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■八つ当たり

※R15

「き、君って何がですか?」
というか、痛い。怪我している箇所を遠慮無くつかまれて痛い。
けれど、そう抗議する前に唇を塞がれた。
「ん……や……」
押しつけられた熱は、熱いのに冷たい気がする。
もがくものの、怪我の長かった私はほとんど体力がない。
私の唇を好きなだけ貪って、やっとエースは離れた。
私は必死で空気を吸い込みながら、訳が分からずにいた。
「エース……」
「不公平だと思わないか。君はいつも大切なものをさっさと忘れて、俺だけが振り払えずに迷ってる」
何を言ってるんだろう。何を迷っているんだろう。
でもエースの手は私の服に伸びる。
いくら記憶喪失だろうと、彼がしようとしていることの知識はある。
私はゾッとした。深い森の奥で助けがあるはずがない。
「だから、たまにはおしおきしないとな」
「……っ」
エースの手が私の服をまくりあげる。
「…………」
でも、あちこち血がにじむガーゼや包帯を見て、さすがにエースも少し手を止めた。
「うーん、怪我した女の子をいたぶって喜ぶ趣味はさすがにないな」
「だったら……」
私は少し希望をこめて見上げる。けれどエースは無慈悲に
「まあ、それを含めてのおしおきだから、いいか」

夕暮れの森に、乱れた息が流れる。
エースは私の頭を抱き、自分で剥がしたガーゼ下の傷に舌を這わせる。
「……ぅ……」
騎士は私の声を聞いて身を起こす。
「うーん、俺も騎士だから、そんな風に泣かれると困るんだよね」
「…………」
いや、困ると言われても。
記憶喪失で、服を一枚残らず脱がされて、ほとんど知らない男に夕暮れの森に押し倒されて。
オマケに痛いところ遠慮無くつかまれて。これで泣かなかったら、いつ泣けと。
――というか、××云々より包帯とかがズレて破傷風になる方が心配なんですが。
豆知識。土中には外傷から感染し、死亡率50%という恐ろしい破傷風菌がおります。
い、いや、不思議の国なんだから、いないです。そんなもん。多分。
「ナノ。集中してくれよ。記憶喪失になっても、そういうところは変わらないよな」
騎士様はと言えば、コート一枚と手袋を取っただけの姿で、悠然と私の身体に触れている。
「ん……」
もう一度キスされた。
生温い舌が生き物のように口の中を探り、私の舌を捕らえてきつく吸う。
離れたかと思うと舌が首筋を這い、それは徐々に下に移っていく。
「や……ぁ……」
胸を強くつかまれ、先端を、血が出るかと思うほど強く吸われる。
「ひ……っ」
別の手が、必死に閉じる私の下の茂みに触れ、その深くに潜り込もうとする。
「だめ、やめ……っ」
暴れようとし、そのとき包帯を巻いている箇所をつかまれた。
痛みに抵抗が弱まり、騎士を見ると、
「ほら、もっと見せてくれよ……痛い目に遭いたくないだろ?」
私を見すえる赤の瞳はこれ以上にないくらい冷ややかで。
強ばる私は、意思やプライドに反して、わずかに膝の隙間を空ける。
その瞬間に容赦なく奥深くに潜り込む騎士の手。
「ん……んん……」
顔を赤くして首をふる。騎士も『気づいた』ようだ。「口と身体はって言うけどさ。分かりやすいよね、君。
もしかして、意外といじめられるの好き?」
低い声でささやかれ、騎士はさらに指を動かす。
十分に潤った谷間の深くで愛液をかきまぜる音。
「だ、だめです……やめ…」
「こんなにぐしょ濡れなのに?ていうか、今さら止めるほうが辛いんじゃない?」
「っ!」
谷間の奥の××をからかうように引っぱられ、快感が電流のように背筋を走る。
いやいやと必死に首を振るけど、今や足は大きく開かされ、彼の目にさらされた場所ははしたなく蜜をこぼしつづけている。
ドアの声さえ、誰かがいるような錯覚を起こさせ、興奮を増幅させる。
もう完全にエースの思うままだった。
「さて、君も準備出来たみたいだし。じゃあ、月並みだけど一つになろっか」
「……っ!」
さすがに止まった。
いつか同じことがあった気がする。
エースは身を起こし、ベルトを動かし、前を緩めていた。
そして……その……外に出されたものを見て、私は目を閉じる。
「あれ?見た事ないってこと、ないだろ?ほら、触ってみなよ。何なら舐めてみる?
はは。何か俺って痴漢みたいだな」「や、やだ、止めてください……!」
エースに無理やり握らされそうになり、手を振り払った。
「ふうん……記憶喪失でもこういう反応ってことは……やっぱり初めてか」
息の荒い私の反応をじっと観察し、エースが笑う。
「じゃあ、俺が一番乗りか。運がいいぜ」
「!」
エースが改めてのしかかる。
「それじゃあさ、行くぜ?いいよな」
いいわけがない。
けれど間近で見る彼の……は十分すぎるほど大きくなっていて。
夕暮れの森で、助けはどこにもない。
「だめ……」
私は必死で首を振るけれどエースは無視して私の腰を抱く。
快感と理性と羞恥と嫌悪と。
全てが一緒くたになった混乱する思考の中。私の目が、脱がされて乱雑に放られた自分の衣服を見る。
その中に混じった玉露の袋。
私の腰に常にくくりつけられた、ほとんど服の一部のような品だった。
自分の声、エースの息、ドアの声、風の音。
エースの××が蜜を流す自分の最奥に押し当てられるかというとき、私は涙を流して叫んでいた。

「助けて、ユリウス!」

エースが止まった。

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