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■絡まれた話・中

※R18

下の衣服がまとめて脇に放られ、がさっと芝生が揺れる。
花火も打ち上がり、パレードの音も、区画の離れたこちらに聞こえるほどに大きい。
まして通りに遠い茂みの奥では多少叫んでも誰も気づかない。
全身に愛撫を受ける私は息が荒い。
上も取り去られ、隠す場所のない姿を彼に晒している。

けれどユリウスだ。
この世界の誰よりも好意を抱いている人だといっても過言ではない。
けれど男性として見た覚えはないし、彼も泥酔状態だ。
快感に少しずつ脳を冒されそうになっても、完全に陥落することはなく、私はまだ
冷静なままでいる。そして正気に戻るよう、必死に声をかけた。
「ユリウス、人違いなんですよ。お願いですから……」
「…………違わない」
そんな私に、彼はそれだけ言って覆いかぶさり、わずかに開いた膝に手をかけると、
足を大きく開かせ、その間に身体を割り込ませた。
「……っ」
外気と彼の目に×××を晒し、恐怖に身がすくむ。
「…………」
じっとその場所を見るユリウスは切なそうに息を吐き、指を谷間に深く沈め、容赦なく擦った。
「……ん……んっ……あ……っ」
押さえきれない声が漏れ、下から濡れた音が響き始める。
「あ……っ!」
愛液の湧き出る場所に指を押し込まれ、素肌の胸がビクッと仰け反る。
彼の指を飲み込んだ場所は彼を締めつけ、指が引き抜かれたとき、名残惜しげに
芝生に液を漏らした。もう足は自然に開き、理性も少しずつ錆び始めていた。
――だ、ダメ……こんな状態で……私が別人だって教えないと……。
ユリウスの性格だ。酔った上、人違いで別の少女を抱いたと知ったらどれほど深く
落ち込むか。当分は色恋どころではなくなるだろう。
――酔ってない自分が何とかしないと……。
けれど喉をからして、違う、止めてと叫んでも、ユリウスに変化はない。
ただ息を見出し、舌を全身に這わせ、痛いほど執拗に下を愛撫してくれる。
それに合わせて私の声にも艶が混じり、全身が熱くなっていく。
「や……やだ……っ」
「おまえも触れてみろ」
「っ!」
ふいに手首をつかまれ、無理やり彼のズボンの……を握らされる。
そこはすでに十分すぎるほどに硬くなっており、強制的に手を上下させられると
かすかに震えた。
「いや……」
すぐにユリウスは手を離す。けれど私のためではないらしい。
耐えられないと言いたげな、性急な仕草で前を緩めだした。
背筋が寒くなる。
「ダメです……本当に……」
懇願に涙が混じる。正常では無い。
それでも強引に先を押し当てられると、生温い感触に自分の奥がわなないた。
そんな私を見て、ユリウスは冷たく、
「おまえだって欲しがっているだろう」
「ち、違う……っ」
低くささやかれ、否定した瞬間に、深くに押し入られた。
「あ、ああ……やあ……!」
絶叫を出す前に口を塞がれた。
「そんな大声を出すとさすがに聞かれる……押さえろ」
「は、はい……う……っ」
答えたか答えないかという辺りで手を離された。
――何か、冷静ですね……。
けれどユリウスが律動を始め、違和感が吹き飛ぶ。私は手を口に当てて声を抑えた。
意識したこともない男性に好きにされているというのに、自分の深い場所は拒むこと
無く彼を受け入れ、締めつけ、奥へと誘う。
「本当に、いやらしい女だ……おまえの……は、具合が良すぎる……」
「そんなこと、言わないで、ください……」
声に泣き声が混ざると、それだけ強く突き上げられる。
結合した箇所から濡れた音がたつ。責め立てられるごとに押さえきれない
喘ぎ声が吐息に混じり、それに煽られるようにユリウスの抽送も激しくなった。
「あん……ああ……や……」
「気持ちいいか?」
「はい、すごく、気持ちいいです……はぅ……あ……もっと強く……」
「なら足を開け。良くしてやるから、おまえも動け」
「はい……あ……あん……」
異常な状況だというのに快感が押さえきれない。
むしろ今や混乱状態に陥っているのは自分の方だ。
――ユリウス……まだ酔って、勘違い……してるんですか……?
分からない。さっきから冷静なのは、乱れる私を見下ろす彼のように感じる。
「……あ……っダメ……ぅ……すごく、いいです……もっと……」
律動が思考を容易く吹き飛ばす。
速さを増す責めに私はあられもなく悦び、腰を動かす。
「はあ……はあ……」
「ん……」
結合した箇所から混じり合った体液がだらだらと零れる。
熱気にユリウスの身体からも汗が流れ、遊園地の遠い灯りに光る。
「ユリウス…ユリウス……」
もう異常な状況ということも忘れ、私は彼にすがった。
唇が重なり、飲み込む余裕も無く唾液がこぼれ落ちた。
煽られるように彼の×××が硬さを増し、内側が悦んでがくがくと腰が動く。
「く……ナノ……」
「え……?」
聞き間違いかと思った。彼は、私の名を呼ばなかっただろうか。
人違いなら、別の女性の名前を呼ぶはずでは……。
けれど記憶を反芻する前に、内側に激しく吐き出された。
「ひ……あ、あああ……っああ……!」
その刺激に押さえきれない声が上がり……同時に私も達した。
「ナノ……ナノ……っ」
ユリウスは腰をかすかに震わせ、内にそそぎこむ。
「はあ……はあ……」
ゆっくりと引き抜かれ、圧迫感から解放された私は力なく芝生に横たわる。
「ナノ……」
間違いない。
私の名前だ。
ユリウスが覆いかぶさり、私に唇を重ねた。
「ナノ……好きだ……」
私の目が見開かれる。
――じゃあ……それじゃあユリウスの好きな人って……。
脱力とともに襲いかかる疲労感と睡魔に、気力を奪われそうになったとき、声がした。

「おめでとう、ユリウス。良かったなあ!」

拍手でもしそうな陽気な声とともに、エースが茂みをかきわけて現れた。

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