「お疲れ様でした〜」


撮影が終わり、スタッフさんに頭を下げてその場を後にする。お偉いさんらしき人に頭を下げるマネージャーを横目にスタジオを出てしばらく廊下を歩くと私の名が書いてある紙が貼られた立派な楽屋が現れた。まだ "ど" が付く新人の私によくこんな楽屋が用意されたものだ。

楽屋に入り、自身の制服に着替えようとしているとドアが開き先程頭を下げて話をしていたマネージャーが入ってきた。


「お疲れ様!今日はもう終わりだけど...どうする?学校ーーももう終わりよね」

「あー...はい」


腕時計を確認してから少し困ったように言う彼女。携帯の画面を見ると確かに放課後の時間だった。

一応こうやって芸能活動をしてCMや雑誌の撮影をしているものの、私はまだアイドルスクールの学生。3年になり皆より一足早く、進路が決まったところに監督から声が掛かり、"学業を優先的にする。"と条件付きで私はこの仕事を受けたのだ。


今日の撮影も私なりに頑張ってNGを出さないようにしていたのだが、監督の拘りが強く、気付けば撮影終了が学校の終わる時間になってしまった。学業を優先する事に賛成してくれている彼女があんな顔するのも無理もない。


「じゃあ今日は帰...あ」


今から学校に戻っても何の意味も無いし自宅にかえろう、そう言おうとした時にスマホが震える。そして画面に表示されたメッセージ。...こんな時間に、珍しい。


「どうした?」

「寄りたい場所があるので、そこに行ってから帰ります」

「ん、じゃあそこまで送るよ。車回してくるから着替えて来てね」








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