続き→ トップへ 小説目次へ ■グレイとの再会・下 ※R18 「ん……ん……」 グレイは満足するまで私の唇を貪り、ようやく離れた。そして慌てて、 「すまない……俺の匂いがついたかもしれないな」 「いえ、はっきりしない私が悪いんですから」 と返すものの、グレイはどうも悪びれた感じでは無い。 むしろ私に顔を近づけ、かすかに移った煙草の匂いに目を細めている。 幸い、服には煙草の匂いはついていないようだけど。 ――それにしても……。 大人だ大人だと思っていたけれど、子どもっぽいところもあるんだなと新しい発見をした気分だ。 ――私、まだグレイについて知らないことも多いんですよね……。 知れば知るほどいい人すぎて、不安になるくらいだ。 このトカゲさんについてもっと知りたいと思う。 仕事に疲れた彼にココアを淹れてあげたいと思う。 「ナノ。もうブラッド=デュプレの部屋に戻るな。俺と……ずっと一緒にいてくれ」 でも苦しそうに言葉をつなぐグレイ。私は申し訳なくなってくる。 そう。のんびりな私がやっと、彼について知りたいと思ったとき。 グレイはその遙か先に進んでいる。 正直、ここまで距離が開いていると思わなかった。 でも彼はあまりにも良い人で、その好意を無視するには心が痛い。 せめて苦しい思いをどうにかしたくて、彼に口づける。 グレイもすぐに私の背を軽く抱き、答えてくれる。 ――本当に、私はどうしたいんでしょうね……。 我ながら自分に苛々する。自分みたいな奴がいたら、殴りたいかも。 まして他人として私に接してるグレイなんか、もっともどかしいんだろう。 「ごめんなさい」 だから頭を下げる。そして優しい答えが返ってくる。 「いいんだ。俺が勝手にやっていることだ」 グレイはいつでも欲しい言葉をくれる人だ。それだけに甘えたくなって困る。 そして彼は部屋の浴室を指した。 「とりあえず、シャワーを浴びよう。 君は髪についた匂いを落とさなくてはいけないし、俺も最後の会合が近い」 「会合……次で最後なんですか」 「ああ。本当に、最後だ」 彼は神妙にうなずく。会合の最中、本当にいろんなことがあった。 でも、グレイと知り合えて良かった。 ……と思ったことをすぐに後悔した。 「ぐ、グレイ……ちょっと待って……っ!!」 風呂か!?風呂がいけないのか!?ていうか何度目!? 湯気に何かそういう効果があるとか聞いてませんよ、私! 私は湯船の中でもがくけれど、後ろから抱きしめるグレイは全くかまわない。 「ナノ……君が好きだ……」 「グレイ……だめ……やぁ……」 ……入るとき、グレイが君が先に入れと言って。 信じ込んだ私は普通に服を脱いで湯船に浸かって。 で、その後グレイが入ってきて。 広すぎる浴槽の中で逃げる私はあっさり彼に捕まえられ。 グレイは風呂をいいことに、背後から思う存分、身体に触れてくる。 ……そういえば私、グレイに何度か襲われかけてたんだ。 グレイのことをよく知らないというより都合の悪い情報を脳内消去していたのか。 「私、やっぱり頭悪いですねえ……」 自虐的に呟くと、湯しぶきを立てながらグレイは、 「そんなことはない。君は聡明だと思う。ただ配分に恐ろしい偏りがあるだけだ」 あれか。最高級の紅茶を淹れると同時に、卵から劇物を生産する特技のことか。 「それ、やっぱり頭悪いというか不器用なのでは……」 不器用と言うにはあまりにも凶悪だけれど。 「だが、つけこむ隙が出来て俺は助かる」 「…………」 つけこむとか普通に言いましたよ、グレイが。 けれどまともに考えられたのもそこまでだった。 「や……そこ、だめ……」 立ち上る湯気が身体の熱まで上げていく。 密着する男性の身体に早くも下が反応していく。 「ほら、力を抜いて。こっちを向きなさい」 「ん……」 向き合わされ、初めてまともにグレイの身体を見て赤くなる。 思わず顔を背けると、 「帽子屋のものは見慣れているだろう?奴にどう教わった?」 意地悪いことを言われ、上気した身体に何度も口づけられる。 「グレイ……や……」 「ほら、もっと開いて……ナノ……」 低くささやかれ、浴槽の縁に座らされた。後ろは壁で姿勢は安定している。 でも湯船から出されて少し寒いですね、と思っていると、 「ナノ……」 「え……」 グレイが、十分すぎるくらい大きくなったものを蜜を零す私の下に押し当てる。 ――て、ちょっと待って、この体勢はまさか……。 「あ……あああ……っ」 冷静に考える前に貫かれた。ブラッド以外の男性と、と分かっていながらも頭は興奮し、下は液をこぼしつづけている。 そしてグレイは私を浴室の壁に押しつけたまま、私の身体を抱えた。 「や……いやあ……あ……」 自分の全体重の重みで彼を一気に最奥まで受け入れてしまう。 その刺激に、愛液が漏れ、彼の身体を伝っていく。 「君は……本当にいやらしい子だ……こんなことをされてこんなに締めつけて……」 「そんなこと……言わないで……あ……」 全て言い終わる前にグレイが動き出した。 全身にナイフを装備しているから基礎体力はあるだろうと思っていたけれど、女性一人を抱えてまるで重さを感じていないかのようだった。 「はあ……あ……あ……や……」 喘ぎ声が途切れることなく出、つながった箇所からはダラダラと二人分の体液が零れて湯に溶ける。 「ナノ……好きだ……」 「あ……グレイ……もっと……強く……」 「……ナノ……」 激しく揺さぶられ、人形のようにガクガクと身体が揺れる。 自分の置かれている状況も悩みも何もかも消し飛び、頭はただ快感を追及することだけしか無い。 そして、どれだけ経っただろうか。 「ナノ……そろそろ……」 グレイの動きが緩やかになる。でも私は首を振った。 「いいです……グレイの……欲しいから……」 「君からそんなことを……言っては……」 けれどグレイも止まらないらしい。一度ダウンした動きが再び早まり、前以上に激しく私を責め立てる。 「ああ……あ…ああ……っ」 「くそ……ナノ……ナノ……俺は……」 「あ……ひ、あああっ」 そして一際激しく突き上げられ、私は悲鳴のような声を上げて達した。 「く……っ」 その後、グレイが必死に耐えるような声を出して私の身体を再び浴槽の縁に戻す。 そして彼自身をゆっくり出した。 「ん……」 瞬間に、白濁したものが止めどなく私の身体に放たれる。 「す、すまない……さすがに耐えられなくて……」 手近の湯をかけ、あわてて私の裸身を洗う。その湯も交わりで十分に汚れているのだけど。 「別に良かったのに……」 私が頭が悪く見えるような表情を作って見上げると、 「君は……馬鹿だ」 グレイはそう言って、キスをしてくれた。 そして先ほどまでの激しい行為にかかわらず、私を軽々と両腕で抱え、湯から出る。 「さあ、シャワーを浴びて出よう。俺は最後の会合だし、君もいろいろ準備があるだろう」 「あ……」 また忘れていた。というか、結構疲れさせられたのに、これから走り回らなければいけない。 「う……すまない。無理をさせて……」 グレイも自覚があるのかバツが悪そうに言う。 「い、いいですよ。ね」 私は顔を上げ、今度はこちらからグレイにキスをした。 4/4 続き→ トップへ 小説目次へ |