続き→ トップへ 小説目次へ ■グレイの部屋で・下 ※R18 何をしても怒らない?それは私ではなくグレイのことだと思う。 痛みに身体を強ばらせたまま見上げていると、グレイが覆いかぶさり、キスをした。 「ん……」 「どうにでも出来るから、どこまでも好きにしたくなる……」 低い声だった。普段のグレイではない、冷たい爬虫類の。 逃げたい。 でも動けない。 それ以前にどうやって逃げればいいのか分からない。 ユリウスは助けに来ない。こればかりは確信がある。 ナイトメアは……彼は常に傍観者だ。求めない限り関わってこない。 たまに、この世界で一番冷酷なのは彼ではないかと思うときさえある。 グレイが私の服のボタンを一つ一つ外していく。 「ぐ、グレイ、痛いのは嫌なんです。お願い……」 震える声で懇願するけれど 「分からない。君次第だ」 コートを脱ぎながら、グレイはそう言った。 ――何で、私次第なんでしょう……。 ぼんやりと思う。 ユリウスに再会して喜んだ。他にどうすれば良かったのか。分からない。 「ん……ん……」 ――嘘つき。 酸欠寸前の頭で考える。 苦しくて涙がこぼれるけど、グレイは頭を押さえる手を緩めてはくれない。 口の中は、グレイのモノと彼の先端からこぼれるもの、一度吐き出した白濁したものの残り、それに唾液であふれている。 飲み込もうにも絶えず頭を揺すぶられている状態ではかなわず、今も口の端からつたい続けている。 あと、冬なのに暖房もつけず服を脱がせられ、正直、寒いです。 「……ん……」 ベッドに座り、私に奉仕させているグレイは、目を閉じて行為に酔いしれ、こちらの苦痛にお構いなく私の髪をつかんでいる。 もちろん彼に×××したことがないわけではない。でもここまでこちらのことをお構いなしに強要されたことはなかった。 その割にやらせ方が慣れているのは、きっといろんな女性に同じことをさせてきたからだろうな、と意地悪く思う。 けれど彼の機嫌を損ねるのが怖くて、私は手を抜くことは考えずに彼を吸い、舌を動かした。 息が苦しい。髪をつかまれて痛い。 舌も口も動かしすぎて痛い。 口からこぼれる液でグレイのズボンが汚されていくのがせめてもの仕返しか。 「…………ナノ……」 二回目も口の中で行かれるのかと思うと、グレイがやっと引き抜いてくれた。 「げほ……っごほ……」 やっと解放され、甘い酸素を吸い込み、涙をぬぐう。 口の中の体液を何とか飲み込むけれど気持ち悪くて仕方ない。胃もむかむかする。 グレイは優しいから、こんなときに頼めば、嫌な顔一つせず水なり飲ませてくれる。 「ぐ、グレイ……」 弱々しく訴えるけれど、乱暴に仰向けにされた。 足を開かされ、生温い液をこぼす先端を押し当てられる。 「ま、待って、まだ……」 「まだ?十分濡れているだろう?」 「っ!!」 嘲るように言われ、指先で乱暴にかき回される。 「や……あん……」 一切慣らされなかったはずのそこは、ぐちゅっと音がするくらい愛液に浸されていた。 「ひどくされて抵抗しないどころか、逆にこんなに濡らして……」 濡れて膨れた×××××を指の腹で擦られ、それだけで激しくのけぞった。 「だ、だめ……や……っああ……あ……!」 腰をつかまれる。 そしてズブリと一気に押し込まれ、痛みに悲鳴が漏れる。 「ナノ……!」 「ひ……やあ……あ……」 グレイが動き出す。蜜でぬめる内側を激しく擦られ、声を上げてしまう。 「あ……やだ……あん……」 何度も何度も打ちつける。 そのたびに深くを抉られ、かき乱され、激しさに耐えきれず、シーツにすがる。 次第に痛みは引き、代わってじんじんするような快感が背筋を上っていく。 「好きだ……ナノ……」 自分を呼び、求める声。 「グレイ……あ……や……」 蜜があふれ、内を潤し、つながった箇所からドロリと零れていく。 その間も息つく間もないほど激しく揺さぶられ、頭がおかしくなりそうだった。 「やだ……あ…もっと……」 もう何を言ってるのか分からない。 あられもなくグレイにすがり、快感をより得たいと自分から腰を動かす。 互いを呼び合い、身体をかき抱く。 ギシギシとベッドのスプリングが鳴り、それに二人の息が重なる。 「グレイ……ああ……や……ああ……っ」 強く最奥を抉られ、身体がのけぞって彼自身を締めつける。 「や……あ……」 「はあ……はあ……っ」 絶頂が頭を真っ白にする。同時に内側に白濁したものが注がれるのを感じ、私はベッドに沈み込んだ。 荒い息と脱力感。汗が流れる感触。 「ああ、ナノ……」 グレイが抱きしめてくれた。 けれど私はそれに答える気力も無い。 ゆっくりと、夢も見ない深い眠りに落ちた。 「あ。すごいですね……」 目が覚めた瞬間に言った。 私はベッドの中で、グレイに抱きしめられていた。 それはよくある(……ええ、よくあるんです)ことなんだけど、今のグレイはぐっすり眠っていた。 いつも私より先に起きているのに。関係が良好なときは、こちらが起きる前に悪さされたこともあった。 でも今はグレイの方が眠っている。 仕事がよほど疲れていたのか、とにかく珍しい。 「ナノ……」 「っ!」 名前を呼ばれてビクッとする。でもグレイは起きる気配はない。 「……ナノ……」 「んー……」 単に私の名前を寝言で言っているだけらしい。 私は特に何もまとわずベッドサイドに座り、グレイの髪をなでる。 「ナノ……」 「よしよし」 なでると何だか気持ちよさそうに微笑む。 起きているときなら絶対に見られない、警戒心を解いた顔だ。 私は少し微笑んで、再び横になる。 そして鍵のかかっていない鳥かごの中でまどろんだ。 4/4 続き→ トップへ 小説目次へ |