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■風呂場で哲学

※R18

結局私は、銃弾飛び交うこの世界で、どう生きていきたいんだろう。

私の新しい命題は、私を思いのほか悩ませた。
本当なら、こんな面倒くさいこと考えたくもないけれど、これを越えないことには現状を打破出来そうにない。
そういうわけで、私は取り組まざるを得なかったのだけど……。

「ん……や……だめ……」
はっきり言ってそれどころじゃなかった。
お風呂で×××。雰囲気だけは甘い恋人のそれですが、結構必死です、私。
「ブラッド……やだ……滑ります……」
睦言ではなく本当に滑る。だって私は石鹸まみれですし。
そうなったら、ちょっと笑えないことになりそうなんだけど、ブラッドは構わずに私を膝に乗せ、私の身体を洗う。
ブラッドの膝に、直接足をまたいで乗っているところが余計恥ずかしさを煽る。
「ほら大人しくしていなさい。ちゃんと洗えないだろう」
「ん……あん……」
「やれやれ。普通に洗っているだけなのに、君は淫らな子だな」
「普通って……どこが……」
タオルも使わず素手で女性の×××を洗う『普通』がどこにあるか。
「君の大事な場所だ。乱暴に扱って傷をつけてはいけないからな」
「ん……っ!」
嘘をつけ、嘘を。と言いたいけれど×××××に指が入り、丹念に洗われ、とろりと溢れる愛液とともに声が出る。
「風呂場で良かったな。君はいつも服だの椅子だのソファだの机だの絨毯だのハシゴだの、汚れを気にするからな」
「……恥ずかしいから羅列しないでもらえませんか……」
というか上にある本を探してハシゴを登ってるとき、毎回悪さするのは止めて欲しい。
足場が不安定で逃げ場もないのをいいことに、この前も下着をずり下げられ下から延々と悪戯された。
耐えきれずしゃがみこんだら、いたわるどころかステッキで……。
「…………」
「お嬢さん、何か思い出したのかな?またこぼして」
ぐちゅっと奥をかきまぜながらブラッドは言う。
「い、いえ……」
私は何となく顔を赤くして答える。
「何かリクエストがあればお答えするよ。君はなかなか口に出してくれないからな」
「……本当に何も……ぁ!」
泡だらけの胸をつかまれ、甘い声が出てしまう。
息が荒い。風呂場の解放感と合わせて、どこか気分がいやらしくなる。
けれどそれはブラッドも同じだったようだ。
「本当に可愛いよ……」
ふいに身体を持ち上げられ、向かい合わせにさせられたかと思うと、
「……ぁ……ああっ」
十分すぎるほど潤っていたことに加え、体重の重みや石鹸の滑りもあって、ブラッドの××が私の中を貫いていく。
「あ……いや……」
「ナノ……」
気がつくと泡と温かい湯の流れる、清潔な床に押し倒されていた。
そして起き上がる間もなく、ブラッドが動き出した。
「あ……ああ……あ…っ!」
「いい子だ。よく締め付けてくる……」
揺さぶられ、責め立てられ、快感にどうにかなりそうだ。
理性が、結合した箇所からこぼれる愛液とともに流れていく。
――やっぱり、ここにいる方がいいですよね、私……。
ややこしさの原点だけど、今のところ私は誰にも恋をしていない。
それに似た感情を抱く相手はいるのだけど……。
「あ……あ……」
私は床上でひたすら嬌声をあげる。
こんな風にブラッドにいいようにされて、あられもなく悦んで。
そこに自分の意思がないはずがない。
自由がないのなんて、どこだって同じなのだし。
――このお屋敷にずっといてブラッドのために紅茶を淹れて、彼の帰りを待って……。
それが幸せかといえば、彼に焦がれる女性達は首を猛烈に縦に振るのだろう。
――でも、私自身はどうなんでしょう。
何を望むのか、誰の側にいたいのか。この世界でどう生きていきたいと思うのか。
「あ……ああ……ブラッド、もっと……もっと強くしてください……」
考えるのが面倒で、私はひたすらに喘ぐ。
「何も考える必要はない」
「え?」
少し我に返り、見上げると、のしかかるブラッドがやけに真面目な目で見ていた。
「選択肢を奪われる方が安心するだろう?私に従え。そうすれば君を飼ってやる。
檻の中で迷いを浮かべる暇もないくらいに、永遠に。トカゲや時計屋に譲りはしない」
「…………」
この人は怖い。
ブラッドはお見通しだ。私の卑小な悩みも何もかも。
――やっぱり無理ですよね。こんな人に勝とうなんて。
みるみるうちに、私の中から逃げようとする意思が消えていく。
そして、それを見透かしたかのように、ブラッドは再び強く動き出す。
「ナノ……」
「ひ、ぁ……あ……!」
責めが強くなる。同時に私の頭からも思考がどんどん剥がれ落ち、私はただ耐えられ
ないほどの責めに声をあげるだけの獣に墜ちる。
「ブラッド……ブラッド……っ!」
「ナノ……っ!」
快感でどうにかなりそう。意識が真っ白になる。
そして最奥にブラッドの吐き出したものを感じ、その刺激でまた私も達した。
ブラッドのたくましい胸に抱きしめられ、私はクローバーの塔のことも、時計塔のことも忘れていた。


けどその後、私は意外な場所で、意外な人と再会することになる。
それは最後の会合の少し前のことだった。

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