頬を押しつけると、腰をやけに高く
持ち上げられた。恥ずかしい体勢になり、はしたない箇所を相手の目にさらしている
ことに、さらに興奮が高まっていく。
後ろから、悪戯するように×××を強く引っぱられ、嬌声を上げる。
「ダメ……やだ!いじめないで、くださ……やあ……っ」
「そう?こんなに悦んでいるのに?」
ぐちゅぐちゅと弄られ、溢れた愛液が腿を伝う。
おかしくなるくらいに彼が欲しくて、どうにかなりそうだった。
「ジョーカーさん……や……お願い……」
何とか肩越しに振り返り、懇願する。
「ふふ。そんな目で頼まれると何でもしてあげたくなっちゃうな」
で?何がしてほしいの、と意地悪なジョーカーさんは続ける。
「…………を……して……」
泣きそうな気分で何とか言うと、
「ナノは良い子だね」
と熟れて赤くなった箇所を強く擦られ、のけぞり、叫んでしまう。
何とか息を整えようと石畳にすがっていると、後ろに熱を感じて、背にゾクリと
期待と悪寒が走る。
「ナノ、いくよ」
「ん……」
肯定したかったのか、否定したかったのか自分でも分からない。
けれど腰をさらに持ち上げられ、一気に貫かれた瞬間に出たのは快感の声だった。
「やあ!ああ!……あん……ん……」
「良い子だ、ナノ」
すぐに揺さぶられ、何度も強く穿たれ、声が止まらない。
「ジョーカー……さん……や……もっと……」
色んな人に慣らされた身体は、抵抗など考えもせずに勝手に腰を振り、彼を奥へ奥へと誘う。
「はは、いやらしいよ、ナノ……今回は君の方が熱いね」
「やだ……そんなこと……」
何度も責められながら胸に手を回され、立ち上がった箇所を弄ばれ、真っ赤になって
首を振る。石畳の間には体液が染みこみ、乱れた息と濡れた淫猥な音が響く。
「ほら、みんな見てるんだ。もっと淫らな君を見せてあげないと」
「え……」
ジョーカーさんが指した場所は鉄格子の向こう。転がるたくさんの玩具たち。
煽りと分かっていながら、そう言われるとまるで多くの玩具に見られている錯覚が
起こり、なおさら身体が熱くなる。
「やあ……あ……だめ……」
「ふふ。一気に可愛くなったね。ほら、もっと動かして」
律動はさらに激しくなり、私も命令に従って腰を振る。
「ん……ん……や……あ……ああ!」
快感で頭が支配され、何もかもがどうでも良くなる。
ただもっと欲しい、忘れさせてほしいと、それだけしか考えられない。
「ジョーカーさん……もっと……」
「ナノ……」
さらに激しく責め立てられ、夢中でそれを貪る。
そしてどれくらい時が経ったか。
「あ……あ、や……ああ、あああっ!!」
何かが真っ白に炸裂する。
声を上げて絶頂を迎え、直後にジョーカーさんも達する。
「ごめんね。ちょっと中に出しちゃったかな」
悪びれもしない声。そして後ろにドロリとした感触を覚えた。
身体を震わせると白濁したものが足をつたっていく。私はぼんやりとそれを眺め、
次第に快感から正気に戻っていく。
――私、何、やってるんでしょう。こんなところで……。
快楽が強いほどに、じわじわとこみ上げるものがある。
「すごく可愛かったよ、ナノ」
監獄の所長がようやく私に向き合い、唇を重ねる。
「ん……」
舌を絡め、彼の制服が汚れない程度に抱きしめる。
「良かったよ。俺も君も楽しめたし、鍵も無事に消えたしね」
「え……?」
私は慌てて鍵が転がった方向を見る。
ブラッドが妙な理屈を重ねて出現させた軽い鍵。

どれだけ目を懲らしても、牢屋のどこにも見つからなかった。

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