久々のオフ。
家でずっと過ごすのもなんだか勿体ない気がして、1人でショッピングに行く事にした。いつもであれば恋人である朔間零が『我輩も行くのじゃ〜』なーんて着いてくるのだが、今日は珍しく昼間からドラマの撮影が入っており彼は不在。服装に煩く言う彼氏もいない事だし、少しだけ露出の高い服(といってもオフショル程度)で街に出た。

「♪〜」

気になっていた秋服のチェックや雑貨屋で可愛いアクセサリーケースを見たりしていたものの、零くんは何してるかな、だとか零くんはこの服着た私を見てどう言うだろうか、だとか頭の中に彼の事を沢山思い浮かべてしまって胸がきゅう、と締め付けられる。いつの間にこんなに彼でいっぱいになってしまったのだろう。昨日会ってないだけなのに、会いたいーーー....少しだけしょんぼりしたところを秋風が襲ってくる。


「わ、」

秋らしい風に髪を弄ばれ、小さく声が漏れる。
暦上は秋になったがつい最近までずっと夏の気温だったが故に私の心情に比例するかの如く突然襲ってきた肌寒さに苦笑した。


「(ここ最近まで、朔間さんと手を繋ぐのも控えていたのになぁ)」


風で乱れた髪を整えて顔を上げる。と

ドラマの撮影中であろう、良く見知った愛おしい彼が"私以外の女性"と親密そうに手を繋いでいるのが目に入った。





「ヒュッ」


一気に体温が下がる感覚がする。
ドクドクと心臓が嫌な音を立て、冷や汗が止まらない。
落ち着け....落ち着け....いつもなら、こんな姿を見ても少しヤキモチを妬くくらいで我慢出来ている筈。
ゆっくり深呼吸したかったが、浅い呼吸を繰り返すばかりで感情の制御が出来ない。じわじわと視界が滲んできて、もう我慢出来ずにその場から走り去った。
その後ろ姿を彼に見られているなんて知らずに。


「流架!」


走り去る直前に、名前を呼ばれたような気がした。


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