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■絡まれた話・上

※R15

遠くで花火が鳴る。パレードはまだまだ佳境のようだ。
せめて時間帯が変わればと想うのだけど、夜は終わる気配もない。
その遊園地の片隅の、茂みの奥。私はユリウスの下で必死にもがいていた。
「離して……止めてくださいっ!!」
暴れて抵抗をするけれど、軽々と両手両足を押さえつけられる。
唇が重ねられ舌を絡められ、つたう唾液をたどるように、彼の舌が首筋を舐める。
「本当に嫌なんです、やめて……」
「何が嫌だ。そんな物欲しげな顔をして」
「……違うっ!」
否定したけれどわずかに力が抜ける。
「……ゃ……っ」
服の上から胸をつかまれ、乱暴な仕草で愛撫される。
「い、痛い……」
嫌悪に耐えていると、指がボタンを外し始めた。
「やめて…本当にダメ……」
本能的な恐怖で頭がいっぱいになる。
何とかユリウスの手を押さえようとするけれど、逆にうるさそうに払われる。
大の男にのしかかられ、下から出来る抵抗にも限界がある。
「本当に嫌なんです。やめて……」
必死に懇願した。
酔っ払って意中の人と間違われ、夢だと勘違いされて襲われるなんて悪夢だ。
「ユリ……ウス……ゃ……」
ボタンが全て外され、止める間もなく胸を覆う布地を押し上げられた。
かさついた手が脇を這い、舌先が胸の敏感な箇所をくすぐった。
私の身体がビクッとし、小さな声が出る。
「……ぁ……」
一瞬混じった艶を聞き逃す彼では無い。
「ほら、おまえだってその気になっているだろう」
「ち、違う……っ」
否定するけれどユリウスは無視して、重いコートを脱ぐ。
その瞬間に、茂みの外、ずっと遠くで爆音が聞こえた。
「っ!?」

花火とパレードの音が止む。
我に返り、身を起こそうとすると、すぐに肩を押され、芝生に押し倒される。
「どこへ行く」
「ユリウス、遠くで爆発がありました。もしかしたらボリスたちに何か……」
「他の男の名を出すな!」
酔っ払いに不機嫌に言われ、夜風に晒された胸を強くつかまれる。
「……っ!」
痛みに動きを止めると、ユリウスの顔が目の前にあった。
強引に口を塞がれ、舌の絡む音がやけに大きく聞こえる。
抵抗もままならないでいると、遠くでパレードの音が再開し、花火も再び上がる。
大事には至らなかったのだろうか。けれど気になって仕方なかった。
「ユリウス……本当に……ぁ……やだっ!」
手が布地の隙間をたどって、下に直に触れる。
けれど状況が状況だし、遠くで爆発もあった。
準備どころかろくに濡れてもいない。
だけど、かさついた大きな手が、侵入を拒む私をなだめようと、丹念に谷間の上をたどる。
「ん……」
じわっと、頭の奥が熱くなる。奥から愛液があふれ、
「や、やだ……ぁ……あん……っ」
音がした錯覚さえ覚えた。かすかに潤い、かすかに守りの緩んだ箇所にずぶりと指を
沈められ一気にかきまわされ、声をあげてしまう。
酒の息にこちらまであてられたのだろうか。

私の声には隠しようも無い喘ぎが混じり始めていた。

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