「はぁ〜カッコイイなぁ...」
部屋のソファーに座り、側にあったクッションを抱き締めながらTVを見つめる。画面には夢ノ咲学院の卒業生で現在はリズムリンクという事務所に所属している『UNDEAD』の二枚看板が映っていた。番組で楽しそうに話す彼等はライブ中のクールなイメージとは真逆でのほほんとした空気を醸し出している。
ライブでは見れない空気を楽しんでいると番組がパッとCMに切り替わり、自身の顔が大画面に広がった。思わず噴き出して咳き込む。
「ゴッホ...ゴホッ......」
今日は久々にオフだからこうやって朝からゆったり、録画した番組を観ているものの私も一応人気アイドルでUNDEADの二枚看板とは学生時代からの同級生で仲良しなのだ。
元々人気も知名度も無い底辺アイドルで夢ノ咲学院の普通科に通っていたが、その時に出演したドラマが想像以上に当たって急激に知名度が上がり、特例でアイドル科に転科しそのまま卒業した紛れもない"夢ノ咲学院出身の今人気のアイドル"...なのだが。急に伸び上がったせいで自分が映ると恥ずかしくてまだ照れてしまう。
卒業後、正式にリズムリンクに所属しこうやってES付近にプライベートが守られるプライバシー対策バッチリのマンションの部屋を用意して貰っているのもなんだかむず痒い。
「おお、可愛く撮れておる」
「!??!?!」
小っ恥ずかしくてCMを飛ばそうとリモコンに手を伸ばしたとき耳元で低い艶のある声が聞こえた。驚いて飛び上がり、声のした方を振り向くとそこには先程テレビに映っていた同期であるUNDEADのリーダー、朔間零がソファーの後ろに立っていた。私の驚いた表情を見てにっこり清々しい笑みを浮かべている。
「朔間さ...なんで」
「ここがお主の家だからじゃろ」
チャリ、軽く音をたてて合鍵を見せつけてくる。
確かに女である私は朔間さんが住んでいる寮にはよっぽどの事がないと入れないから私の家の合鍵を渡している。が、今聞いているのはそういうことではなく。
「じゃなくて、朔間さん仕事は?」
「お主も良く知っておるじゃろう。夕方からじゃよ」
今更何をと言わんばかりの顔をした彼はゆっくりと私の隣に移動しソファーに腰掛けた。事務所や現場ではよく会うがこうやって2人きりになるのは本当に久しぶりで緊張する。彼が腰掛けた方を見れず、足元ばかりを見ていたら隣でフッと笑う気配がした。そして何故か近付いてくる朔間さん。
「...で、誰が格好良いと?」
「さ、さぁ...?」
「うう...久し振りに彼氏様が会いに来たのに可愛い可愛い愛しの彼女がデレてくれない」
「あーはいはい!朔間さんがカッコいい!!」
××