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■グレイと仲直り?

エースに会ってから少し経って、私はナイトメアに話をした。
それを聞いたクローバーの塔の領主はあまりいい顔をしなかった。

「客に仕事をさせるほど、塔は人材不足なわけではないんだが……」
分かってはいたけれど、無理に頼み込んだ。
「そこまで言うなら止めないが、嫌になったらすぐに止めていいんだからな」
「投げ出すと思いますか?」
「さてね。だが、飽きたらいつでもやめていい」
「無理を言っておいて、投げ出したりしませんよ」
「頑固だな、君も」
そう言ってナイトメアは笑った。だが、と顔を曇らせる。
「それなら君のアイデアを全面的にバックアップをしたい……んだが、細かいことの調整は……」
分かっている。グレイに相談しなければこの話は進まない。
「詳細は直接グレイと打ち合わせます」
「大丈夫か?」
心配そうに問うナイトメアに
「大丈夫ですよ」
と笑って見せた。グレイに会って、仲直り(?)する。
それで、以前のように戻れたら。
「いや、君はそれを望んでいても、奴はどうだろうな」
ナイトメアは微妙な表情だった。

「ん……ぁ……」
あんまり大丈夫ではありませんでした……。
資料室の棚に背を押しつけられ、乱暴に口づけされる。
塔を探し回り、資料室でようやくグレイを見つけたと思ったら、これだ。
痛い痛い、背中超痛いです。
「ナノ……俺に近づくなんて君は馬鹿だ……」
「だって、一応あなたはナイトメアの補佐なんですから」
重要事項を報告しないわけにいかない。
どうやらグレイは罪悪感を抱くとか、気まずくて私に会わなかったわけでなく。

……自制出来そうにないから私に会わなかったらしい。

会った途端に抱き寄せられキスされた。
ああ、心配して損しました。

「それで、これが計画案をまとめた……あの、聞いてらっしゃいます?」
「ん……」
背中に回された手が下に移動し……ええと、ええ。下に。
昼間の資料室なのに、何だかその、ちょっと良い気分に。
「……っ」
彼の足が私の両足の間に割り込み、意図的に私の股間を刺激する。
「ん……」
じわっと身体の内から熱がわきあがってくる。
そのうちにグレイの唇が鎖骨のあたりをなぞり、シャツのボタンに手がかかる。
一つ二つ外され、手が今にも中に入り込もうとする。
「グレイ……」
私も特に拒まない。黙って目を閉じる。
前回は唐突だったので、何か色々動揺して泣いたりしたけれど、今は落ち着いている。
何とか受け入れられそうな気がした。

けれどグレイの手は止まる。
震えながら、ゆっくりと離れていった。
やがて私から完全に身体を引き、うつむきながら言った。
「すまない……」
「いえ……」
私は内心肩を落とし、ボタンを留める。
ああ、ややこしい。
グレイは優しいし、私も彼は好きだ。というか好きになりたい。
身体から始まる関係であっても、そのうちに恋が芽生えることだってあるかもしれないのに。
――こんなことを考える私は、頭が悪いんですかね。
本当に、恋はどうしても手に余るなあ。
――こうなったら女の側からリードすべきですか?
その後、グレイは平静を装って、私のアイデアに修正を加えつつ全体的に許可を出してくれた。
ただ会合中でもあり、手伝いの人員を割くのは今回の会合後になるとのことだった。
「他に何か質問はあるか?」
最後に聞いたグレイは疲れた顔で、すぐにでも立ち去りたい様子だった。
私は少し考え、グレイを見上げて言った。
「今夜、お部屋に行ってもいいですか?」

……すごく説教された。
納得いかねえ。

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