「は?」


珍しく、海外にいる親から急に電話が掛かってきた。
私がアイドルとして活動しだした頃、彼らが"仕事と一族の関係"で私の元を離れて行き、余り連絡も取っていなかったから珍しいもんだな〜と呑気に考えながら出てみると"親戚の集まりがあるから貴女も顔見せに来なさい"なんて言われ、急には無理だと伝えると『もう事務所の方にも連絡したから大丈夫』そう、言われた。

実際、マネージャーさんと事務所に確認したら本当に連絡されていて急だったにも関わらず数日間しっかり休みになっていた。ここまで来ると、行かないわけにもいかない。相方である流雨ちゃんに一声かけてから、急いで両親の元へと向かった。


目的の地に到着すると、分かり易い高級な車が私を出迎えてくれ会場である建物へすぐさま移動した。急だったし到着したばかりで、ちょっと小洒落たワンピースくらいしか用意出来なかったが、このままの服装で良いのだろうか?その疑問は会場を見て解決したのである。


...いくら親戚の集まりだからと言って、ここまで豪華な会場を用意するとは。見知った顔と見知らぬ顔が入り混じる会場を遠目で眺めてため息が出た。キラキラ輝くジャンデリア、綺麗に着飾った婦人達、ちょっと洒落ただけのワンピースなんて私、場違いだ。

とりあえず両親を見つけようとスマホを取り出したところで、背後から"失礼します"と声が掛かり、ひょいっと担ぎ上げられた。

「ひぇ!?」

背中に回された手を辿ってみると、良く見知った顔。
幼い頃にお世話になっていた執事だった。

「っ、蕪木!」

「お久し振りでございます、お嬢様。旦那様が御召し物を御用意されておりますので、そちらまでお運び致しますね」



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