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「有難うございました」
「いいえ!帰り気をつけてね」
マネージャーに挨拶して車から降りる。
彼女は私がドアを閉めたのを確認すると運転席から手を振って直ぐに車を発進させた。卒業後、お世話になる事が決まっている事務所のマネージャー。彼女も色んなタレントのマネージメントで忙しいはずなのに私の我儘にも付き合ってくれて本当に有難い。
しばらく車を見送って、くるりと後ろの建物を見る。大きな立派な建物と校門。あまり入りたくないがこればっかりは仕方無い。一つ溜息を吐いてから門の中へ足を踏み入れた。直ぐにグラウンドでダンスの練習をしているらしい生徒を見つける。ここもまた、アイドルを育成する学校なのだと改めて実感する。
「あれ」
「!」
あまり目立ちたく無いと思い校舎の裏へ回ろうとすると背後から声が聞こえた。さっきのは私を発見して発した言葉だ。恐る恐る後ろを振り返るとキョトンとした見知った顔。
「琉雨じゃねーか」
「...真緒」
そこに立っていたのは昔からの顔馴染み、所謂幼馴染だった。私の嫌いな人ではない事がわかり張り詰めていた緊張の糸が切れる。力が入っていた肩が下がるのがわかった。
「お前、ここで何やってんの?」
「丁度良かった。ちょっと連れてってくれない?」
「はぁ?」
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